StudyMed医師国家試験

「申請」から始まり「審査会」で決まる―要介護認定の流れと主治医意見書の役割

第106回医師国家試験 E問題 第11問

国試問題にチャレンジ

第106回 E問題 第11問

要介護認定の流れについて正しいのはどれか。

  1. a.介護認定審査会の判定 → 要介護認定の申請 → 主治医意見書の作成
  2. b.介護認定審査会の判定 → 主治医意見書の作成 → 要介護認定の申請
  3. c.主治医意見書の作成 → 介護認定審査会の判定 → 要介護認定の申請
  4. d.要介護認定の申請 → 介護認定審査会の判定 → 主治医意見書の作成
  5. e.要介護認定の申請 → 主治医意見書の作成 → 介護認定審査会の判定

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は介護保険の要介護認定の手続きの順番を問う問題だ。ポイントは2つ。「何がすべての出発点か」と「介護認定審査会は何を材料に判定するのか」。この2点さえ押さえれば迷わないよ。
医学生医学生
介護保険は医療保険と違って、まず認定を受けないとサービスが使えないんですよね。
ドクタードクター
その通り。医療保険なら保険証を持って受診すればいいけれど、介護保険では市町村から要介護または要支援の認定を受けて、初めてサービスを利用できる。では、その手続きは誰が何から始めると思う?
医学生医学生
主治医が「この人は介護が必要だ」と判断して、意見書を書くところから始まるのでしょうか。
ドクタードクター
そう考える学生は多いんだけど、実は違う。介護保険は申請主義で、本人や家族が保険者である市町村の窓口に申請しないと何も始まらない。地域包括支援センターや居宅介護支援事業者が申請を代行することもできるよ。主治医意見書は、申請を受けた市町村が主治医に作成を依頼して書かれるものなんだ。
医学生医学生
なるほど、意見書は市町村からの依頼で書くんですね。だから申請より前には来ないと。
ドクタードクター
そういうこと。申請後、市町村は認定調査員を自宅などに派遣して、心身の状態を調べる訪問調査を行う。基本調査の74項目と特記事項だ。並行して主治医が意見書を作成する。主治医がいない場合は、市町村が指定する医師が診察して書くことになる。
医学生医学生
そのあとすぐ介護認定審査会で判定するんですか。
ドクタードクター
その前にワンステップある。認定調査の結果と主治医意見書の一部の項目をもとに、コンピュータで要介護認定等基準時間を推計する一次判定だ。そのうえで、保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会が、一次判定の結果、特記事項、主治医意見書を材料に二次判定を行う。
医学生医学生
審査会は意見書を資料として使うわけだから、意見書の作成は判定より前でないとおかしいですね。
ドクタードクター
そこが一番大事なところ。だから申請、主治医意見書の作成、審査会の判定という順番が正解になる。申請より先に審査会や意見書が来る並びは申請主義に反するし、申請のあと審査会が先で意見書が後になる並びは、判定材料がないまま判定することになってしまう。
医学生医学生
申請が最初、審査会が最後、と覚えれば一発で絞れますね。
ドクタードクター
その覚え方で十分だよ。最後に、市町村が審査会の判定に基づいて、非該当、要支援1・2、要介護1〜5のいずれかを認定し、原則として申請から30日以内に通知する。
医学生医学生
被保険者の区分もよく出ますよね。CBTの勉強で、40〜64歳の人は特定疾病のときだけ使えると覚えました。
ドクタードクター
正確だね。65歳以上が第1号被保険者、40歳以上65歳未満の医療保険加入者が第2号被保険者で、第2号は末期がん、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、脳血管疾患、初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患など16の特定疾病が原因の場合に限ってサービスを受けられる。
医学生医学生
認定されたあとは、誰がケアプランを作るんでしたっけ。
ドクタードクター
要介護者なら居宅介護支援事業者のケアマネジャー、要支援者なら地域包括支援センターが中心になってケアプランを作り、それに基づいてサービスが始まる。新規認定の有効期間は原則6か月で、更新のたびに同じ手続きが繰り返されるから、主治医意見書も繰り返し求められるんだ。
医学生医学生
総合診療科の実習で、外来の合間に先生が主治医意見書を書いているのを見ました。あれはこの流れの一部だったんですね。
ドクタードクター
そう。医師になれば日常的に依頼される書類だよ。傷病の経過や特別な医療、認知症高齢者の日常生活自立度、障害高齢者の日常生活自立度などを記載するんだけど、審査会はこれを重要な判断材料にする。患者さんの生活の様子を具体的に書くことが、適切な介護度の認定につながると意識しておいてほしい。

まとめ

要介護認定は、本人や家族などによる市町村への申請から始まり、市町村による認定調査と主治医意見書の作成、コンピュータによる一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て、原則として申請から30日以内に認定結果が通知されます。介護保険は申請主義であり、主治医意見書は市町村の依頼を受けて作成され、審査会の判定資料となるため、「申請→意見書→審査会」の順序が論理的に決まります。第1号・第2号被保険者の区分、特定疾病、認定区分、ケアプラン作成者もあわせて整理しておくと、介護保険の問題に幅広く対応できます。主治医意見書は医師が日常診療で必ず関わる書類であり、制度の流れを理解することは患者さんの生活を支える実践的な力になります。

