要介護認定はどこに申請する?―「保険者は誰か」から解く介護保険の基本
第112回医師国家試験 B問題 第18問
国試問題にチャレンジ
介護保険の要介護認定の申請先はどれか。
- a.保健所
- b.市区町村
- c.地域医療拠点病院
- d.在宅療養支援診療所
- e.社会福祉事務所
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
介護保険は介護保険法に基づく社会保険で、保険者は市町村および特別区(市区町村)であるため、要介護認定の申請先は市区町村です。地域包括支援センターなどによる代行申請も認められていますが、その場合も申請先は市区町村であり、保健所や福祉事務所、医療機関は申請先になりません。認定は訪問調査と主治医意見書をもとにしたコンピュータによる一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て市区町村が行い、要支援1・2、要介護1〜5、非該当に区分されます。第1号被保険者(65歳以上)と、特定疾病が原因の場合に限り給付される第2号被保険者(40〜64歳)の違いもあわせて押さえましょう。医師は主治医意見書を通じて認定に関わるため、制度の流れを理解しておくことは退院支援や在宅医療の場面にも直結します。
解答・解説
正解はbです
介護保険制度は、介護保険法(2000年施行)に基づく社会保険制度である。保険を運営する主体(保険者)は市町村および特別区(東京23区)であり、本問の選択肢では「市区町村」がこれに当たる。保険者である市区町村は、被保険者の資格管理、保険料の徴収、要介護・要支援の認定、保険給付などを行う。 介護保険のサービスを利用するには、まず「介護が必要な状態かどうか、どの程度か」の認定(要介護認定・要支援認定)を受ける必要がある。この認定を行うのは保険者である市区町村なので、申請も本人または家族が市区町村の窓口に対して行う。なお、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者(ケアマネジャーの事業所)、介護保険施設などが本人に代わって申請手続きを行うこと(代行申請)は認められているが、その場合も申請先は市区町村である。 選択肢のうち、保健所・福祉事務所は行政機関ではあるものの介護保険の保険者ではなく、地域の拠点となる病院や在宅療養支援診療所は医療を提供する施設であって認定の申請先にはならない。よって正解は b である。
選択肢考察
- ×a. 保健所
誤り。保健所は地域保健法に基づいて都道府県、政令指定都市、中核市、特別区などが設置する公衆衛生行政の拠点である。感染症対策、食品衛生、環境衛生、精神保健、難病対策、医療監視など広域的・専門的な業務を担うが、介護保険の保険者ではなく、要介護認定の申請先ではない。
- ○b. 市区町村
正しい。介護保険の保険者は市町村および特別区であり、要介護認定の審査・判定・認定は保険者である市区町村が行う。そのため、要介護認定の申請は市区町村(介護保険担当窓口)に行う。申請後、市区町村の職員などによる訪問調査(認定調査)と主治医意見書をもとにコンピュータによる一次判定が行われ、さらに保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が二次判定を行い、その結果に基づいて市区町村が認定する。
- ×c. 地域医療拠点病院
誤り。法令上の正式な類型としては「地域医療支援病院」が該当すると考えられる。地域医療支援病院は医療法に基づき都道府県知事が承認する病院で、かかりつけ医からの紹介患者への医療提供、医療機器・病床の共同利用、救急医療の提供、地域の医療従事者への研修などを通じて地域医療を支援する役割を担う。医療提供体制の一部であり、介護保険の要介護認定の申請先ではない。
- ×d. 在宅療養支援診療所
誤り。在宅療養支援診療所は、24時間連絡を受けられる体制を確保し、24時間の往診や訪問看護が提供できる体制を整えた診療所で、2006年の診療報酬改定で創設された。在宅で療養する患者の医療を担う施設であり、要介護認定の申請先ではない。ただし、かかりつけ医として主治医意見書を作成する立場にはなりうる。
- ×e. 社会福祉事務所
誤り。一般に福祉事務所とよばれ、社会福祉法に基づいて都道府県および市(特別区を含む)に設置が義務づけられている(町村は任意設置)。生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法のいわゆる福祉六法に定める援護・育成・更生の措置に関する事務を担い、生活に困窮する人、障害者、児童、高齢者などの福祉行政を行う。介護保険の保険者ではなく、要介護認定の申請先ではない。
介護保険の被保険者
第1号被保険者:65歳以上の者。原因を問わず、要介護・要支援状態と認定されればサービスを利用できる。保険料は市区町村ごとに定められ、年金額が一定以上であれば年金から天引き(特別徴収)される。 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者。老化に起因する特定疾病(16疾病。末期癌、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、脳血管疾患、初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患など)によって要介護・要支援状態になった場合に限りサービスを利用できる。保険料は加入している医療保険の保険料と一緒に徴収される。
要介護認定の流れ
1. 市区町村へ申請(本人・家族のほか代行申請も可) 2. 認定調査(心身の状況などに関する訪問調査)と、市区町村が主治医に依頼する主治医意見書の作成 3. 一次判定:調査結果などをもとにコンピュータで要介護認定等基準時間を推計 4. 二次判定:介護認定審査会が一次判定結果、主治医意見書、調査の特記事項をもとに審査・判定 5. 市区町村が認定し、申請者に通知(原則として申請から30日以内) 認定区分は、非該当(自立)、要支援1・2、要介護1〜5の計8段階である。
認定後のサービス利用
要介護1〜5は介護給付の対象で、居宅サービスの利用では主に居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)がケアプランを作成する。要支援1・2は予防給付の対象で、主に地域包括支援センターが介護予防ケアプランを作成する。利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある第1号被保険者は2割または3割となる。
関連する機関の整理
地域包括支援センター:市町村が設置(委託可)し、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などが配置される。高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防ケアマネジメントなどを担い、要介護認定の申請代行も行う。
POINT
・介護保険の保険者は市町村および特別区(市区町村)である。 ・要介護認定の申請先は保険者である市区町村(代行申請の場合も申請先は市区町村)。 ・認定は訪問調査+主治医意見書→一次判定(コンピュータ)→介護認定審査会による二次判定→市区町村が認定、の流れで行われる。 ・第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40〜64歳の医療保険加入者(特定疾病が原因の場合のみ給付)。
