StudyMed医師国家試験

「はい」か「いいえ」で終わる問い―医療面接の質問法を使い分ける

第110回医師国家試験 F問題 第2問

国試問題にチャレンジ

第110回 F問題 第2問

医師から患者への閉鎖型質問はどれか。

  1. a.「今日はどうなさいましたか」
  2. b.「動悸の症状についてもう少し詳しく教えてください」
  3. c.「前の病院の結果についてはどのようにお考えですか」
  4. d.「最近職場で起こった出来事について自由にお話しください」
  5. e.「その症状が起こってから睡眠時間が極端に短縮していますか」

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は医療面接の基本、質問の型を見分ける問題だ。着眼点はひとつ、「患者がどこまで自由に答えられるか」。答えの幅で質問を分類してみよう。
医学生医学生
閉鎖型って、選択肢が閉じている質問というイメージですが、正直ちゃんと定義を言えるか自信がないです。
ドクタードクター
大丈夫、整理しよう。閉鎖型質問は「はい」か「いいえ」、あるいは一語の事実で答えが決まる質問。たとえば「熱はありますか」だね。反対に開放型質問は、答え方を患者に委ねて自分の言葉で語ってもらう質問。その中間に、話題は指定するけれど語り方は自由な「焦点を絞った質問」がある。
医学生医学生
OSCEの医療面接で、最初は必ず「今日はどうなさいましたか」から始めるよう練習しました。あれは開放型ですね。
ドクタードクター
その通り。受診理由を患者自身の言葉で語ってもらう典型的な開放型で、主訴を引き出す入り口になる。では「動悸についてもう少し詳しく教えてください」はどうだろう。
医学生医学生
話題が動悸に限られているので、閉鎖型に近いのかなと思いました。
ドクタードクター
そこが引っかかりやすいところだ。話題は限定しているけれど、はい・いいえでは答えられないよね。動悸がいつ、どんなふうに起こるかを患者が自由に語れる。だから焦点を絞った質問で、広い意味では開放型の仲間なんだ。
医学生医学生
なるほど、話題の広さではなく、答え方の自由度で判断するんですね。前の病院の結果をどう考えているか尋ねる質問も、自由に答えられるから開放型でしょうか。
ドクタードクター
正解。これは患者が自分の病気や検査結果をどう受け止めているか、いわゆる解釈モデルを聞く質問だ。患者中心の医療ではとても大切な情報になる。職場の出来事を自由に話してもらう質問も、「自由にお話しください」と回答の形を限定していないから開放型。心理社会的背景を探るときに役立つ。
医学生医学生
残るのは、症状が出てから睡眠時間が極端に短くなったかを聞く質問。これは「はい」か「いいえ」で答えが完結するので、閉鎖型ですね。
ドクタードクター
その通り、これが正解だ。睡眠障害の有無のように、特定の事実を確認したい場面で使う質問だね。
医学生医学生
でも、閉鎖型は短時間で情報が取れるなら、全部閉鎖型で聞いたほうが効率がいい気もします。
ドクタードクター
いい疑問だね。閉鎖型は必要な医学的情報を正確かつ素早く確認できるけれど、連発すると尋問のようになって患者に心理的な圧迫を与える。それに、医師が思いつかなかった情報は拾えない。一方で開放型は信頼関係を築きやすく、患者の思いや価値観を知るのに向くが、時間がかかり話が散らばりやすい。
医学生医学生
だから、開放型から始めて、焦点を絞った質問、最後に閉鎖型で鑑別に必要なことを確認する流れが基本なんですね。
ドクタードクター
そう、開放型から閉鎖型へ、という流れだ。ほかにも、「ズキズキしますか、それとも締めつけられる感じですか」と選ばせる多項目型質問もある。そして避けるべきなのが誘導質問。「お酒はあまり飲まないですよね」のように答えを誘導すると、情報がゆがんでしまう。
医学生医学生
臨床実習で問診をとったとき、つい「痛みはないですよね」と聞いてしまって、指導医の先生に注意されたのを思い出しました。
ドクタードクター
誰でも一度は通る道だよ。忙しいときほど閉鎖型や誘導質問に頼りがちになるけれど、まず患者に語ってもらうことで、思わぬ診断の手がかりや受診の本当の理由が見えてくることも多い。質問の型を意識して使い分けることが、良い医療面接の土台になるんだ。

