縦はG、横はA―CKD重症度分類「CGA」の地図を読み解く
第110回医師国家試験 I問題 第14問
国試問題にチャレンジ
慢性腎臓病の重症度分類を別に示す。 A1からA3の方向(横軸方向)の区分を規定する指標はどれか。

- a.eGFR
- b.年齢
- c.蛋白尿
- d.体格指数
- e.平均血圧
対話形式の解説
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ドクターまとめ
CKDの重症度は、原疾患(Cause)、腎機能(GFR)、蛋白尿・アルブミン尿(Albuminuria)を組み合わせたCGA分類で評価します。表の縦方向G1〜G5はeGFRで、横方向A1〜A3は蛋白尿の程度で区分され、糖尿病では尿アルブミン/クレアチニン比、それ以外の疾患では尿蛋白/クレアチニン比を用います。年齢はeGFRの算出式の変数、肥満や高血圧はCKDの危険因子ですが、いずれも分類の軸ではありません。GFR低下と蛋白尿はそれぞれ独立して末期腎不全・心血管疾患・死亡のリスクを高めるため、表の右下ほどリスクが高いヒートマップとして示されます。この表を正しく読めることは、治療効果の判定や専門医への紹介判断など、日常診療でのCKD管理の基本になります。
解答・解説
正解はcです
慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)の重症度分類の構造を問う問題である。 CKD の重症度は、原疾患(Cause)、腎機能(GFR)、蛋白尿・アルブミン尿(Albuminuria)の3つを組み合わせて評価し、それぞれの頭文字から CGA 分類と呼ばれる。表は縦軸と横軸の2方向で構成される。 ・縦方向(G1〜G5):糸球体濾過量(GFR)。臨床では血清クレアチニン値・年齢・性別から算出した推算 GFR(eGFR)を用いる。 ・横方向(A1〜A3):蛋白尿の程度。糖尿病では尿アルブミン、それ以外の疾患(高血圧、腎炎など)では尿蛋白で区分する。 「A」はアルブミン尿(Albuminuria)の頭文字に由来する。腎機能の低下と蛋白尿の増加は、それぞれ独立して末期腎不全(透析導入)・心血管疾患・死亡のリスクを高めることが大規模な疫学研究で示されており、両者を組み合わせることで予後をより正確に層別化できる。表は右下(G が大きく、A が大きい)ほどリスクが高く、緑→黄→オレンジ→赤と色分けされる(ヒートマップ)。したがって横軸方向 A1〜A3 を規定する指標は蛋白尿である。
選択肢考察
- ×a. eGFR
eGFR(estimated glomerular filtration rate:推算糸球体濾過量)は、重症度分類の縦軸方向(G1〜G5)を規定する指標である。G1:90以上、G2:60〜89、G3a:45〜59、G3b:30〜44、G4:15〜29、G5:15未満(単位は mL/分/1.73 m²)に区分される。横軸方向の指標ではない。
- ×b. 年齢
年齢は eGFR を算出する推算式の変数として用いられる(加齢とともに eGFR は低く算出される)が、重症度分類の軸そのものではない。高齢はCKD の危険因子ではあるが、A1〜A3 の区分には関係しない。
- ○c. 蛋白尿
横軸方向の A1〜A3 は蛋白尿の程度で区分される。糖尿病性腎臓病では尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)を用い、A1:30未満(正常)、A2:30〜299(微量アルブミン尿)、A3:300以上(顕性アルブミン尿)とする。高血圧・腎炎・多発性嚢胞腎・移植腎などその他の疾患では尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)を用い、A1:0.15未満(正常)、A2:0.15〜0.49(軽度蛋白尿)、A3:0.50以上(高度蛋白尿)とする。随時尿で測定しクレアチニンで補正することで、尿の濃さの影響を除いている。
- ×d. 体格指数
体格指数(BMI:body mass index、体重kg÷身長m²)は肥満の指標であり、肥満は CKD の危険因子の一つだが、重症度分類の指標ではない。なお eGFR は体表面積 1.73 m² あたりに標準化した値として表される。
- ×e. 平均血圧
高血圧は CKD の原因かつ進行因子であり、降圧は CKD 管理の柱であるが、血圧は重症度分類の軸には含まれない。高血圧が原因である場合は、分類の要素のうち原疾患(C)として記載される。
CKD の定義
①尿異常、画像診断・血液検査・病理診断での腎障害の存在(特に 0.15 g/gCr 以上の蛋白尿、30 mg/gCr 以上のアルブミン尿)、②GFR 60 mL/分/1.73 m² 未満、のいずれか、または両方が3か月以上持続するもの。
CGA 分類の要点
・C(Cause):原疾患。糖尿病、高血圧、腎炎、多発性嚢胞腎、移植腎など。 ・G(GFR):G1〜G5 の6区分(G3 は a・b に分かれる)。G1・G2 は GFR が保たれているため、蛋白尿などの腎障害の所見があって初めて CKD と診断される。 ・A(Albuminuria):A1〜A3 の3区分。糖尿病ではアルブミン尿、それ以外は蛋白尿で評価する(保険診療上、尿アルブミン定量は糖尿病例での測定が原則である)。
臨床的意義
・GFR 低下と蛋白尿は独立した予後因子であり、組み合わせるとリスクは相加的・相乗的に高まる。 ・CKD は末期腎不全だけでなく心血管疾患の強力な危険因子でもある(心腎連関)。 ・蛋白尿の減少は腎保護の指標となり、レニン-アンジオテンシン系阻害薬や SGLT2 阻害薬などの治療効果判定にも用いられる。 ・腎臓専門医への紹介基準も、この表の区分(例:高度蛋白尿、GFR 45 未満など)に基づいて定められている。
POINT
・CKD 重症度分類=CGA 分類(原疾患・GFR・アルブミン尿/蛋白尿)。 ・縦軸 G1〜G5:eGFR。横軸 A1〜A3:蛋白尿(糖尿病は尿アルブミン、それ以外は尿蛋白)。 ・糖尿病:尿アルブミン/Cr 比 30未満/30〜299/300以上 mg/gCr。 ・その他:尿蛋白/Cr 比 0.15未満/0.15〜0.49/0.50以上 g/gCr。 ・右下ほど末期腎不全・心血管疾患・死亡のリスクが高い(ヒートマップ)。