解答・解説

正解はeです

介護保険のサービスを利用するには、市町村(特別区を含む)から要介護または要支援の認定を受ける必要がある。この要介護認定の手続きは、次の順序で進む。 【1. 申請】被保険者本人(または家族、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者などによる代行)が、保険者である市町村の窓口に申請する。介護保険は申請主義であり、申請がなければ手続きは始まらない。 【2. 認定調査と主治医意見書】申請を受けた市町村は、認定調査員を自宅などに派遣して心身の状況に関する訪問調査(基本調査74項目と特記事項)を行う。同時に、市町村が申請者の主治医に依頼し、主治医が主治医意見書を作成する。主治医がいない場合は市町村の指定する医師が診察して作成する。 【3. 一次判定】認定調査の結果と主治医意見書の一部の項目をもとに、コンピュータで要介護認定等基準時間を推計し、一次判定を行う。 【4. 二次判定】保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会が、一次判定の結果、特記事項、主治医意見書をもとに審査・判定する(二次判定)。 【5. 認定・通知】市町村が審査会の判定に基づき、非該当・要支援1〜2・要介護1〜5のいずれかを認定し、原則として申請から30日以内に本人へ通知する。 したがって、「申請 → 主治医意見書の作成 → 介護認定審査会の判定」が正しい順序である。考え方としては、申請がすべての出発点であること、審査会は主治医意見書などの資料がそろってから判定する場であることの2点を押さえれば、正解を一つに絞れる。

選択肢考察

  1. ×a.  介護認定審査会の判定 → 要介護認定の申請 → 主治医意見書の作成

    誤り。介護保険は申請主義であり、申請より前に審査会が判定を行うことはない。さらに、審査会は主治医意見書を判定資料として使うため、意見書の作成が判定より後になることもない。

  2. ×b.  介護認定審査会の判定 → 主治医意見書の作成 → 要介護認定の申請

    誤り。順序が完全に逆である。まず申請があり、申請を受けた市町村が主治医に意見書を依頼し、資料がそろった段階で審査会が判定する。

  3. ×c.  主治医意見書の作成 → 介護認定審査会の判定 → 要介護認定の申請

    誤り。主治医意見書は、申請を受けた市町村からの依頼に基づいて作成されるものであり、申請の前に作成される手順にはなっていない。審査会の判定も申請がなければ行われない。

  4. ×d.  要介護認定の申請 → 介護認定審査会の判定 → 主治医意見書の作成

    誤り。申請が最初である点は正しいが、審査会は一次判定の結果とともに主治医意見書を資料として二次判定を行う。意見書がない状態で判定することはできないため、意見書の作成は判定より前でなければならない。

  5. ○e.  要介護認定の申請 → 主治医意見書の作成 → 介護認定審査会の判定

    正しい。本人などが市町村へ申請し、市町村は認定調査を行うとともに主治医に意見書の作成を依頼する。認定調査と意見書をもとにコンピュータによる一次判定が行われ、その結果と意見書・特記事項を資料として介護認定審査会が二次判定を行う。この流れに合致する。

介護保険制度の概要

・保険者:市町村および特別区。 ・被保険者:第1号被保険者は65歳以上の者。第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者。 ・第2号被保険者がサービスを受けられるのは、要介護状態の原因が特定疾病(末期がん、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、脳血管疾患、初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患、糖尿病性神経障害・腎症・網膜症など16疾病)による場合に限られる。

要介護認定の区分と有効期間

・区分は非該当(自立)、要支援1・2、要介護1〜5の計8段階(非該当を含む)。 ・要支援者は予防給付(介護予防サービス)、要介護者は介護給付の対象となる。 ・新規認定の有効期間は原則6か月で、更新時にも同様の手続き(認定調査・主治医意見書・審査会判定)が行われる。

主治医意見書

・傷病に関する意見、特別な医療、心身の状態(認知症高齢者の日常生活自立度、障害高齢者の日常生活自立度など)、生活機能とサービスに関する意見などを記載する。 ・医師であれば日常診療で作成を依頼される機会が多い書類である。

認定後の流れ

認定後は、要介護者であれば居宅介護支援事業者の介護支援専門員(ケアマネジャー)が、要支援者であれば地域包括支援センターがケアプラン(介護予防ケアプラン)を作成し、それに基づいてサービスが提供される。

POINT

・要介護認定の流れ:申請 → 認定調査・主治医意見書 → コンピュータによる一次判定 → 介護認定審査会による二次判定 → 市町村による認定・通知 ・介護保険は申請主義で、申請先は保険者である市町村 ・主治医意見書は市町村が主治医に作成を依頼する ・介護認定審査会は保健・医療・福祉の学識経験者で構成され、二次判定を担う ・認定結果の通知は原則として申請から30日以内

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。