感度は縦に読む―2×2分割表で迷わないための「分母」の見極め
第104回医師国家試験 H問題 第22問
国試問題にチャレンジ
200人の集団に対し,ある疾患のスクリーニング検査を実施したところ,感度は90%,特異度は40%であった。 疾患あり 疾患なし 検査陽性 ① ③ 検査陰性 ② ④ 合計 100人 100人 上表の①~④にあてはまる数値はどれか。
- a.① 10 ② 90 ③ 40 ④ 60
- b.① 60 ② 40 ③ 10 ④ 90
- c.① 60 ② 40 ③ 90 ④ 10
- d.① 90 ② 10 ③ 40 ④ 60
- e.① 90 ② 10 ③ 60 ④ 40
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
感度は「疾患ありの人のうち検査陽性となる割合」、特異度は「疾患なしの人のうち検査陰性となる割合」であり、いずれも2×2分割表の疾患の有無の列(縦方向)を分母にとります。本問では疾患あり100人・感度90%から真陽性90人・偽陰性10人、疾患なし100人・特異度40%から真陰性40人・偽陽性60人となり、特異度を陽性側に当てはめる誤りに注意が必要です。一方、陽性的中率・陰性的中率は検査結果の行(横方向)を分母にとり、有病率の影響を受ける点で感度・特異度と異なります。カットオフ値をめぐる感度と特異度のトレードオフやROC曲線、尤度比まで理解しておくと、スクリーニングと確定診断での検査の使い分けを根拠をもって判断できるようになります。
解答・解説
正解はeです
スクリーニング検査の性能を表す感度と特異度の定義を、2×2分割表に当てはめる基本問題である。
表の各マスの意味
・①: 疾患あり・検査陽性=真陽性(TP: true positive) ・②: 疾患あり・検査陰性=偽陰性(FN: false negative) ・③: 疾患なし・検査陽性=偽陽性(FP: false positive) ・④: 疾患なし・検査陰性=真陰性(TN: true negative)
定義
・感度=疾患ありの人のうち検査陽性となる人の割合=①/(①+②) ・特異度=疾患なしの人のうち検査陰性となる人の割合=④/(③+④) どちらも「疾患の有無」の列(縦方向)を分母にとる点が要となる。
計算
疾患ありは①+②=100人、感度90%なので ①=100×0.9=90人、②=100−90=10人 疾患なしは③+④=100人、特異度40%なので ④=100×0.4=40人、③=100−40=60人 したがって①90、②10、③60、④40となる。 選択肢を見ると、①と②、③と④の組合せはいずれも合計100になっているため、合計だけでは絞れない。特異度は「陰性」側の④に対応することを押さえておけば、③と④を取り違えることはない。
選択肢考察
- ×a. ① 10 ② 90 ③ 40 ④ 60
この組合せでは感度=10/100=10%、特異度=60/100=60%となり、条件(感度90%、特異度40%)のどちらとも合わない。真陽性と偽陰性、および偽陽性と真陰性の数値を、それぞれ入れ替えた誤りである。
- ×b. ① 60 ② 40 ③ 10 ④ 90
感度=60/100=60%、特異度=90/100=90%となる。感度の値と特異度の値を取り違え、さらに①②側に特異度から求めた数を当てはめた誤りであり、条件と合わない。
- ×c. ① 60 ② 40 ③ 90 ④ 10
感度=60/100=60%、特異度=10/100=10%となり、条件と合わない。「疾患あり」の列に特異度の値を、「疾患なし」の列に感度の値を当てはめたうえで、陽性・陰性の向きも逆にした誤りである。
- ×d. ① 90 ② 10 ③ 40 ④ 60
①90・②10は感度90%に合っている。しかし特異度=④/(③+④)=60/100=60%となり、40%にならない。特異度を「疾患なしのうち検査陽性となる割合」と誤って③に40を入れたもので、特異度は検査陰性(④)側の割合であることを押さえていれば避けられる。
- ○e. ① 90 ② 10 ③ 60 ④ 40
感度=①/(①+②)=90/100=90%、特異度=④/(③+④)=40/100=40%となり、条件を満たす。偽陰性②は100−90=10人、偽陽性③は100−40=60人である。
スクリーニング検査の指標
・感度=TP/(TP+FN): 病気の人を正しく陽性と判定する能力。感度が高い検査は見逃し(偽陰性)が少なく、「陰性なら除外できる」(SnNout)。 ・特異度=TN/(FP+TN): 病気でない人を正しく陰性と判定する能力。特異度が高い検査は偽陽性が少なく、「陽性なら確定に近づく」(SpPin)。 ・偽陰性率=1−感度、偽陽性率=1−特異度 ・陽性的中率(陽性反応適中度)=TP/(TP+FP): 陽性者のうち実際に病気の人の割合 ・陰性的中率(陰性反応適中度)=TN/(FN+TN): 陰性者のうち実際に病気でない人の割合 ・陽性尤度比=感度/(1−特異度)、陰性尤度比=(1−感度)/特異度
本問の数値で計算すると
陽性者は①+③=150人で、陽性的中率=90/150=60%。陰性者は②+④=50人で、陰性的中率=40/50=80%。陽性尤度比=0.9/0.6=1.5、陰性尤度比=0.1/0.4=0.25となる。特異度が40%と低いため偽陽性が多く、陽性と出ても病気である確率はあまり高くない。
有病率との関係
感度・特異度は検査そのものの性質で、原則として有病率に左右されない。一方、的中率は有病率の影響を受け、有病率が高い集団ほど陽性的中率は上がり、陰性的中率は下がる。本問は疾患あり・なしが100人ずつ(有病率50%)の設定である。
感度と特異度のトレードオフ
陽性と判定する基準値(カットオフ値)を下げると感度は上がるが特異度は下がり、逆にすると特異度が上がり感度が下がる。この関係を図示したものがROC曲線(受信者動作特性曲線)である。見逃しを避けたいスクリーニングでは感度を重視し、確定診断では特異度を重視する。
POINT
・感度=真陽性/疾患あり全体(①/(①+②)) ・特異度=真陰性/疾患なし全体(④/(③+④)) ・感度・特異度は「疾患の有無」の列を分母、的中率は「検査結果」の行を分母にとる ・特異度は陰性側の割合である点を取り違えない ・的中率は有病率に左右されるが、感度・特異度は左右されない
