StudyMed医師国家試験

カルテは5年、処方箋は3年、諸記録は2年―「医師法×5年」が指す記録はただ一つ

第119回医師国家試験 C問題 第9問

国試問題にチャレンジ

第119回 C問題 第9問

医師法で5年間の保存義務が規定されているのはどれか。

  1. a.紹介状
  2. b.処方箋
  3. c.診療録
  4. d.看護記録
  5. e.エックス線写真

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は医療に関する記録の保存義務を問う問題だ。ポイントは「どの法律が」「何年」と定めているか、の2つをセットで押さえること。記録ごとに根拠法も期間もバラバラだから、そこを整理していこう。
医学生医学生
公衆衛生の講義で保存期間の表を見た覚えはあるんですが、2年、3年、5年が混ざってしまって自信がないです。
ドクタードクター
混ざりやすいところだね。まずは医師法そのものから。医師法には医師個人に課された義務がいくつも並んでいるけれど、記録について書かれているのは第24条だけなんだ。何が書いてあるか覚えているかな。
医学生医学生
診療したら遅滞なく診療録に記載しなければならない、という条文ですよね。
ドクタードクター
その通り。そして同じ条文の第2項で、その診療録を5年間保存しなければならないと定めている。だから正解は診療録だ。医師法が保存期間を直接定めている記録は診療録だけ、と覚えておけば迷わない。
医学生医学生
保存するのは書いた医師本人なんですか。勤務医が異動したら困りそうです。
ドクタードクター
いい疑問だ。病院や診療所に勤務する医師の診療録は、その施設の管理者が保存義務を負う。それ以外、たとえば往診専門で施設をもたない医師の場合は医師本人だ。なお保険診療のルールである療担規則でも、診療録は完結の日から5年間保存とされている。
医学生医学生
では処方箋はどうでしょう。医師法に処方箋の交付義務があったので、保存も医師法かと思いました。
ドクタードクター
そこがひっかけだね。医師法第22条が定めているのは交付義務までで、保存期間は書かれていない。調剤済みの処方箋は薬剤師法で、薬局開設者が3年間保存する。病院の院内処方箋は医療法施行規則の「診療に関する諸記録」として2年間だ。
医学生医学生
看護記録は、看護師の法律である保助看法で決まっているのかと思っていました。
ドクタードクター
それも誤解しやすい点だ。保助看法で5年間の保存が定められているのは助産師の助産録で、看護記録ではない。看護記録は医療法施行規則の「診療に関する諸記録」の一つで、2年間の保存が求められている。
医学生医学生
エックス線写真も同じ「諸記録」の仲間ですか。放射線科を回ったとき、昔のフィルムがずっと倉庫に残っていたのが印象的でした。
ドクタードクター
そう、エックス線写真も諸記録として2年間。さらに保険医療機関では療担規則により3年間の保存が求められる。実際の病院では比較の読影のためにもっと長く残すことが多いけれど、法的な最低期間とは別の話だね。
医学生医学生
紹介状は、どこにも決まりがないように思えますが。
ドクタードクター
医師法には規定がないね。ただ医療法施行規則で、地域医療支援病院と特定機能病院が備えておくべき諸記録に紹介状が含まれていて、2年間の保存対象になっている。保険診療上の書類としては療担規則で3年間だ。いずれにしても医師法で5年、ではない。
医学生医学生
整理すると、医師法で5年は診療録、薬剤師法で3年は調剤済み処方箋、医療法施行規則の諸記録は2年、療担規則の記録は3年、ということですね。
ドクタードクター
完璧だ。加えて、5年の仲間として歯科医師法の歯科医師の診療録、保助看法の助産録も覚えておくといい。ついでに医師法上の他の義務も押さえておこう。応招義務、診断書等の交付義務、無診察治療の禁止、異状死体等の24時間以内の警察署への届出、処方箋交付義務、保健指導義務、そして診療録の記載・保存義務だ。
医学生医学生
CBTでも異状死体の届出先が警察署か保健所かで迷った問題がありました。条文の番号と中身をセットで覚え直します。
ドクタードクター
それがいい。最後に臨床での注意点として、診療録は真正性・見読性・保存性という基準を満たせば電子カルテで保存できる。そして診療録は医療訴訟などで重要な証拠になるから、5年は最低限の義務にすぎず、正確に、遅滞なく書くこと自体が自分と患者を守ると覚えておいてほしい。

