StudyMed医師国家試験

デイサービスとデイケアは別物―PT・OTに出会える介護保険サービスの見分け方

第116回医師国家試験 C問題 第34問

国試問題にチャレンジ

第116回 C問題 第34問

理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを受けられる介護保険施設または介護サービスはどれか。2つ選べ。

  1. a.介護老人保健施設
  2. b.介護老人福祉施設
  3. c.通所介護(デイサービス)
  4. d.小規模多機能型居宅介護サービス
  5. e.通所リハビリテーション(デイケア)

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は介護保険のサービスのうち、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを受けられるものを選ぶ問題だ。ポイントは、各施設・サービスの「本来の目的」と「どの職種の配置が義務付けられているか」。名前が似ているものが多いから、目的で整理していこう。
医学生医学生
正直、介護保険のサービスは名前が多すぎて混乱します。公衆衛生の講義でも一覧表を眺めただけで終わってしまいました。
ドクタードクター
まずは大枠からいこう。介護保険のサービスは、自宅で暮らしながら使う居宅サービス、施設に入所して使う施設サービス、市町村が指定して原則その地域の住民が使う地域密着型サービスに分かれる。施設サービスには介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院がある。
医学生医学生
老人福祉施設と老人保健施設、名前がほとんど同じでいつも取り違えます。
ドクタードクター
そこが最初の関門だね。介護老人保健施設、いわゆる老健は、病状は安定して入院の必要はないけれど、すぐ自宅に帰るにはまだ不安がある人が入所して、在宅復帰を目指す施設だ。病院と自宅の中間施設と呼ばれ、医師が常勤し、PT・OTまたは言語聴覚士の配置が人員基準で定められている。だからリハビリテーションが受けられる。
医学生医学生
なるほど、「保健」の方は医療寄りで、家に帰るためのステップなんですね。とすると、福祉施設の方は役割が違うということでしょうか。
ドクタードクター
そう。介護老人福祉施設は特別養護老人ホーム、略して特養のこと。常時介護が必要で自宅での生活が難しい人、新規入所は原則要介護3以上の人が暮らす「生活の場」なんだ。食事や入浴、排泄の介護が中心で、医師も非常勤の配置医でよい。機能訓練指導員は置かれるけれど看護職員が兼ねることもでき、PT・OTの配置は義務ではない。
医学生医学生
特養にもPTさんがいるところはあると聞いたことがありますが、それでも誤りになるんですね。
ドクタードクター
いい疑問だ。実際にPT・OTが働いている特養もあるけれど、それは施設ごとの事情。制度上リハビリテーションを目的とし、PT・OTの配置が求められている施設ではない、という点で区別するんだ。「リハビリは一切ない」と断定して覚えるより、「目的と配置基準が違う」と理解しておくのが正確だよ。
医学生医学生
次はデイサービスとデイケアですね。どちらも日帰りで通うものだと思っていました。
ドクタードクター
そう、どちらも通所だから混同しやすい。通所介護、つまりデイサービスは、食事や入浴、レクリエーション、簡単な機能訓練を受けながら、利用者の孤立を防ぎ、家族の介護負担を軽くすることが主な目的だ。一方、通所リハビリテーション、つまりデイケアは、介護老人保健施設や病院・診療所などに通って、医師の指示のもとでPT・OT・言語聴覚士によるリハビリテーションを受けるサービスになる。
医学生医学生
名前に「リハビリテーション」と付いているほうがリハビリ目的、と覚えればよさそうですね。訪問リハビリテーションも同じ考え方でしょうか。
ドクタードクター
その通り。居宅サービスで名称にリハビリテーションが付く訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションは、いずれも医師の指示に基づいてリハ職が関わる。残る小規模多機能型居宅介護はどう考える?
医学生医学生
地域密着型サービスでしたっけ。「多機能」というくらいなので、リハビリも含めていろいろそろっていそうに見えますが……。
ドクタードクター
名前に惑わされやすいところだね。小規模多機能型居宅介護は「通い」を中心に、必要に応じて「訪問」や「泊まり」を組み合わせ、同じ事業所の顔なじみの職員が介護や生活支援を一体的に提供するサービスだ。住み慣れた地域での生活を続けることが目的で、PT・OTの配置は義務付けられていない。ここでいう多機能は、通い・訪問・泊まりの組み合わせのことなんだ。
医学生医学生
整理すると、リハビリが本来の目的なのは老健とデイケアで、ほかは生活支援や介護が中心ということですね。
ドクタードクター
正解だ。発展として、施設サービスは要介護者だけが対象で、要支援の人は使えないことも押さえておこう。また介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止され、長期療養と生活の場を一体的に提供する介護医療院などへ移行している。介護医療院は医師や看護職員が手厚く配置され、PT・OTも置かれる。
医学生医学生
臨床実習で脳卒中の患者さんの退院調整カンファレンスに出たとき、「まず老健で、その後デイケア」という話をしていた意味がやっとわかりました。
ドクタードクター
まさにそれが実際の流れの一つだね。急性期・回復期の病院を経て、まだ在宅に不安があれば老健でリハビリを続け、自宅に戻ってからは通所や訪問のリハビリで機能を維持する。患者さんに必要なのが「機能の回復・維持」なのか「介護負担の軽減」なのかでサービスを選ぶ視点は、主治医意見書を書く立場になったときにも役立つよ。

