StudyMed医師国家試験

申請から始まり、自分でも描ける―介護保険制度の「誰が・どうやって」を整理する

第104回医師国家試験 E問題 第34問

国試問題にチャレンジ

第104回 E問題 第34問

介護保険制度で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. a.住宅改修には利用できない。
  2. b.要介護認定は65歳以上の全員に行う。
  3. c.訪問看護と訪問介護との併用はできない。
  4. d.ケアプランは利用者が自分で作ることができる。
  5. e.第2号被保険者は40歳以上65歳未満を対象とする。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は介護保険制度の基本的な仕組みを問う問題だ。押さえるポイントは4つ。誰が被保険者なのか、サービスを使うまでにどんな手続きが必要か、どんなサービスが給付されるのか、そしてケアプランは誰が作るのか。この順番で整理していこう。
医学生医学生
介護保険は2000年に始まった制度で、保険者は市町村だと公衆衛生の講義で習いました。被保険者は65歳以上の人ですよね。
ドクタードクター
半分正解だね。65歳以上は第1号被保険者で、それとは別に40歳以上65歳未満で医療保険に加入している人が第2号被保険者になる。だから第2号被保険者が40歳以上65歳未満を対象とするという記述は正しい。
医学生医学生
40代から保険料を払っているということは、40代でも介護が必要になればサービスを使えるんですか。
ドクタードクター
いい疑問だ。第1号被保険者は原因を問わず要介護・要支援状態なら給付を受けられるけれど、第2号被保険者は、加齢に伴う疾病として定められた16の特定疾病が原因の場合に限られる。末期がん、関節リウマチ、脳血管疾患、初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患などがその例だ。交通事故による障害などは対象外になる。
医学生医学生
神経内科の実習で、50代のパーキンソン病の患者さんが介護保険でデイサービスに通っていました。特定疾病だったからなんですね。
ドクタードクター
その通り。次は手続きだ。65歳になったら全員に要介護認定が行われる、という選択肢はどうかな。
医学生医学生
65歳以上は人数が多すぎて、全員を調査するのは現実的ではない気がします。
ドクタードクター
感覚としてもいいし、制度上も明確に誤りだ。介護保険は申請主義で、本人や家族が市町村に申請して初めて認定の手続きが始まる。認定調査員の訪問調査と主治医意見書をもとにコンピュータで一次判定をして、介護認定審査会が二次判定を行い、要支援1・2、要介護1〜5、非該当のいずれかに決まるんだ。
医学生医学生
主治医意見書は、医師になったら自分たちが書くことになるんですよね。
ドクタードクター
そうだよ。病状だけでなく、日常生活でどれくらい介助が必要かが伝わるように書くことが大切だ。では給付内容に移ろう。住宅改修には使えない、という記述は?
医学生医学生
手すりを付けたり段差をなくしたりする改修は、介護保険で補助が出ると聞いたことがあります。
ドクタードクター
正解。手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、引き戸への取り替え、洋式便器への取り替えなどが対象で、原則として同一住宅につき20万円の支給限度基準額の範囲内で費用の大部分が給付される。在宅生活を続けるための大事なサービスだから、使えないというのは誤りだ。
医学生医学生
訪問看護と訪問介護は、どちらも家に来てくれるサービスなので、重複するから併用できないのかと一瞬思いました。
ドクタードクター
そう考えてしまう人は少なくないけれど、役割が違うんだ。訪問介護はホームヘルパーが入浴や排泄、食事などの身体介護や、調理・掃除などの生活援助を行う。訪問看護は看護師などが病状観察や医療処置、療養上の世話を行う。ケアプランに位置づければ併用でき、在宅療養ではむしろ組み合わせるのが一般的だ。ただし要介護度ごとの区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担になる。
医学生医学生
では最後のケアプランですが、ケアマネジャーが作るものだと思っていました。利用者本人が作ってもいいんですか。
ドクタードクター
通常は居宅介護支援事業所の介護支援専門員、つまりケアマネジャーに依頼するけれど、本人や家族が自分で作成して市町村に届け出る、いわゆるセルフケアプランも制度上認められている。事業者との調整や給付管理も自分でやる必要があるから手間はかかるけどね。なお、ケアマネジャーに頼んだ場合の作成費用は全額保険給付で、利用者負担はない。だから正解は、ケアプランの自己作成と第2号被保険者の年齢範囲の2つだ。
医学生医学生
整理すると、申請して認定を受け、ケアプランを立ててサービスを組み合わせて使う、という流れなんですね。
ドクタードクター
その通り。補足すると、要支援の人の介護予防ケアプランは主に地域包括支援センターが担当する。財源は保険料と公費が半分ずつで、利用者負担は原則1割、所得に応じて2割や3割になる。臨床では、退院支援の場面で医師が介護保険の申請を勧めたり、主治医意見書を書いたり、多職種カンファレンスでケアマネジャーと連携したりする機会がとても多い。制度を知っていると、患者さんが自宅に帰ってからの生活まで見通した医療ができるようになるよ。

まとめ

介護保険の被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳の医療保険加入者である第2号被保険者に分かれ、第2号は16の特定疾病が原因の場合に限って給付を受けられます。制度は申請主義で、65歳になっても自動的に認定されることはなく、訪問調査と主治医意見書に基づく一次判定・介護認定審査会の二次判定を経て要介護度が決まります。ケアプランは通常ケアマネジャーが作成しますが本人や家族による自己作成も認められ、訪問看護と訪問介護は区分支給限度基準額の範囲内で併用でき、手すり設置などの住宅改修も給付対象です。医師は主治医意見書の作成や退院支援を通じて介護保険に深く関わるため、制度の流れを理解しておくことは患者の在宅生活を支える医療の土台になります。

