StudyMed医師国家試験

介護の「何でも相談所」は何をする?―地域包括支援センターの4本柱

第106回医師国家試験 G問題 第34問

国試問題にチャレンジ

第106回 G問題 第34問

地域包括支援センターの活動について正しいのはどれか。

  1. a.窓口業務は行わない。
  2. b.介護予防には関わらない。
  3. c.医療系サービスには関わらない。
  4. d.通所介護〈デイサービス〉を提供する。
  5. e.介護支援専門員〈ケアマネジャー〉の支援を行う。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、高齢者を地域で支える仕組みの中核、地域包括支援センターの役割を問う問題だ。ポイントは「センターは相談・調整・支援をする機関であって、サービスを直接提供する事業所ではない」という位置づけ。ここを押さえれば選択肢は整理できるよ。
医学生医学生
名前は聞いたことがありますが、介護施設の一種のようなイメージでした。
ドクタードクター
そう誤解されやすいんだ。地域包括支援センターは介護保険法に基づいて2006年から設置が始まった機関で、設置主体は市町村。直営のほか、社会福祉法人や医療法人に委託することもできる。おおむね中学校区程度の日常生活圏域ごとに置くのが目安だ。
医学生医学生
職員はどんな職種なんですか。
ドクタードクター
原則として保健師(または地域ケアの経験がある看護師)、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種が配置され、チームで動く。それぞれの専門性に対応して、業務は大きく4本柱に分かれる。総合相談支援、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントだ。
医学生医学生
総合相談支援ということは、窓口業務は当然やっているんですね。
ドクタードクター
その通り。本人や家族、近所の人からの介護・福祉・健康・生活の相談を、窓口や電話、訪問で幅広く受け付ける。高齢者虐待が疑われるときの相談・通報先にもなっているよ。だから「窓口業務は行わない」は誤りだ。
医学生医学生
介護予防にも関わらない、というのも違いそうです。名前に「支援」とつくくらいですし。
ドクタードクター
そうだね。介護予防ケアマネジメントとして、要支援1・2の人や介護予防・日常生活支援総合事業の対象者のケアプランを作成し、実施を支援する。介護予防はセンター設立当初からの大きな柱なんだ。
医学生医学生
医療系サービスはどうでしょう。福祉の機関なので医療とは別かと思ってしまいました。
ドクタードクター
そこは引っかかりやすいところだね。高齢者は医療と介護の両方を必要とすることが多いから、センターは主治医をはじめとする医療機関と連携して、訪問看護や訪問リハビリテーションなども含めた支援の調整に関わる。医療と介護の多職種連携の体制づくりも役割の一つだ。
医学生医学生
デイサービスはどうですか。地域医療実習で行った町では、センターの近くにデイサービスがありました。
ドクタードクター
同じ法人が近くで運営していることはあっても、センター自体がデイサービスを提供するわけではない。通所介護は指定を受けた通所介護事業所が提供するもので、センターは必要な人をそうしたサービスにつなぐ側なんだ。
医学生医学生
そうすると、ケアマネジャーの支援を行う、が正解ですね。でもケアマネジャー自身がセンターにいるなら、支援する側とされる側が同じになりませんか。
ドクタードクター
鋭い疑問だね。ここで活躍するのが主任介護支援専門員だ。地域の居宅介護支援事業所などにいるケアマネジャーに対して、個別の相談への指導・助言、支援困難事例への対応の支援、ケアマネジャー同士のネットワークづくりを行う。これが包括的・継続的ケアマネジメント支援で、正解はこれだ。
医学生医学生
ケアマネジャーのさらに後ろ盾になる、ということですね。居宅介護支援事業所との違いも整理できました。
ドクタードクター
そう、要介護者のケアプランを日常的に作るのは主に居宅介護支援事業所のケアマネジャーで、センターはそれを地域全体で支える役割だ。残る権利擁護業務では、虐待への対応、成年後見制度の利用支援、消費者被害の防止などを担う。
医学生医学生
保健所や市町村保健センターとは別物なんですよね。公衆衛生の講義で混乱しました。
ドクタードクター
そこも大事な区別だ。保健所や市町村保健センターは地域保健法に基づく公衆衛生の拠点で、地域包括支援センターは介護保険法に基づく機関。根拠法から違うと覚えておくといい。さらに、センターは地域ケア会議を開いて、個別事例の検討から地域の課題を見いだす役割も担っている。
医学生医学生
臨床で、退院後の生活が心配な高齢の患者さんがいたら、センターにつなげばいいということですね。
ドクタードクター
その通り。独居で介護保険の申請もしていない人、家族の介護負担が大きい人、虐待が疑われる人などは、病院の医療ソーシャルワーカーとも協力してセンターにつなぐことが大切だ。センターは、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの中核機関とされている。医師もその一員として、主治医意見書の作成や多職種連携に関わることになるよ。

まとめ

地域包括支援センターは、介護保険法に基づき市町村が設置する高齢者支援の中核機関で、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種が配置されます。業務の柱は総合相談支援、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントの4つで、地域のケアマネジャーへの指導・助言や困難事例への支援もここに含まれます。窓口相談、介護予防、医療との連携にはいずれも関わる一方、デイサービスなどの介護サービスを直接提供する事業所ではない点が重要です。保健所・市町村保健センター(地域保健法)や居宅介護支援事業所との違いも押さえておくと、制度問題で迷いにくくなります。退院支援や虐待対応など臨床の場面で、患者を適切な地域資源につなぐためにも欠かせない知識です。

