随時尿だけで腎の本音がわかる―尿酸排泄率FEUAの計算と読み方
第106回医師国家試験 I問題 第80問
国試問題にチャレンジ
高尿酸血症患者の検査結果を示す。 尿所見:pH 5.5,クレアチニン80 mg/dL,尿酸34 mg/dL。 血液生化学所見:クレアチニン1.0 mg/dL,尿酸8.0 mg/dL。 尿酸排泄率〈FEUA〉を求めよ。 ただし,小数点以下第2位を四捨五入すること。 解答:①.②%
対話形式の解説
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ドクターまとめ
排泄率(FE)は、糸球体で濾過された物質のうち最終的に尿中へ排泄される割合で、「(尿中の物質×血清クレアチニン)÷(血中の物質×尿中クレアチニン)×100」で求めます。クレアチニンクリアランスをGFRの代わりに用いることで尿量が約分され、随時尿と採血の同時測定だけで計算できるのが利点です。本問ではFEUA=34×1.0÷(8.0×80)×100=5.3125で5.3%となり、健常者のおおむね5〜10%程度と比べてやや低く、尿酸排泄低下型の高尿酸血症を示唆します。酸性尿では尿酸結石ができやすく、尿アルカリ化が予防に役立ちます。同じ考え方はFENaによる急性腎障害の鑑別やFEKによる低K血症の原因検索にも応用でき、腎が血中濃度の異常に適切に反応しているかを読み解く基本的な道具として身につけておく価値があります。
解答・解説
正解は5.3%です
考え方
排泄率(fractional excretion:FE)とは、糸球体で濾過された物質のうち、尿細管での再吸収・分泌を経て最終的に尿中へ出ていく割合を示す指標である。尿酸の排泄率はFEUA(fractional excretion of uric acid)と呼ばれる。
式の導き方
ある物質xの排泄率は「尿中に排泄された量」÷「糸球体で濾過された量」で表される。 ・尿中排泄量 = Ux × V(Ux:尿中濃度、V:単位時間あたりの尿量) ・濾過量 = Px × GFR(Px:血漿中濃度、GFR:糸球体濾過量) よって FEx = (Ux × V) ÷ (Px × GFR) × 100(%)となる。 クレアチニンは糸球体で濾過された後ほとんど再吸収も分泌もされないため、GFRはクレアチニンクリアランス(Ucr × V ÷ Pcr)で近似できる。これを代入すると尿量Vが約分され、 FEx(%)= (Ux × Pcr) ÷ (Px × Ucr) × 100 となる。この形であれば、蓄尿をしなくても随時尿と採血の同時測定だけで計算できる。
計算
尿中尿酸 UUA = 34 mg/dL、血清尿酸 PUA = 8.0 mg/dL 尿中クレアチニン Ucr = 80 mg/dL、血清クレアチニン Pcr = 1.0 mg/dL FEUA = (34 × 1.0) ÷ (8.0 × 80) × 100 = 34 ÷ 640 × 100 = 0.053125 × 100 = 5.3125(%) 小数点以下第2位を四捨五入して 5.3% が答えである(①=5、②=3)。
注意点
分子・分母の組み合わせを取り違えやすい。「調べたい物質は尿/血、クレアチニンは血/尿」とたすき掛けにすると覚えやすい。単位はいずれもmg/dLでそろっているので換算は不要である。
結果の解釈
FEUAは健常者でおおむね5〜10%程度であり、濾過された尿酸の大部分は近位尿細管で再吸収されていることがわかる。本例の5.3%はやや低めで、腎からの尿酸排泄が相対的に低下しているタイプの高尿酸血症(尿酸排泄低下型)を示唆する値である。また尿pH 5.5と酸性尿であり、尿酸が溶けにくく尿酸結石ができやすい状態にある。
排泄率(FE)の臨床的意義
排泄率は、ある物質の血中濃度の異常に対して腎臓が適切に反応しているかを判定するのに使う。血中濃度が低下すれば腎は再吸収を強めて排泄率が下がり、上昇すれば排泄を増やして排泄率が上がるのが本来の反応である。これに合わない場合は腎からの不適切な喪失・貯留を考える。 ・Na排泄率(FENa):急性腎障害の鑑別に用いる。腎前性(脱水・心不全などによる腎血流低下)では尿細管がNaを必死に再吸収するため1%未満、急性尿細管壊死など腎性では再吸収能が落ちて2%以上となることが多い。ただし利尿薬使用中はFENaが上昇するため、代わりに尿素窒素排泄率(FEUN、腎前性で35%未満が目安)を用いることがある。 ・K排泄率(FEK):低K血症の原因検索に用いる。FEKが低ければ摂取不足や嘔吐・下痢など腎外からの喪失、低K血症にもかかわらずFEKが相対的に高ければ、利尿薬や原発性アルドステロン症などによる腎性喪失を考える。
高尿酸血症の病型分類
高尿酸血症は血清尿酸値が7.0 mg/dLを超えるものと定義される。成因により以下に分けられ、治療薬選択の参考になる。 ・尿酸排泄低下型:腎からの尿酸排泄が低下している。日本人に最も多い。FEUAや尿酸クリアランスが低値となる。 ・腎負荷型(従来の尿酸産生過剰型を含む):尿酸の産生が多い、あるいは腸管からの排泄低下により腎から排泄される尿酸量が増えている。尿中尿酸排泄量が多い。 ・混合型:両者の要素をもつ。 病型の厳密な判定には蓄尿(例えば60分間)による尿中尿酸排泄量・尿酸クリアランスの測定が用いられるが、随時尿でのFEUAや尿中尿酸/クレアチニン比も簡便な目安となる。
尿pHと尿酸結石
尿酸は酸性尿で溶けにくく、尿pHが低いほど結石を生じやすい。尿酸排泄促進薬を用いる際や尿酸結石の予防には、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム製剤で尿pHを6.0〜7.0程度に保つ(尿アルカリ化)。
POINT
・排泄率 FEx(%)= (尿中x × 血清Cr) ÷ (血清x × 尿中Cr) × 100 ・クレアチニンをGFRの代わりに使うことで尿量が約分され、随時尿で計算できる。 ・本問は 34×1.0 ÷ (8.0×80) × 100 = 5.3125 → 5.3%。 ・FEUAは健常者でおおむね5〜10%程度。低値なら尿酸排泄低下型を考える。 ・FENa 1%未満は腎前性急性腎障害を示唆する。 ・高尿酸血症の定義は血清尿酸値 7.0 mg/dL超。