解答・解説

正解はd, eです

介護保険制度の基本的な仕組みを問う問題である。押さえるべき点は、(1) 誰が被保険者か(第1号・第2号の区別)、(2) サービスを受けるには本人・家族の申請に基づく要介護認定が必要であること、(3) 給付の内容(居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービス、住宅改修や福祉用具など)、(4) ケアプラン(介護サービス計画)の作成主体、の4点である。 介護保険は「申請主義」の制度であり、年齢に達したからといって自動的に認定が行われるわけではない。また、サービスはケアプランに基づいて組み合わせて利用するのが前提であり、医療系サービス(訪問看護など)と福祉系サービス(訪問介護など)を併用することはむしろ一般的である。ケアプランは通常、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成するが、利用者本人や家族が自ら作成すること(いわゆるセルフケアプラン)も制度上認められている。これらを踏まえて各選択肢を検討する。

選択肢考察

  1. ×a.  住宅改修には利用できない。

    誤り。住宅改修は介護保険の給付対象である。要支援・要介護の認定を受けた人が、手すりの取り付け、段差の解消、滑り防止のための床材変更、引き戸などへの扉の取り替え、洋式便器への取り替えなど、在宅生活を続けるための小規模な改修を行う場合に、支給限度基準額(原則として同一住宅につき20万円)の範囲内で費用の大部分が給付される。自宅での自立した生活を支える重要なサービスの一つである。

  2. ×b.  要介護認定は65歳以上の全員に行う。

    誤り。要介護認定は、本人または家族などが市町村(保険者)へ申請して初めて行われる。65歳以上の第1号被保険者であっても、申請しなければ認定は行われない。申請後は、認定調査員による訪問調査と主治医意見書をもとにコンピュータによる一次判定を行い、その結果を介護認定審査会が審査して二次判定(要支援1・2、要介護1〜5、非該当のいずれか)を下す。

  3. ×c.  訪問看護と訪問介護との併用はできない。

    誤り。訪問介護(ホームヘルパーが自宅を訪れ、入浴・排泄・食事などの身体介護や、調理・掃除などの生活援助を行うサービス)と、訪問看護(看護師などが自宅を訪れ、病状観察や医療処置、療養上の世話を行うサービス)は、ケアプランに位置づけることで併用できる。ただし、要介護度ごとに定められた区分支給限度基準額の範囲内で利用するのが原則であり、それを超えた分は全額自己負担となる。在宅療養では両者を組み合わせることが多い。

  4. ○d.  ケアプランは利用者が自分で作ることができる。

    正しい。ケアプラン(居宅サービス計画)は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)に作成を依頼するのが一般的であるが、利用者本人や家族が自ら作成し、市町村に届け出ること(セルフケアプラン、自己作成)も認められている。この場合、サービス事業者との調整や給付管理も自分で行う必要があるため手間はかかるが、制度上は可能である。なお、ケアマネジャーに依頼した場合のケアプラン作成費用は全額保険給付で賄われ、利用者負担はない。

  5. ○e.  第2号被保険者は40歳以上65歳未満を対象とする。

    正しい。介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満(40〜64歳)で医療保険に加入している第2号被保険者に分かれる。第1号被保険者は原因を問わず要介護・要支援状態であれば給付を受けられるのに対し、第2号被保険者が給付を受けられるのは、要介護状態の原因が加齢に伴う疾病として定められた16の特定疾病(末期がん、関節リウマチ、脳血管疾患、初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患など)による場合に限られる。

介護保険制度の概要

・2000年施行。保険者は市町村(特別区を含む)。財源は保険料50%と公費50%(国・都道府県・市町村)で構成される。 ・被保険者:第1号被保険者(65歳以上)、第2号被保険者(40〜64歳の医療保険加入者)。第1号の保険料は原則として年金から天引き(特別徴収)され、第2号の保険料は医療保険の保険料と一括して徴収される。 ・第2号被保険者の給付は特定疾病(16疾病)が原因の場合に限られる。

利用までの流れ

申請(本人・家族、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者による代行も可)→ 認定調査・主治医意見書 → 一次判定(コンピュータ)→ 二次判定(介護認定審査会)→ 認定(要支援1・2、要介護1〜5、非該当)→ ケアプラン作成 → サービス利用。 ・要支援者のケアプラン(介護予防サービス計画)は主に地域包括支援センターが担当する。

主な給付

・居宅サービス:訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、短期入所(ショートステイ)、福祉用具貸与、特定福祉用具販売など。 ・住宅改修:手すり設置、段差解消など(支給限度基準額20万円)。 ・施設サービス:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院。 ・地域密着型サービス:小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)など。 ・利用者負担は原則1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)。

POINT

・介護保険は申請主義であり、要介護認定は申請があって初めて行われる。 ・第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40〜64歳の医療保険加入者で、第2号は特定疾病が原因の場合のみ給付対象。 ・ケアプランは通常ケアマネジャーが作成するが、利用者本人が作成してもよい。 ・住宅改修は給付対象である。 ・訪問看護と訪問介護は区分支給限度基準額の範囲内で併用できる。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。