解答・解説

正解はeです

地域包括支援センターは、2005(平成17)年の介護保険法改正に基づき、2006(平成18)年4月から設置が始まった機関である。高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう、保健・医療・福祉・介護の支援を包括的に結びつける地域の中核拠点として位置づけられている。設置主体は市町村であり、市町村が直営するほか、社会福祉法人や医療法人などに運営を委託することもできる。 センターには原則として、保健師(または経験のある看護師)、社会福祉士、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)の3職種が配置され、チームとして次の包括的支援事業を担う。 1)総合相談支援:高齢者本人や家族、地域住民からのさまざまな相談を窓口などで受け付け、適切な制度・サービスにつなぐ。 2)権利擁護:高齢者虐待への対応、成年後見制度の活用支援、消費者被害の防止などを行う。 3)包括的・継続的ケアマネジメント支援:地域の介護支援専門員(ケアマネジャー)に対する個別の指導・助言や困難事例への支援、主治医や関係機関との連携体制づくりを行う。 4)介護予防ケアマネジメント:要支援者などを対象に、介護予防のためのケアプラン作成などを行う。 本問は、これらの事業内容を知っていれば、センターが相談窓口を持ち、介護予防や医療との連携にも関わり、一方で自ら介護サービスを提供する施設ではないことが判断でき、正解はeとなる。

選択肢考察

  1. ×a.  窓口業務は行わない。

    誤り。総合相談支援はセンターの中心的な業務の一つであり、高齢者本人や家族、近隣住民などからの介護・福祉・健康・生活上の相談を窓口や電話、訪問で幅広く受け付けている。高齢者虐待が疑われる場合の相談・通報先にもなっている。

  2. ×b.  介護予防には関わらない。

    誤り。センターは介護予防ケアマネジメントを担い、要支援1・2の認定を受けた人や、介護予防・日常生活支援総合事業の対象者に対して、心身の状態の悪化を防ぐためのケアプラン(介護予防サービス計画など)を作成し、その実施を支援する。介護予防は設立当初から大きな柱である。

  3. ×c.  医療系サービスには関わらない。

    誤り。高齢者は医療と介護の両方を必要とすることが多いため、センターは主治医をはじめとする医療機関と連携し、訪問看護や訪問リハビリテーションなどの医療系サービスを含めた支援の調整に関わる。包括的・継続的ケアマネジメント支援の中で、医療・介護の多職種連携の体制づくりを行うことも役割の一つである。

  4. ×d.  通所介護〈デイサービス〉を提供する。

    誤り。センターは相談・調整・支援を行う機関であり、介護サービスを直接提供する事業所ではない。通所介護(デイサービス)は、指定を受けた通所介護事業所や老人デイサービスセンターなどが提供する。センターは必要に応じて利用者をこうしたサービスにつなぐ役割を担う。

  5. ○e.  介護支援専門員〈ケアマネジャー〉の支援を行う。

    正しい。包括的・継続的ケアマネジメント支援事業として、地域の居宅介護支援事業所などに所属するケアマネジャーに対し、個別の相談への指導・助言、支援困難事例への対応の支援、ケアマネジャー同士のネットワークづくりなどを行う。この業務の中心となるのが、センターに配置される主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)である。

地域包括支援センターの概要

・根拠法:介護保険法(2005年改正、2006年4月施行) ・設置主体:市町村(直営または社会福祉法人・医療法人などへの委託) ・配置職種:保健師(または地域ケアの経験がある看護師)、社会福祉士、主任介護支援専門員 ・設置の目安:おおむね日常生活圏域(中学校区程度)ごと

包括的支援事業の4本柱

1)総合相談支援業務 2)権利擁護業務(虐待の早期発見・対応、成年後見制度の利用支援など) 3)包括的・継続的ケアマネジメント支援業務(ケアマネジャーへの支援、関係機関との連携) 4)介護予防ケアマネジメント業務 このほか、個別事例の検討を通じて地域課題を見いだす地域ケア会議の開催なども担う。2014年の介護保険法改正以降は、市町村の地域支援事業として在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進(認知症初期集中支援チームなど)、生活支援体制の整備が位置づけられ、センターはこれらとも連携して活動している。

地域包括ケアシステムとの関係

地域包括ケアシステムとは、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域の仕組みであり、地域包括支援センターはその中核機関とされる。

混同しやすい機関

・居宅介護支援事業所:ケアマネジャーが要介護者のケアプランを作成する事業所 ・通所介護事業所(デイサービス):日中の入浴・食事・機能訓練などを提供する ・保健所・市町村保健センター:地域保健法に基づく公衆衛生の拠点で、地域包括支援センターとは別の機関である

POINT

・地域包括支援センターは介護保険法に基づき市町村が設置する、高齢者支援の地域の中核機関である。 ・配置職種は保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種。 ・業務の柱は総合相談支援、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援(ケアマネジャーへの支援を含む)、介護予防ケアマネジメント。 ・介護サービス(デイサービスなど)を直接提供する施設ではない。 ・高齢者虐待の相談・通報先でもある。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。