StudyMed医師国家試験

「3人の専門職」で地域を支える―地域包括支援センターの必置職種を整理する

第113回医師国家試験 F問題 第43問

国試問題にチャレンジ

第113回 F問題 第43問

地域包括支援センターに配置が義務付けられているのはどれか。3つ選べ。

  1. a.医師
  2. b.保健師
  3. c.社会福祉士
  4. d.主任ケアマネジャー
  5. e.医療ソーシャルワーカー

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、地域包括支援センターに配置が義務付けられている職種を問う問題だ。単なる暗記問題に見えるけれど、センターが何をする場所で、どの職種がどの業務を担うのかを理解しておくと、忘れにくくなるし、臨床でも役に立つ。まず、地域包括支援センターってどんな機関か知っているかな。
医学生医学生
公衆衛生の講義で、地域包括ケアシステムの中核になる機関だと習いました。高齢者の相談窓口のようなイメージです。
ドクタードクター
いいね。介護保険法に基づいて2006年から設置が始まった機関で、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、保健・医療・福祉・介護の面から包括的に支える拠点だ。設置主体は市町村で、社会福祉法人や医療法人に運営を委託することもできる。おおむね中学校区くらいの日常生活圏域ごとに置かれているよ。
医学生医学生
医療も関わるなら、医師は必ずいるのかなと思ってしまいました。
ドクタードクター
そこが典型的なひっかけだね。医師の配置義務はないんだ。医療との連携は、地域の医師会やかかりつけ医、地域ケア会議などを通じて図られる。所長が原則として医師である保健所と混同しないようにしよう。
医学生医学生
保健所と市町村保健センターと地域包括支援センター、名前が似ていてCBTのときも混乱しました。
ドクタードクター
設置主体と根拠法で整理するとすっきりするよ。では本題。必置とされているのは、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの3職種だ。それぞれの役割をセットで覚えるのがコツなんだ。保健師はどんな業務を担当すると思う?
医学生医学生
健康面の相談とか、介護予防でしょうか。
ドクタードクター
その通り。主に介護予防ケアマネジメント、つまり要支援者や、要介護状態になるおそれのある高齢者に対して介護予防の計画を立て、心身の状態が悪くならないよう支援する役割だ。保健師の確保が難しい場合は、地域保健の経験がある看護師などを充てることもできる。
医学生医学生
社会福祉士は、相談を受けて制度につなぐ役割ですか。
ドクタードクター
そう、総合相談支援が一つ。もう一つ大事なのが権利擁護で、高齢者虐待の早期発見と対応、成年後見制度の利用支援、消費者被害の防止などを担う。
医学生医学生
在宅医療の実習で訪問診療に同行したとき、認知症の一人暮らしの方の金銭管理について、センターの方と相談していた場面がありました。あれが権利擁護なんですね。
ドクタードクター
まさにそれだね。そして主任ケアマネジャーは、介護支援専門員として実務経験を積み、所定の研修を修了した人がなる。主な役割は包括的・継続的ケアマネジメント支援で、地域のケアマネジャーへの助言や支援困難事例への指導、関係機関のネットワークづくり、地域ケア会議の運営などを担うんだ。
医学生医学生
ケアマネジャーを支えるケアマネジャー、という立ち位置ですね。では、医療ソーシャルワーカーはなぜ入らないんですか。社会福祉士と仕事が近い気がします。
ドクタードクター
いい疑問だ。医療ソーシャルワーカーは主に病院で、患者や家族の経済的・心理的・社会的な問題の相談や退院支援を行う職種だ。社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ人が多いけれど、医療ソーシャルワーカーという名称自体は国家資格ではなく、センターへの配置を義務付ける規定もない。センターにとっては、退院支援などで連携する相手という位置づけだね。
医学生医学生
なるほど。保健師が介護予防、社会福祉士が総合相談と権利擁護、主任ケアマネジャーがケアマネジャー支援、と業務と結びつければ3職種を忘れにくいですね。
ドクタードクター
その整理で完璧だ。発展として、配置の目安も知っておこう。担当区域の65歳以上、つまり第1号被保険者がおおむね3,000人以上6,000人未満ごとに各1人とされている。ただし、3職種がそれぞれ単独で動くのではなく、情報を共有して一体的に支えるチームアプローチが基本なんだ。
医学生医学生
臨床の現場では、医師はどんな場面でセンターと関わるんでしょうか。
ドクタードクター
たとえば外来で、通院が途切れがちになった独居高齢者や、家族の介護負担が限界に近い、あるいは虐待が疑われるといったケースに気づいたとき、センターにつなぐことができる。退院前のカンファレンスや地域ケア会議に医師として参加することもある。配置義務はなくても、医師はセンターにとって欠かせない連携相手なんだよ。
医学生医学生
医師は中にいるのではなく、外からつながる立場ということですね。

まとめ

地域包括支援センターは介護保険法に基づき市町村が設置する(委託も可)地域包括ケアシステムの中核機関で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)の3職種の配置が原則として義務付けられています。保健師は主に介護予防ケアマネジメント、社会福祉士は総合相談支援と権利擁護、主任ケアマネジャーは包括的・継続的ケアマネジメント支援を担い、チームで連携して高齢者を支えます。医師や医療ソーシャルワーカーに配置義務はなく、地域ケア会議や退院支援などを通じて連携する立場であり、所長が原則医師である保健所との混同にも注意が必要です。職種と業務を結びつけて理解しておくと、臨床で支援が必要な高齢者に気づいたときに適切な窓口へつなぐ力にもなります。

