StudyMed医師国家試験

「要支援」で老健に入れる?―在宅サービスと施設サービスの境界線

第105回医師国家試験 B問題 第17問

国試問題にチャレンジ

第105回 B問題 第17問

要支援と認定された場合に利用できない介護保険サービスはどれか。

  1. a.介護老人保健施設への入所
  2. b.訪問リハビリテーション
  3. c.住宅改修費の支給
  4. d.福祉用具の貸与
  5. e.デイケア

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は介護保険の問題だ。テーマは「認定区分によって使えるサービスがどう違うか」。要支援と要介護では給付の種類が違う、という点に着目すると一気に解けるよ。まず、要介護認定の区分を言えるかな。
医学生医学生
要支援1・2と要介護1〜5、それから非該当の自立ですね。公衆衛生の講義で覚えました。
ドクタードクター
その通り。認定するのは保険者である市町村、特別区も含む。で、要支援になると給付は「予防給付」、要介護なら「介護給付」になる。予防給付のサービスには名前の頭に「介護予防」が付くのが目印なんだ。
医学生医学生
要支援でも、要介護と同じようなサービスが「介護予防〜」として使えるということですか。
ドクタードクター
在宅系についてはおおむねそう。ただ、介護保険のサービスは居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスの3つに分かれていて、このうち施設サービスだけは介護給付にしかない。要支援の人には用意されていないんだ。
医学生医学生
ということは、介護老人保健施設への入所が使えないサービスですね。
ドクタードクター
正解。老健は病状が安定した要介護者に、医師の管理下で看護やリハビリを行って在宅復帰を目指す中間施設だ。施設サービスなので入所できるのは要介護1〜5の人に限られる。
医学生医学生
でも訪問リハビリって、そこそこ重い人が使うイメージでした。在宅医療の実習で同行したお宅も寝たきりの方でしたし。
ドクタードクター
重い人にも使われるけれど、要支援の人にも「介護予防訪問リハビリテーション」として提供されている。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅に来て機能訓練を行うから、むしろ要介護状態への進行を防ぐ意味で大事なんだ。
医学生医学生
デイケアも同じ考え方でしょうか。デイサービスとの違いがいつも曖昧になります。
ドクタードクター
デイケアは通所リハビリテーションの通称で、老健や病院に日帰りで通ってリハビリを受けるもの。入浴・食事・レクリエーションが中心の通所介護、つまりデイサービスとは別物だよ。デイケアは「介護予防通所リハビリテーション」として要支援でも利用できる。
医学生医学生
住宅改修費の支給と福祉用具の貸与はどうですか。
ドクタードクター
どちらも要支援者が使える。住宅改修は手すりの取り付けや段差解消、引き戸や洋式便器への取り替えなど小規模な改修が対象で、支給限度基準額は原則20万円だ。福祉用具貸与は、軽度者では車いすや介護用ベッドなど一部の品目が原則対象外になるけれど、手すりや歩行器、歩行補助つえは借りられる。品目の制限はあってもサービス自体は使えるんだ。
医学生医学生
整理すると、在宅系は「介護予防」付きで要支援も使えて、施設への入所だけが要介護限定、ということですね。
ドクタードクター
その理解で大丈夫。ひっかけとして注意したいのが短期入所、ショートステイだ。施設に泊まるけれど在宅サービス扱いなので、要支援者も「介護予防短期入所」として利用できる。入所と短期入所を混同しないこと。
医学生医学生
特別養護老人ホームはどうでしたっけ。要介護なら誰でも入れるわけではなかったような。
ドクタードクター
よく覚えているね。特養は2015年度以降、新規入所が原則要介護3以上に限られた。施設サービスにはほかに介護医療院があって、長期療養が必要な要介護者に医療と生活の場を提供する。旧来の介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止されたよ。
医学生医学生
要支援の人のケアプランは誰が作るんですか。
ドクタードクター
主に地域包括支援センターが介護予防サービス計画を作る。要介護ならケアマネジャーのいる居宅介護支援事業所だ。それから、要支援者向けの訪問介護と通所介護は2015年の改正で予防給付から外れ、市町村の総合事業へ移行した。サービスがなくなったのではなく、枠組みが変わったという点も押さえておこう。退院支援の場面では、患者さんの認定区分を見て使えるサービスを考える力が求められるからね。

まとめ

介護保険では、要支援1・2は予防給付、要介護1〜5は介護給付の対象となり、介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院への入所という施設サービスは要介護者に限られます。訪問リハビリテーション、デイケア(通所リハビリテーション)、福祉用具貸与、住宅改修、短期入所などの在宅系サービスは「介護予防」を冠して要支援者にも提供されますが、福祉用具には軽度者での品目制限があります。特養の新規入所は原則要介護3以上であり、要支援者の訪問介護・通所介護は総合事業へ移行している点も頻出です。入所と短期入所の区別を含め、認定区分と給付の対応を理解しておくことは、退院支援や在宅療養の調整を担う医師にとって実践的な知識となります。