まとめ

介護保険サービスのうち、PT・OTによるリハビリテーションを本来の目的とし、その配置が基準で定められているのは、介護老人保健施設、通所リハビリテーション(デイケア)、訪問リハビリテーションです。介護老人保健施設は医師が常勤する在宅復帰のための中間施設であり、特別養護老人ホームである介護老人福祉施設は原則要介護3以上の人の生活の場で、PT・OTの配置は義務ではありません。通所介護(デイサービス)は食事・入浴などの介護や交流、家族のレスパイトが中心で、医師の指示のもとリハ職がリハビリを行う通所リハビリテーション(デイケア)とは区別します。小規模多機能型居宅介護は通い・訪問・泊まりを組み合わせた地域密着型の介護サービスです。各サービスの目的と配置職種を理解しておくことは、退院調整や主治医意見書の作成など、医師として患者さんの在宅生活を支える場面で直接役立ちます。

解答・解説

正解はa, eです

介護保険で利用できる施設・サービスのうち、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)によるリハビリテーションを提供することが本来の目的であり、PT・OTなどの配置が基準として定められているものを選ぶ問題である。

考え方

介護保険のサービスは大きく、居宅サービス(自宅で生活しながら利用)、施設サービス(施設に入所して利用)、地域密着型サービス(市町村が指定し、原則としてその地域の住民が利用)に分かれる。それぞれのサービスについて「目的は何か」「どの職種の配置が義務付けられているか」を整理すると判断しやすい。 ・施設サービスのうち、医学的管理のもとで在宅復帰に向けたリハビリテーションを行うのが介護老人保健施設(老健)であり、PT・OT(または言語聴覚士)の配置が必須である。 ・居宅サービスのうち、名称に「リハビリテーション」が付く訪問リハビリテーションと通所リハビリテーション(デイケア)は、医師の指示のもとPT・OT・言語聴覚士がリハビリテーションを行うサービスである。 ・一方、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、通所介護(デイサービス)、小規模多機能型居宅介護は、生活の場の提供や日常生活上の介護(食事・入浴・排泄など)が主目的であり、PT・OTの配置は義務付けられていない。 「通所介護(デイサービス)」と「通所リハビリテーション(デイケア)」は名前が似ているため混同しやすいが、前者は介護・生活支援、後者はリハビリテーションが中心である点が出題のポイントである。 以上より、a(介護老人保健施設)と e(通所リハビリテーション)が正解である。