まとめ

医師法第24条は、医師に診療録の遅滞ない記載と5年間の保存を義務づけており、医師法が保存期間を直接定めている記録は診療録だけです。保存義務者は、勤務医の診療録では病院・診療所の管理者、それ以外では医師本人です。一方、調剤済み処方箋は薬剤師法で3年間、看護記録やエックス線写真などの「診療に関する諸記録」は医療法施行規則で2年間(保険診療では療担規則で3年間)、紹介状は地域医療支援病院・特定機能病院の諸記録として2年間とされています。5年の仲間には歯科医師の診療録や助産録もあり、「法律名と期間をセットで覚える」ことが混乱を防ぐコツです。診療録は法的義務であると同時に医療の質と安全を支える記録であり、その意義を理解しておくことは臨床医としての基本になります。

解答・解説

正解はcです

問われていること

医療に関する記録には、それぞれ保存義務と保存期間が法令で定められているが、その根拠となる法律と期間は記録ごとに異なる。本問は「医師法」が「5年間」の保存を定めているものを選ぶ問題であり、法律名と期間の両方を正しく対応させる必要がある。

医師法第24条

医師法第24条は、医師が診療をしたときは遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならないこと(第1項)、そしてその診療録を5年間保存しなければならないこと(第2項)を定めている。保存の義務者は、病院・診療所に勤務する医師が行った診療についてはその病院・診療所の管理者、それ以外の診療(往診専門の開業医など)については医師本人である。

ほかの記録との区別

ほかの記録の保存期間は主に医療法(同施行規則)や薬剤師法、保険医療機関及び保険医療担当規則(療担規則)で定められており、多くは2年または3年である。医師法が保存期間を直接定めているのは診療録のみであり、「医師法・5年=診療録」と覚えておけば正解に至る。

選択肢考察

  1. ×a.  紹介状

    紹介状は医師法に保存規定がない。医療法施行規則では、地域医療支援病院と特定機能病院が備えておくべき「診療に関する諸記録」に紹介状が含まれ、過去2年間分の保存が求められている。また保険診療で受け取った紹介状などの書類は、療担規則に基づき3年間保存することとされる。いずれにせよ医師法で5年間と定められたものではない。

  2. ×b.  処方箋

    医師法第22条は医師の処方箋交付義務を定めているが、保存期間の規定はない。調剤済みとなった処方箋は、薬剤師法第27条により薬局開設者が調剤済みとなった日から3年間保存しなければならない。病院では院内の処方箋が医療法施行規則上の「診療に関する諸記録」に含まれ、2年間の保存対象となる。

  3. ○c.  診療録

    診療録(カルテ)は、医師法第24条で記載義務とともに5年間の保存義務が定められている。病院・診療所の勤務医が行った診療の診療録は管理者が、それ以外は医師本人が保存する。また療担規則でも、保険医療機関は診療録を完結の日から5年間保存することとされている。なお診療録は、一定の基準(真正性・見読性・保存性)を満たせば電子媒体で保存することも認められている。

  4. ×d.  看護記録

    看護記録は医師法の対象ではなく、医療法施行規則で病院の「診療に関する諸記録」の一つとして定められ、2年間の保存が求められている。看護師には保健師助産師看護師法で助産録(助産師、5年間)のような保存規定はあるが、看護記録の保存期間を定めたものではない。

  5. ×e.  エックス線写真

    エックス線写真は医療法施行規則で病院の「診療に関する諸記録」に含まれ、2年間の保存義務がある。さらに保険医療機関では、療担規則により療養の給付に関する記録として3年間の保存が求められる。医師法で5年間と定められたものではない。

主な医療記録の保存期間

・診療録:5年間(医師法第24条。療担規則でも完結の日から5年間) ・歯科医師の診療録:5年間(歯科医師法) ・助産録:5年間(保健師助産師看護師法) ・調剤済み処方箋、調剤録:3年間(薬剤師法) ・保険診療に関する帳簿・書類その他の記録(エックス線写真、検査記録など):3年間(療担規則) ・病院の診療に関する諸記録(病院日誌、各科診療日誌、処方箋、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、入院診療計画書など):2年間(医療法施行規則) ・地域医療支援病院・特定機能病院では、上記に加えて紹介状、退院患者の入院期間中の診療経過の要約なども2年間の保存対象

医師法上の主な義務

応招義務(第19条第1項)、診断書等の交付義務(第19条第2項)、無診察治療等の禁止(第20条)、異状死体等の届出義務(第21条、24時間以内に所轄警察署へ)、処方箋の交付義務(第22条)、保健指導を行う義務(第23条)、診療録の記載・保存義務(第24条)。

POINT

・医師法で保存期間が定められているのは診療録で、期間は5年間である(第24条)。 ・調剤済み処方箋は薬剤師法で3年間。 ・看護記録、エックス線写真などの「診療に関する諸記録」は医療法施行規則で2年間(保険診療では療担規則により3年間)。 ・紹介状は地域医療支援病院・特定機能病院の諸記録として2年間。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。