解答・解説

正解はaです

介護保険の認定区分によって利用できるサービスの範囲がどう違うかを問う問題である。 介護保険では、市町村(特別区を含む)が要介護認定を行い、「要支援1・2」「要介護1〜5」「非該当(自立)」のいずれかに判定する。要支援は「日常生活に一部支援が必要だが、介護を要する状態の予防が中心となる段階」であり、給付は予防給付(名称に「介護予防」が付くサービス)として行われる。一方、要介護は常時介護を要する状態で、介護給付の対象となる。 介護保険のサービスは大きく、居宅(在宅)サービス、地域密着型サービス、施設サービスの3つに分けられる。このうち施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院への入所)は介護給付にのみ含まれ、要支援者は利用できない。これに対し、訪問・通所系のサービスや福祉用具、住宅改修などの在宅サービスは、「介護予防〜」として要支援者にも用意されている。 したがって、「施設への入所」に当たる選択肢を選べばよい。

選択肢考察

  1. ○a.  介護老人保健施設への入所

    介護老人保健施設(老健)は、病状が安定した要介護者に対し、医師の管理下で看護・リハビリテーションを行って在宅復帰を目指す施設であり、介護保険の施設サービスに属する。施設サービスは介護給付の対象で、入所できるのは要介護1〜5と認定された者に限られる。予防給付には施設サービスが含まれないため、要支援者は老健に入所できない。よって本選択肢が「利用できないサービス」に当たる。

  2. ×b.  訪問リハビリテーション

    理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問して機能訓練を行うサービスである。要支援者には予防給付の「介護予防訪問リハビリテーション」として提供されており、利用できる。

  3. ×c.  住宅改修費の支給

    手すりの取り付け、段差の解消、滑り防止のための床材変更、引き戸への扉の取り替え、洋式便器への取り替えなど、小規模な住宅改修の費用を支給するものである。要支援者も「介護予防住宅改修」として対象になる(支給限度基準額は原則として同一住宅で20万円、その1〜3割が自己負担)。したがって利用できる。

  4. ×d.  福祉用具の貸与

    要支援者も「介護予防福祉用具貸与」として福祉用具のレンタルを受けられる。ただし、車いす、特殊寝台(介護用ベッド)、床ずれ防止用具など一部の品目は、軽度者(要支援1・2および要介護1)では原則として給付対象外となる。一方、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえは軽度者でも貸与の対象である。このように品目の制限はあるが、サービス自体は利用できる。

  5. ×e.  デイケア

    デイケアは通所リハビリテーションの通称で、介護老人保健施設や病院・診療所などに日帰りで通い、リハビリテーションを受けるサービスである。要支援者には「介護予防通所リハビリテーション」として提供されており、利用できる。なお、入浴・食事・レクリエーションなどを中心とする通所介護(デイサービス)とは区別される。

要介護認定と給付の種類

・要支援1・2:予防給付(介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス、介護予防支援)。ケアプラン(介護予防サービス計画)は主に地域包括支援センターが作成する。 ・要介護1〜5:介護給付(居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、居宅介護支援)。ケアプランは居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成する。

施設サービス(要介護者のみ)

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):常時介護を要し在宅生活が困難な者の生活の場。2015年度以降、新規入所は原則として要介護3以上に限られる。 ・介護老人保健施設:医療ケアとリハビリテーションを通じて在宅復帰を支援する中間施設。 ・介護医療院:長期療養が必要な要介護者に医療と生活の場を一体的に提供する施設で、2018年度に創設された。従来の介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止され、介護医療院などへ移行した。

入所と短期入所の違い

施設への「入所」は要支援者には認められないが、短期間だけ施設に泊まる短期入所(ショートステイ)は「介護予防短期入所生活介護」「介護予防短期入所療養介護」として要支援者も利用できる。入所(施設サービス)と短期入所(在宅サービス)を混同しないことが重要である。

要支援者の訪問介護・通所介護

2015年の制度改正以降、要支援者向けの訪問介護(ホームヘルプ)と通所介護(デイサービス)は予防給付から外れ、市町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)へ移行した。サービスがなくなったわけではなく、提供の枠組みが変わった点に注意する。

介護保険の基本

・保険者:市町村および特別区。 ・被保険者:第1号は65歳以上、第2号は40〜64歳の医療保険加入者(第2号は末期がんや関節リウマチなど16の特定疾病が原因の場合に限り給付対象)。 ・利用者負担:原則1割(所得に応じて2割または3割)。

POINT

・介護保険の施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院への入所)は要介護者のみが対象で、要支援者は利用できない。 ・訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション(デイケア)、福祉用具貸与、住宅改修、短期入所は、「介護予防」サービスとして要支援者も利用できる。 ・特別養護老人ホームへの新規入所は原則要介護3以上。 ・要支援者の訪問介護・通所介護は総合事業へ移行している。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。