介護保険の「骨格」をつかむ―誰が運営し、誰が認定し、何を給付するのか
第117回医師国家試験 C問題 第13問
国試問題にチャレンジ
介護保険について正しいのはどれか。2つ選べ。
- a.自己負担率は5割である。
- b.福祉事務所が認定を行う。
- c.介護予防サービスが含まれる。
- d.保険料は市町村によって異なる。
- e.高齢者医療確保法で規定されている。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
介護保険制度は介護保険法に基づく社会保険で、保険者は市町村(特別区を含む)です。そのため要介護・要支援の認定は、訪問調査と主治医意見書をもとにした一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て市町村が行い、第1号被保険者の保険料も市町村ごとに異なります。給付には要介護者への介護給付と要支援者への予防給付(介護予防サービス)があり、利用者負担は原則1割(所得により2割・3割)です。高齢者医療確保法は後期高齢者医療制度や特定健診を、老人福祉法は老人福祉施設を規定するなど、関連法を役割で区別することが得点につながります。医師は主治医意見書を通じて認定に直接関わるため、制度の骨格を理解することは患者の退院後の生活を支える診療にも役立ちます。
解答・解説
正解はc, dです
問われていること
介護保険制度の基本的な仕組み(根拠法、保険者、被保険者、要介護認定、給付の種類、利用者負担、保険料)についての知識を問う問題である。
考え方
介護保険制度は、高齢化と家族介護の限界を背景に、介護を社会全体で支える仕組みとして介護保険法(1997 年制定、2000 年施行)により創設された社会保険である。押さえるべき骨格は次のとおりである。 ・保険者:市町村および特別区(東京 23 区)。住民に最も身近な自治体が運営する。 ・被保険者:65 歳以上の第 1 号被保険者と、40〜64 歳の医療保険加入者である第 2 号被保険者。 ・認定:市町村が介護認定審査会の審査・判定に基づいて要介護・要支援の認定を行う。 ・給付:要介護者への介護給付と、要支援者への予防給付(介護予防サービス)がある。 ・利用者負担:原則 1 割(一定以上の所得があれば 2 割または 3 割)。 ・保険料:第 1 号被保険者の保険料は市町村ごとに設定される。 この骨格に照らすと、介護予防サービスを含むこと、保険料が市町村によって異なることの 2 つが正しい。
選択肢考察
- ×a. 自己負担率は5割である。
誤り。介護サービス利用時の自己負担は原則 1 割である。一定以上の所得がある第 1 号被保険者は 2 割、特に所得の高い者(現役並み所得者)は 3 割となる。5 割負担という区分は存在しない。なお、自己負担が高額になった場合には高額介護サービス費により上限を超えた分が払い戻される。
- ×b. 福祉事務所が認定を行う。
誤り。要介護・要支援の認定を行うのは保険者である市町村(特別区を含む)である。本人や家族の申請を受けて市町村が訪問調査を行い、その結果と主治医意見書をもとにコンピュータによる一次判定を行う。続いて、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が二次判定(審査・判定)を行い、その結果に基づいて市町村が認定する。福祉事務所は生活保護や児童・母子・障害者福祉などの業務を担う機関であり、要介護認定には関与しない。
- ○c. 介護予防サービスが含まれる。
正しい。介護保険の給付には、要介護 1〜5 の者に対する介護給付と、要支援 1・2 の者に対する予防給付がある。予防給付で提供される介護予防サービス(介護予防訪問看護、介護予防通所リハビリテーションなど)は、心身機能の低下を防ぎ、要介護状態になることや状態の悪化を予防することを目的としている。さらに、市町村が行う地域支援事業として介護予防・日常生活支援総合事業も位置づけられている。
- ○d. 保険料は市町村によって異なる。
正しい。介護保険の保険者は市町村であり、第 1 号被保険者(65 歳以上)の保険料は、各市町村がその地域の介護サービスの見込み量(高齢化の程度やサービス基盤など)に応じて 3 年ごとの介護保険事業計画に合わせて基準額を定める。そのうえで本人や世帯の所得に応じて段階的に設定されるため、同じ所得でも住む市町村によって保険料が異なる。なお、第 2 号被保険者(40〜64 歳)の保険料は、加入している医療保険の保険料と一括して徴収される。
- ×e. 高齢者医療確保法で規定されている。
誤り。介護保険制度の根拠法は介護保険法である。高齢者医療確保法(高齢者の医療の確保に関する法律)は、75 歳以上を対象とする後期高齢者医療制度や、40〜74 歳を対象とする特定健康診査・特定保健指導などを規定する法律であり、介護保険とは別の制度である。
介護保険制度の概要
・根拠法:介護保険法(2000 年 4 月施行) ・保険者:市町村・特別区 ・財源:保険料 50%と公費 50%(国・都道府県・市町村)で賄われ、利用者負担はこれとは別に支払う。
被保険者
・第 1 号被保険者:65 歳以上の者。原因を問わず要介護・要支援状態であれば給付を受けられる。保険料は原則として年金から天引き(特別徴収)される。 ・第 2 号被保険者:40〜64 歳の医療保険加入者。給付は、加齢に伴う 16 種類の特定疾病(末期がん、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、脳血管疾患、初老期における認知症など)が原因で要介護・要支援となった場合に限られる。
要介護認定の流れ
申請(市町村)→ 認定調査(訪問調査)+主治医意見書 → 一次判定(コンピュータ)→ 介護認定審査会による二次判定 → 市町村が認定(要支援 1・2、要介護 1〜5、非該当)
給付とケアマネジメント
・要介護 1〜5:介護給付(居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービス)。ケアプランは居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成することが多い。 ・要支援 1・2:予防給付(介護予防サービス)。介護予防ケアプランは地域包括支援センターが中心となって作成する。 ・非該当者などを含め、市町村は地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業など)を行う。
利用者負担
原則 1 割、一定以上の所得で 2 割、現役並み所得で 3 割。月ごとの負担上限を超えた分は高額介護サービス費として支給される。
関連する法律との区別
・介護保険法:介護保険制度 ・高齢者医療確保法:後期高齢者医療制度、特定健康診査・特定保健指導 ・老人福祉法:特別養護老人ホームなどの老人福祉施設、措置制度
POINT
・介護保険の根拠法は介護保険法、保険者は市町村(特別区を含む)。 ・要介護認定は介護認定審査会の判定に基づき市町村が行う。 ・利用者負担は原則 1 割(所得により 2 割・3 割)。 ・給付は要介護者への介護給付と、要支援者への予防給付(介護予防サービス)。 ・第 1 号被保険者の保険料は市町村ごとに異なる。
