StudyMed医師国家試験

「妊娠第4月」を週数に直せるか―死産届の12週ラインを22週と混同しない

第118回医師国家試験 C問題 第5問

国試問題にチャレンジ

第118回 C問題 第5問

死産届が必要な妊娠週数は何週以降か。

  1. a.8
  2. b.12
  3. c.16
  4. d.20
  5. e.24

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は公衆衛生の届出制度から、死産届の対象となる妊娠週数を問う問題だ。ポイントは、法令上の「月」の数え方を週数に換算できるかどうか、そして産科でよく出てくる別の週数の区切りと混同しないことだよ。
医学生医学生
死産というと、妊娠22週以降の死亡というイメージがあります。周産期死亡の講義で22週という数字を何度も聞いたので。
ドクタードクター
そこがまさに落とし穴なんだ。死産の届出は「死産の届出に関する規程」という厚生省令に基づいていて、死産を「妊娠第4月以後における死児の出産」と定義している。では、妊娠第4月は何週にあたるかな。
医学生医学生
妊娠月数は4週で1か月と数えるので、第1月が0〜3週、第2月が4〜7週、第3月が8〜11週……。第4月は12〜15週ですね。
ドクタードクター
その通り。つまり妊娠12週以降に死児を出産した場合が死産で、届出の対象になる。正解は12週だ。ここでいう死児とは、娩出後に心拍・随意筋の運動・呼吸のいずれも認められない児のことだよ。
医学生医学生
8週はどうでしょう。発生学で、そのあたりから胎芽が胎児と呼ばれるようになると習った気がします。
ドクタードクター
産科学では妊娠10週未満を胎芽、10週以降を胎児と呼ぶのが一般的だけれど、その区分は届出の基準とは関係ない。12週より前に妊娠が終わった場合は、死産届の対象にはならないんだ。
医学生医学生
16週は、第4月の終わりの次の週、つまり第5月の始まりですね。「第4月以後」を「第4月が終わってから」と読み違えると16週を選んでしまいそうです。
ドクタードクター
鋭い指摘だね。「以後」はその月を含むから、12〜15週の死産も届け出なければならない。次に20週と24週はどうだろう。
医学生医学生
どちらも聞き覚えはあるのですが、制度の区切りとしては思い当たりません。混乱するのはむしろ22週です。
ドクタードクター
そう、20週と24週は死産届の基準ではない。22週は、流産と早産の境界、母体保護法で人工妊娠中絶が認められる上限(22週未満)、周産期死亡に含める死産の下限(22週以後)と、いくつもの区切りに使われる数字だ。でも死産届は12週。ここを分けて覚えよう。
医学生医学生
ということは、妊娠15週で流産した場合、医学的には流産だけれど届出上は死産になる、ということですか。
ドクタードクター
その理解で正しい。流産は医学的には22週未満の妊娠終了だから、12〜21週の流産は届出上は死産として扱われる。さらに大事なのは、自然死産だけでなく、人工妊娠中絶による人工死産も12週以降なら届出が必要だという点だ。
医学生医学生
産婦人科の臨床実習で中期中絶の症例を見ましたが、その後に書類の手続きがあったのはそのためなんですね。
ドクタードクター
そうだね。届出の実務も押さえておこう。死産後7日以内に、届出人の所在地または死産のあった場所の市町村長へ届け出る。届出義務者は原則として父で、父が届け出られないときは母、同居人、立ち会った医師・助産師、その他の立会者の順になる。
医学生医学生
医師が書く書類は何ですか。死亡診断書とは別ですよね。
ドクタードクター
別物だよ。死産に立ち会った医師・助産師は死産証書を、立ち会わなかった場合は死胎検案書を作成し、届に添付する。それから、墓地、埋葬等に関する法律でも妊娠4か月以上の死胎は死体と同様に扱われ、埋葬や火葬には市町村長の許可が必要になる。ここも12週で一致しているね。
医学生医学生
もし赤ちゃんが生まれたあと、少しでも心拍や呼吸があってから亡くなった場合はどうなりますか。
ドクタードクター
その場合は死産ではなく、出生とその後の死亡になる。出生届と、死亡診断書を添えた死亡届を出すことになるんだ。週数に関係なく、生命徴候の有無で扱いが変わることも覚えておこう。統計では死産率を死産数÷出産数(出生数+死産数)×1,000で出すけれど、周産期死亡率では22週以後の死産だけを数える点も、12週と22週の使い分けの好例だよ。
医学生医学生
12週は届出と埋葬、22週は流産・中絶・周産期死亡、と整理すれば混同しなさそうです。