選択肢考察

  1. ○a.  介護老人保健施設

    正しい。介護老人保健施設は、病状が安定していて入院治療の必要はないが、看護・医学的管理下での介護や機能訓練を必要とする要介護者が入所し、在宅復帰を目指す施設である。医師(常勤)・看護職員・介護職員に加えて、PT・OT または言語聴覚士の配置が人員基準で定められており、入所者にリハビリテーションが提供される。病院と自宅の中間施設と位置付けられる。

  2. ×b.  介護老人福祉施設

    誤り。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、常時介護を必要とし居宅での生活が困難な要介護者(新規入所は原則要介護3以上)が入所する、生活の場としての福祉施設である。日常生活上の介護が中心であり、PT・OTの配置は義務ではない。機能訓練指導員の配置は求められているが、看護職員などが兼ねることもでき、PT・OTによるリハビリテーションを目的とした施設ではない。医師も非常勤(配置医)でよい。

  3. ×c.  通所介護(デイサービス)

    誤り。通所介護は、在宅の要介護者が日帰りで施設に通い、食事・入浴などの日常生活上の介護、レクリエーション、簡単な機能訓練を受けるサービスである。利用者の社会的孤立の解消や心身機能の維持、家族の介護負担の軽減(レスパイト)を主な目的とする。機能訓練指導員の配置はあるが職種はPT・OTに限られず、医師の指示に基づきPT・OTがリハビリテーションを行う通所リハビリテーションとは区別される。

  4. ×d.  小規模多機能型居宅介護サービス

    誤り。小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスの一つで、「通い」を中心に、利用者の状態や希望に応じて「訪問」や「泊まり」を組み合わせ、同じ事業所の顔なじみの職員が入浴・排泄・食事などの介護や生活支援を一体的に提供する。住み慣れた地域での生活継続を支えることが目的であり、PT・OTの配置は義務付けられていない。

  5. ○e.  通所リハビリテーション(デイケア)

    正しい。通所リハビリテーションは居宅サービスの一つで、在宅の要介護者等が介護老人保健施設、病院・診療所、介護医療院に通い、医師の指示に基づいてPT・OT・言語聴覚士による心身機能の維持回復や日常生活の自立を目指したリハビリテーションを受けるサービスである。医師の配置とともにPT・OT・言語聴覚士の配置が基準で定められている。

介護保険サービスの全体像

・居宅サービス:訪問介護(ホームヘルプ)、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)、福祉用具貸与など。 ・施設サービス:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院。介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止され、介護医療院などへ移行した。施設サービスは要介護者のみが対象で、要支援者(予防給付)は利用できない。 ・地域密着型サービス:小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、地域密着型通所介護など。

介護保険施設の比較

・介護老人福祉施設:生活の場。常時介護が必要な人(原則要介護3以上)。医師は非常勤で可。 ・介護老人保健施設:在宅復帰を目指す中間施設。医師常勤、PT・OT・言語聴覚士を配置しリハビリテーションを提供。 ・介護医療院:長期療養が必要な人に医療と生活の場を一体的に提供。医師・看護職員の手厚い配置があり、PT・OTも配置される。

リハビリテーションを目的とする介護保険サービス

訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション(デイケア)、介護老人保健施設。いずれも医師の指示のもとでPT・OT・言語聴覚士がリハビリテーションを担う。

紛らわしい名称

・デイサービス=通所介護(介護・生活支援中心) ・デイケア=通所リハビリテーション(リハビリテーション中心、医師の関与あり)

POINT

・PT・OTによるリハビリテーションが本来の目的の介護保険サービスは、介護老人保健施設、通所リハビリテーション(デイケア)、訪問リハビリテーション。 ・介護老人福祉施設(特養)は生活の場であり、リハビリ目的の施設ではない。 ・デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)を混同しない。 ・施設サービスは要介護者のみ利用可能(要支援者は不可)。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。