まとめ

閉鎖型質問とは「はい/いいえ」または一語で答えが決まる質問で、症状の有無など特定の事実を短時間で正確に確認するのに適しています。これに対し「今日はどうなさいましたか」のような開放型質問は患者が自由に語れ、信頼関係の構築や解釈モデルの把握に役立ちます。話題を限定しつつ語り方を自由にする焦点を絞った質問は中間型で、広い意味では開放型に含まれ、判断の基準は話題の広さではなく答え方の自由度です。医療面接は開放型から焦点を絞った質問、閉鎖型へと進めるのが基本で、閉鎖型の連発や誘導質問は避けます。質問法の使い分けはOSCEだけでなく、日々の診療で正確な情報と患者の信頼を得るための基本技術です。

解答・解説

正解はeです

医療面接で用いる質問は、患者が答えられる範囲の広さによっていくつかの型に分けられる。閉鎖型質問(closed question)とは、「はい」か「いいえ」、あるいは一語の事実で答えが決まってしまう質問である。これに対して開放型質問(open-ended question)は、答え方を患者に委ね、患者が自分の言葉で自由に語れるようにする質問である。その中間にあたるのが焦点を絞った質問(focused question)で、話題は指定するがその中での語り方は患者に任せる。 本問では、各選択肢について「患者がはい・いいえだけで答えられるか」を確かめればよい。「睡眠時間が極端に短縮していますか」は、はい・いいえで完結する問いなので、閉鎖型質問に当たる。

選択肢考察

  1. ×a.  「今日はどうなさいましたか」

    受診理由を患者に自由に語ってもらう、典型的な開放型質問である。面接の冒頭で使い、患者が最も困っていること(主訴)を患者自身の言葉で引き出す。

  2. ×b.  「動悸の症状についてもう少し詳しく教えてください」

    話題を「動悸」に限定しつつ、その内容は患者に自由に語らせる質問であり、焦点を絞った質問(focused question)に分類される。広い意味では開放型の一種である。はい・いいえでは答えられないため、閉鎖型ではない。

  3. ×c.  「前の病院の結果についてはどのようにお考えですか」

    患者が自分の病気や検査結果をどう理解し、どう受け止めているか(解釈モデル)を尋ねる質問である。答え方は患者に委ねられており、開放型の質問に当たる。

  4. ×d.  「最近職場で起こった出来事について自由にお話しください」

    「自由にお話しください」と回答の形を限定しておらず、開放型質問である。心理社会的背景(仕事のストレスなど)を探るときに役立つ。

  5. ○e.  「その症状が起こってから睡眠時間が極端に短縮していますか」

    睡眠時間が極端に短くなったかどうかを確かめる質問で、患者は「はい」か「いいえ」で答えることになる。したがって閉鎖型質問である。睡眠障害の有無のように特定の事実を確認したい場面で用いる。

質問法の種類

・開放型質問(open-ended question):「どうなさいましたか」など。患者が自分の言葉で自由に語れる。 ・焦点を絞った質問(focused question):「その痛みについて詳しく教えてください」など。話題は限定するが、語り方は自由。 ・閉鎖型質問(closed question):「熱はありますか」など。はい・いいえ、または一語で答えが決まる。 ・多項目(選択肢)型質問:「痛みはズキズキしますか、それとも締めつけられる感じですか」など、いくつかの選択肢を示して選ばせる。 ・中立的でない質問(誘導質問):「お酒はあまり飲まないですよね」のように、特定の答えへ誘導する。答えがゆがむので避ける。

使い分け

開放型質問は患者が心理的な圧迫を感じにくく、思いや考えを自分の表現で話せる。このため信頼関係(ラポール)を築き、患者の価値観や病気の受け止め方(解釈モデル)を知るのに向いている。ただし、情報を集めるのに時間がかかり、話が散らばりやすい。 閉鎖型質問は、症状の有無など必要な医学的情報を正確かつ短時間で確認できる。一方で、続けて使うと尋問のようになり患者に心理的な圧迫を与える。また、医師が思いつかなかった情報は拾えない。 一般には、開放型質問から始めて焦点を絞った質問へ進み、最後に閉鎖型質問で鑑別診断に必要な事項を確認する(開放型から閉鎖型へ進める流れ)。

解釈モデル

患者が自分の病気について抱いている考え(何が原因か、どれくらい重いか、どんな治療を望むかなど)を指す。患者中心の医療では、これを把握して説明や治療方針に生かすことが重視される。

POINT

・閉鎖型質問=「はい/いいえ」または一語で答えが決まる質問。 ・開放型質問=患者が自由に答えられる質問。面接の導入、信頼関係の構築、解釈モデルの把握に使う。 ・焦点を絞った質問は、話題を限定しつつ自由に語らせる中間型。 ・面接は開放型から閉鎖型へ進めるのが基本。閉鎖型を連発しない。誘導質問は避ける。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。