まとめ

死産届の対象は「妊娠第4月以後」、すなわち妊娠12週以降の死児の出産であり、自然死産だけでなく人工妊娠中絶による人工死産も含まれます。死産後7日以内に市町村長へ届け出ることになっており、届出義務者は原則として父で、医師・助産師が作成した死産証書または死胎検案書を添付します。妊娠4か月以上の死胎は埋葬・火葬にも許可が必要で、ここも12週が基準となります。一方、22週は流産と早産の境界、人工妊娠中絶の上限、周産期死亡に含める死産の下限に使われる数字で、死産届の基準とは異なります。週数の区切りを制度ごとに整理しておくことは、国家試験対策だけでなく、産科診療で必要な書類を正しく作成するうえでも欠かせません。

解答・解説

正解はbです

死産の届出は、昭和21年の厚生省令である「死産の届出に関する規程」に基づいて行われる。この規程は死産を「妊娠第4月以後における死児の出産」と定義している。妊娠第4月は妊娠12週0日〜15週6日にあたるので、言い換えると妊娠12週以降の死児の出産が死産であり、届出の対象となる。ここでいう死児とは、娩出後に心拍・随意筋の運動・呼吸のいずれも認められない児をいう。 届出の要点は次のとおりである。 ・期限と届出先:死産後7日以内に、届出人の所在地または死産のあった場所の市町村長へ届け出る。 ・届出義務者:原則は父であり、父が届け出られないときは母、さらに同居人、死産に立ち会った医師・助産師、その他の立会者の順となる。 ・添付書類:医師または助産師が作成した死産証書(立ち会った場合)または死胎検案書(立ち会わなかった場合)を添付する。 したがって、死産届が必要になるのは妊娠12週以降である。

選択肢考察

  1. ×a.  8

    妊娠8週は届出の基準ではない。妊娠12週より前に妊娠が終わった場合、死産届の対象にはならない。なお産科学では妊娠10週未満の児を胎芽、10週以降を胎児とよぶのが一般的だが、この区分も届出の基準とは関係がない。

  2. ○b.  12

    「死産の届出に関する規程」は死産を妊娠第4月以後(=妊娠12週以降)の死児の出産と定めているので、12週以降の死産は届出の対象となる。自然死産だけでなく、人工妊娠中絶による人工死産も12週以降なら届け出なければならない。また墓地、埋葬等に関する法律でも妊娠4か月以上の死胎は死体と同様に扱われ、埋葬・火葬には市町村長の許可が必要となる。

  3. ×c.  16

    妊娠16週は妊娠第5月の始まりにあたる。届出の基準はそれより1か月早い妊娠第4月(12週)であり、12〜15週の死産も届け出なければならない。

  4. ×d.  20

    妊娠20週は死産届の基準ではない。混同しやすいのは妊娠22週という区切りである。妊娠22週未満の妊娠終了が流産、母体保護法で人工妊娠中絶が認められるのが妊娠22週未満、周産期死亡に含める死産が妊娠満22週以後と、いずれも22週で区切られており、20週ではない。

  5. ×e.  24

    妊娠24週は死産届の基準ではない。12週以降であれば週数を問わず届出が必要であり、24週以降に限られるわけではない。

死産と流産・出生の関係

・死産(届出上の定義):妊娠12週以降の死児の出産。自然死産と人工死産(人工妊娠中絶による)に分けられる。 ・流産(医学的定義):妊娠22週未満に妊娠が終わること。したがって妊娠12〜21週の流産は、届出上は死産として扱われる。 ・児が娩出後にわずかでも生命徴候(心拍・呼吸など)を示し、その後に死亡した場合は、死産ではなく出生と死亡にあたる。このときは出生届と死亡届(死亡診断書を添付)を提出する。

週数による主な区切り

・12週:死産届の対象となり、死胎の埋葬・火葬に許可が必要となる。 ・22週:流産と早産の境界、人工妊娠中絶が許される上限(22週未満)、周産期死亡に含める死産の下限(22週以後)。 ・37週:早産と正期産の境界。

関連する指標

・死産率=死産数/出産数(出生数+死産数)×1,000 ・周産期死亡率=(妊娠満22週以後の死産数+早期新生児死亡数)/(出生数+妊娠満22週以後の死産数)×1,000 早期新生児死亡は生後1週未満の死亡である。

POINT

・死産届は妊娠12週(妊娠第4月)以降の死児の出産が対象であり、人工死産も含む。 ・死産後7日以内に市町村長へ届け出る。届出義務者は原則として父である。 ・医師・助産師が作成した死産証書または死胎検案書を添付する。 ・22週(流産・中絶の上限・周産期死亡)の区切りと混同しない。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。