解答・解説

正解はb, c, dです

地域包括支援センターは、2005年の介護保険法改正で創設され2006年から設置が始まった機関で、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、保健・医療・福祉・介護の面から包括的に支える「地域包括ケアシステム」の中核拠点である(介護保険法第115条の46)。設置主体は市町村であり、市町村が直接運営するほか、社会福祉法人や医療法人などに運営を委託することもできる。おおむね中学校区程度の日常生活圏域ごとに設けられる。 センターの中心業務である包括的支援事業を適切に行うため、介護保険法施行規則により、原則として次の3職種を置くことが定められている。 ・保健師(または地域ケア・地域保健の経験がある看護師などの準ずる者) ・社会福祉士(または福祉事務所の現業員などの経験がある準ずる者) ・主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)(またはこれに準ずる者) 配置の目安は、担当区域の第1号被保険者(65歳以上)の数がおおむね3,000人以上6,000人未満ごとに各1人である。 この3職種は、それぞれの専門性を生かしながら役割を分担し、互いに連携するチームアプローチで業務にあたる。したがって本問は、この「3職種」を正確に覚えているかどうかで解ける。医師は地域ケア会議などで連携する重要な相手ではあるが、センター内への配置は義務ではない。

選択肢考察

  1. ×a.  医師

    誤り。地域包括支援センターに医師の配置義務はない。医療との連携は、地域の医師会やかかりつけ医、在宅医療・介護連携推進事業、地域ケア会議などを通じて図られる。保健所や介護老人保健施設など、医師の配置が求められる施設と混同しないよう注意する。

  2. ○b.  保健師

    正しい。保健師は配置が義務付けられた3職種の一つである。主に介護予防ケアマネジメント(要支援者や、要介護状態になるおそれのある高齢者を対象に、介護予防サービスの計画を作成し、心身の状態悪化を防ぐ支援)を担い、健康面・医療面からの相談にも対応する。保健師の確保が難しい場合は、地域ケアや地域保健の経験がある看護師などを充てることができる。

  3. ○c.  社会福祉士

    正しい。社会福祉士は配置が義務付けられた3職種の一つである。主に総合相談支援(高齢者や家族からの多様な相談を受け止め、適切な制度・機関につなぐ)と権利擁護(高齢者虐待の防止・早期発見と対応、成年後見制度の利用支援、消費者被害の防止など)を担う。

  4. ○d.  主任ケアマネジャー

    正しい。主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)は配置が義務付けられた3職種の一つである。介護支援専門員として一定の実務経験を積み、所定の研修を修了した者がなる。主に包括的・継続的ケアマネジメント支援(地域の介護支援専門員への相談対応・助言、支援困難事例への指導、関係機関とのネットワークづくり、地域ケア会議の運営など)を担う。

  5. ×e.  医療ソーシャルワーカー

    誤り。医療ソーシャルワーカー(MSW)は、主に病院などの医療機関で、患者・家族の経済的・心理的・社会的問題の相談や退院支援を行う職種である。医療ソーシャルワーカーという名称自体は国家資格ではなく(社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ者が多い)、地域包括支援センターへの配置を義務付ける規定もない。センターでは退院支援などを通じて連携する相手となる。

地域包括支援センターの主な業務

1. 介護予防ケアマネジメント業務(主に保健師):要支援者などに対する介護予防・日常生活支援総合事業のケアマネジメント 2. 総合相談支援業務(主に社会福祉士):高齢者や家族の相談を幅広く受け付け、必要なサービスや機関につなぐ 3. 権利擁護業務(主に社会福祉士):高齢者虐待への対応、成年後見制度の活用、消費者被害の防止 4. 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務(主に主任ケアマネジャー):地域の介護支援専門員の支援、関係機関のネットワーク構築、地域ケア会議の開催 このほか、指定介護予防支援事業所として要支援1・2の人の介護予防サービス計画(介護予防ケアプラン)を作成する。

運営の仕組み

・設置主体:市町村(委託も可) ・運営の中立性・公正性を確保するため、市町村ごとに地域包括支援センター運営協議会が関与する。 ・3職種は「専門職が単独で担当する」のではなく、情報を共有して一体的に支援するチームアプローチが基本である。

混同しやすい機関

・居宅介護支援事業所:要介護者のケアプランを作成する介護支援専門員が所属する。 ・保健所:都道府県・政令市などが設置し、所長は原則として医師。 ・市町村保健センター:住民に身近な健康づくりの拠点で、医師の配置義務はない。

POINT

・地域包括支援センターの必置3職種:保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員) ・目安は第1号被保険者3,000〜6,000人ごとに各1人 ・設置主体は市町村(委託可)、介護保険法に基づく地域包括ケアの中核機関 ・4つの業務:介護予防ケアマネジメント、総合相談支援、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援 ・医師・医療ソーシャルワーカーの配置義務はない

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。