デイサービスの「機能訓練」とデイケアの「リハビリ」―医師の指示は要る?要らない?
第119回医師国家試験 C問題 第6問
国試問題にチャレンジ
介護保険による機能訓練で正しいのはどれか。
- a.介護福祉士が実施する。
- b.利用者は減少している。
- c.医師の指示が必要である。
- d.家事動作訓練が含まれる。
- e.特定機能病院で実施される。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
介護保険の機能訓練は、通所介護(デイサービス)や介護老人福祉施設などで、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、一定の経験をもつはり師・きゅう師)が個別機能訓練計画に基づいて行うもので、介護福祉士は指導員の資格要件に含まれず、医師の指示も要件ではありません。一方、通所リハビリテーション(デイケア)や訪問リハビリテーションは、医師の指示のもとで理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が実施します。機能訓練は在宅での自立した生活の継続を目的とし、ADLだけでなく調理・洗濯・掃除などの家事動作(IADL)の訓練も含まれます。急性期・回復期は医療保険、生活期は介護保険という流れを押さえ、特定機能病院のような高度急性期医療の場とは役割が異なることも理解しておきましょう。制度の違いを知ることは、退院支援や主治医意見書の作成など、患者さんの生活を支える医師の役割に直結します。
解答・解説
正解はdです
問われていること
介護保険制度のもとで行われる「機能訓練」の担い手、指示の要否、内容、実施場所、利用動向についての知識を問う問題である。
機能訓練とリハビリテーションの違い
介護保険には、心身の機能を保ったり高めたりするサービスが大きく2系統ある。 ・機能訓練:通所介護(デイサービス)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)などで行われる。機能訓練指導員が利用者ごとに個別機能訓練計画を作成し、日常生活を送るのに必要な身体機能・生活機能の維持向上をめざす。医師の指示は要件とされていない。 ・リハビリテーション:通所リハビリテーション(デイケア)、訪問リハビリテーション、介護老人保健施設などで行われる。医師の指示のもと、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が実施し、心身機能の回復を図る。
考え方
機能訓練の目的は、利用者が自宅で自立した生活を続けられるようにすることにある。そのため歩行や起居動作だけでなく、入浴・排泄などの日常生活動作(ADL)や、調理・洗濯・掃除・買い物といった手段的日常生活動作(IADL、生活を営むためのより複雑な動作)の訓練も、利用者のニーズに応じて計画に組み込まれる。この点を押さえれば正解を選べる。
選択肢考察
- ×a. 介護福祉士が実施する。
介護保険サービスで機能訓練を担当する機能訓練指導員になれるのは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員(看護師・准看護師)、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、一定の実務経験をもつはり師・きゅう師に限られる。介護福祉士はこの資格要件に含まれないため、介護福祉士の資格だけでは機能訓練指導員として機能訓練を実施することはできない。介護福祉士は主に入浴・排泄・食事などの介護を担う専門職である。
- ×b. 利用者は減少している。
高齢化の進行に伴い要介護・要支援認定者は増え続けており、通所介護をはじめとする介護サービスの利用者数も増加傾向にある。介護予防・重度化防止が政策上重視されていることもあり、機能訓練の利用者が減少しているという記述は誤りである。
- ×c. 医師の指示が必要である。
医師の指示が必要なのは、通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションなど「リハビリテーション」として提供されるサービスである。通所介護などで行われる機能訓練は、機能訓練指導員が利用者の生活状況を評価して個別機能訓練計画を作成して実施するもので、医師の指示は要件とされていない。
- ○d. 家事動作訓練が含まれる。
機能訓練は、利用者が住み慣れた自宅で生活を続けられるよう、身体機能だけでなく生活機能の維持向上を目的とする。個別機能訓練計画は利用者の希望や生活環境を踏まえて立てられ、調理・洗濯・掃除などの家事動作(IADL)の訓練も、ニーズがあれば訓練内容に含まれる。したがってこの記述は正しい。
- ×e. 特定機能病院で実施される。
特定機能病院は、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発・評価、高度の医療に関する研修を担う病院として厚生労働大臣が承認したもので、大学病院本院などが該当する。ここで行われるリハビリテーションは急性期の医療保険によるものであり、生活期に介護保険で提供される機能訓練の実施場所ではない。機能訓練は通所介護事業所や介護老人福祉施設などで行われる。
通所介護と通所リハビリテーションの比較
・通所介護(デイサービス) 実施場所:老人デイサービスセンター、介護老人福祉施設など。 内容:入浴・排泄・食事などの介護、生活相談、機能訓練。 訓練担当:機能訓練指導員。 医師の指示:不要。 ・通所リハビリテーション(デイケア) 実施場所:介護老人保健施設、介護医療院、病院、診療所。 内容:心身機能の維持回復と日常生活の自立をめざした理学療法、作業療法、言語聴覚療法など。 訓練担当:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など。 医師の指示:必要(医師の診療に基づきリハビリテーション計画を作成する)。
リハビリテーションの病期と保険
急性期・回復期のリハビリテーションは主に医療保険で、状態が安定した後の生活期(維持期)のリハビリテーションや機能訓練は主に介護保険で提供される。
ADLとIADL
・ADL(日常生活動作):食事、整容、更衣、排泄、入浴、移乗、歩行など、身の回りの基本的な動作。 ・IADL(手段的日常生活動作):調理、洗濯、掃除、買い物、金銭管理、服薬管理、電話の使用、交通機関の利用など、自立した社会生活に必要なより複雑な動作。 機能訓練やリハビリテーションでは、ADLに加えIADLの向上も目標となる。
POINT
・介護保険の機能訓練は機能訓練指導員(PT、OT、ST、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、一定の経験をもつはり師・きゅう師)が行う。介護福祉士は含まれない。 ・通所介護の機能訓練は医師の指示不要、通所リハビリテーションは医師の指示が必要。 ・訓練内容には家事動作などのIADL訓練も含まれる。 ・特定機能病院は高度医療を担う病院であり、介護保険の機能訓練の場ではない。
