40歳で始まる「もう一つの保険」―介護保険と社会保障の年齢の節目を整理する
第117回医師国家試験 B問題 第14問
国試問題にチャレンジ
介護保険の強制加入の開始年齢はどれか。
- a.20歳
- b.40歳
- c.60歳
- d.65歳
- e.75歳
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
介護保険は市町村(特別区を含む)を保険者とする社会保険制度で、40歳から強制加入となります。40歳以上65歳未満の医療保険加入者は第2号被保険者で、給付は末期がんやALS、脳血管疾患など16種類の特定疾病による場合に限られ、65歳以上の第1号被保険者は原因を問わず給付の対象となります。20歳は国民年金の加入開始、60歳は国民年金の保険料納付期間の終了、65歳は第1号被保険者への移行と老齢基礎年金の受給開始、75歳は後期高齢者医療制度への移行と、社会保障制度の年齢の節目を区別して整理することが大切です。要介護認定では医師が主治医意見書を作成するため、制度の理解は在宅医療や退院支援など日常診療に直結します。
解答・解説
正解はbです
介護保険は、2000年に施行された介護保険法に基づく社会保険制度で、保険者は市町村(特別区を含む)である。被保険者は年齢によって2種類に分かれ、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満で医療保険に加入している第2号被保険者からなる。いずれも本人の意思にかかわらず加入が義務付けられており(強制加入)、40歳になると医療保険の保険料と合わせて介護保険料の納付が始まる。したがって強制加入の開始年齢は40歳である。 本問では、ほかの選択肢の年齢がそれぞれ別の制度の節目(国民年金の加入開始、年金の受給開始、介護保険の第1号被保険者、後期高齢者医療制度など)に対応しているため、社会保障制度ごとの年齢区分を整理しておくことが重要である。
選択肢考察
- ×a. 20歳
誤り。20歳は国民年金への加入義務が生じる年齢である。日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、国民年金の被保険者となる。なお、民法上の成年年齢は2022年4月から18歳に引き下げられたが、飲酒・喫煙が認められる年齢は引き続き20歳である。介護保険とは関係しない。
- ○b. 40歳
正しい。40歳以上65歳未満で医療保険に加入している人は、介護保険の第2号被保険者として強制加入となり、介護保険料を医療保険の保険料と一緒に納める。第2号被保険者が介護サービスを受けられるのは、加齢に伴って生じる16種類の特定疾病(末期がん、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、脳血管疾患、初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患など)が原因で要介護・要支援状態になった場合に限られる。40歳という区切りは、親の介護が現実的な問題となり、自身にも加齢に伴う疾病が増え始める年代であることなどを踏まえたものである。
- ×c. 60歳
誤り。60歳は国民年金の被保険者期間(保険料納付義務)が終わる年齢である。また、かつては厚生年金(老齢厚生年金)の支給開始年齢が60歳であったが、法改正により段階的に65歳へ引き上げられている。介護保険の加入年齢とは関係しない。
- ×d. 65歳
誤り。65歳は介護保険の第1号被保険者となる年齢であり、すでに40歳から加入している介護保険の被保険者区分が切り替わる節目である。第1号被保険者は原因を問わず、要介護・要支援認定を受ければ介護サービスを利用でき、保険料は引き続き納める(一定額以上の年金受給者は年金からの天引き〈特別徴収〉)。また、65歳は老齢基礎年金(国民年金)の原則的な受給開始年齢でもある。強制加入の「開始」年齢ではない。
- ×e. 75歳
誤り。75歳は後期高齢者医療制度の対象となる年齢である(一定の障害がある場合は65歳から)。75歳になると、それまで加入していた国民健康保険や被用者保険(健康保険組合など)から、都道府県ごとに全市町村が加入する後期高齢者医療広域連合が運営する後期高齢者医療制度へ移行する。なお、65〜74歳は前期高齢者と呼ばれる。介護保険の加入開始年齢とは関係しない。
介護保険制度の概要
・保険者:市町村(特別区を含む)。 ・被保険者:第1号被保険者=65歳以上の者。第2号被保険者=40歳以上65歳未満の医療保険加入者。 ・給付を受ける条件:第1号は原因を問わず要介護・要支援状態になった場合。第2号は16種類の特定疾病による場合に限る。 ・財源:公費(税)50%と保険料50%。 ・利用者負担:原則1割、一定以上の所得がある人は2割または3割。 ・要介護認定:市町村に申請し、認定調査(訪問調査)の結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会が判定する。区分は要支援1・2、要介護1〜5の7段階で、区分ごとに支給限度額が定められ、その範囲内でケアマネジャー(介護支援専門員)が作成するケアプランに沿ってサービスを利用する。医師は主に主治医意見書の作成を通じて関与し、作成は市町村からの依頼による。
社会保障制度にかかわる主な年齢
・18歳:民法上の成年(2022年4月以降)。 ・20歳:国民年金の加入開始(60歳まで)。飲酒・喫煙が可能となる年齢。 ・40歳:介護保険の第2号被保険者(強制加入開始)。特定健康診査・特定保健指導の対象(40〜74歳)の開始年齢でもある。 ・65歳:介護保険の第1号被保険者、老齢基礎年金の受給開始(原則)、前期高齢者(65〜74歳)。 ・70歳:医療保険の自己負担が原則2割となる(70〜74歳、現役並み所得者は3割)。 ・75歳:後期高齢者医療制度へ移行(自己負担は原則1割、所得に応じて2割または3割)。
POINT
・介護保険は40歳から強制加入。保険者は市町村。 ・40〜64歳の医療保険加入者は第2号被保険者で、給付は16の特定疾病による場合に限る。 ・65歳以上は第1号被保険者で、原因を問わず給付対象。 ・20歳は国民年金加入、65歳は年金受給開始・第1号被保険者、75歳は後期高齢者医療制度と、年齢の節目を区別する。 ・要介護認定は要支援1・2、要介護1〜5の7段階。医師は主治医意見書を作成する。
