学校医は「治す医師」ではない―健康相談と学校保健計画に見る学校医の本当の役割
第109回医師国家試験 B問題 第31問
国試問題にチャレンジ
学校医の職務はどれか。2つ選べ。
- a.健康相談
- b.児童養護
- c.処方箋交付
- d.学級閉鎖指示
- e.学校保健計画の立案に参加
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
学校医は学校保健安全法により大学以外の学校に必置とされ、その職務は同法施行規則の「学校医の職務執行の準則」に定められています。学校保健計画・学校安全計画の立案への参与、健康相談、保健指導、健康診断、感染症の予防処置などが含まれ、集団の保健管理について医学的に指導・助言し実務に従事するのが役割です。一方、処方箋交付のような個別の治療は職務ではなく、児童養護は児童福祉法に基づく社会的養護の領域です。感染症対応では、出席停止は校長、学級閉鎖などの臨時休業は学校の設置者が行い、学校医は助言する立場にとどまります。権限の所在を区別して理解しておくことは、学校保健の問題を解く際にも、将来学校医を務める際にも役立ちます。
解答・解説
正解はa, eです
問われていること
学校保健に関わる職種のうち、学校医の職務内容を問う問題である。
学校医と根拠法
学校保健安全法第23条では、大学以外の学校に学校医を置くことが義務づけられている。学校医の職務の具体的な内容は、学校保健安全法施行規則第22条(学校医の職務執行の準則)に列挙されている。学校医の役割は、学校という集団の中で、児童生徒等と職員の健康を守る保健管理について、医学の専門家として指導・助言し、健康診断などの実務に従事することである。個々の病気を診断して治療する臨床医としての役割とは異なる。
解き方
判断のポイントは次の3点である。 (1) 施行規則の職務の列挙に含まれているか (2) その行為の権限は、学校医ではなく校長や学校の設置者にあるのではないか (3) 学校保健ではなく、児童福祉や一般診療の領域の事柄ではないか 健康相談と学校保健計画の立案への参与は、施行規則に明記された学校医の職務である。一方、臨時休業(学級閉鎖など)を決める権限は学校の設置者にあり、学校医はその判断に必要な助言をする立場である。
選択肢考察
- ○a. 健康相談
学校保健安全法第8条で、学校は児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行うものと定められている。施行規則第22条では、学校医の職務の一つとして「健康相談に従事すること」が明記されている。健康相談の対象は、健康診断の結果、経過観察が必要とされた者、日常の健康観察で問題が見つかった者、本人や保護者が相談を希望した者などである。対象となる問題は、身体の不調から心の健康問題まで幅広い。健康相談は、学校医だけでなく、養護教諭、学校歯科医、学校薬剤師、学級担任なども連携して行う。したがって、学校医の職務である。
- ×b. 児童養護
児童養護とは、保護者のいない児童、虐待を受けている児童、そのほか環境上の理由から養護を必要とする児童を保護し、養育することを指す。これは児童福祉法に基づく社会的養護の領域の事柄である。主な担い手は、児童相談所、児童養護施設(児童指導員や保育士などが配置される)、乳児院、里親などである。学校保健安全法施行規則に定められた学校医の職務には含まれない。なお、学校医などが児童虐待を疑った場合には、児童虐待防止法に基づき、児童相談所や市町村へ通告する義務がある。しかし、これは児童を養護すること自体とは異なる。したがって誤りである。
- ×c. 処方箋交付
処方箋の交付は、医師が患者を診察し、治療として薬剤を処方する際に行う行為であり、医師法第22条に定められた医師一般の業務である。学校医の職務は、健康診断、健康相談、保健指導、疾病や感染症の予防処置、環境衛生についての指導・助言など、集団を対象とした保健管理が中心である。個々の児童生徒の疾病を診断して治療を行うことは、学校医の職務として定められていない。治療が必要な場合は、医療機関を受診するよう勧めるのが原則である。したがって、学校医の職務ではない。
- ×d. 学級閉鎖指示
学校保健安全法第20条では、学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に学校の全部または一部の休業を行うことができると定められている。学級閉鎖や学年閉鎖、休校は、この臨時休業にあたる。設置者は、公立学校では教育委員会、私立学校では学校法人である。実際の運用では、設置者から権限を委任された校長が判断することもある。学校医は、この判断に際して、感染の拡大状況や疾患の特徴について医学的な助言を行う立場にある。自らが学級閉鎖を指示する権限は持たない。なお、個々の児童生徒の出席停止は、同法第19条により校長が行う。したがって誤りである。
- ○e. 学校保健計画の立案に参加
施行規則第22条では、学校医の職務の最初に「学校保健計画及び学校安全計画の立案に参与すること」が挙げられている。学校保健計画は、学校保健安全法第5条に基づき、各学校が策定・実施しなければならない計画である。児童生徒等と職員の健康診断、環境衛生検査、児童生徒等に対する指導などについて定める。学校医は、医学的な立場からこの計画づくりに参加する。したがって、学校医の職務である。
学校医の職務(学校保健安全法施行規則第22条の要旨)
1. 学校保健計画および学校安全計画の立案に参与する。 2. 学校の環境衛生の維持・改善について、学校薬剤師と協力して必要な指導・助言を行う。 3. 健康相談に従事する。 4. 保健指導に従事する。 5. 健康診断に従事する(児童生徒等、就学時、職員)。 6. 疾病の予防処置に従事する。 7. 感染症の予防について必要な指導・助言を行い、学校での感染症と食中毒の予防処置に従事する。 8. 校長の求めにより、救急処置に従事する。 9. 必要に応じて、学校の保健管理に関する専門的事項の指導に従事する。 また、職務に従事したときは、その状況の概要を学校医執務記録簿に記入し、校長に提出する。
学校保健に関わる職種
・学校医、学校歯科医、学校薬剤師:大学以外の学校に置くことが義務づけられている(学校保健安全法第23条)。学校薬剤師は、飲料水、空気、照度などの環境衛生検査に従事する。 ・養護教諭:学校教育法に基づき置かれる教員で、日常の保健管理と保健室の運営を担う。 ・保健主事:教諭(または養護教諭)の中から充てられ、学校保健の企画・調整を担う。
感染症対応における権限
・出席停止:校長(学校保健安全法第19条)。対象となる感染症と出席停止期間は、同法施行規則で定められている。 ・臨時休業(学級閉鎖・休校):学校の設置者(同法第20条) ・学校医:これらの判断について、医学的な指導・助言を行う。
POINT
・学校医の職務は、学校保健安全法施行規則第22条に定められている。 ・学校医の職務には、健康相談、保健指導、健康診断、学校保健計画・学校安全計画の立案への参与、感染症の予防処置などが含まれる。 ・出席停止は校長、臨時休業(学級閉鎖)は学校の設置者が行う。学校医は助言する立場である。 ・治療(処方箋交付)や児童養護は、学校医の職務ではない。
