足のどこをこする?―外くるぶしの下が教えるChaddock反射
第105回医師国家試験 C問題 第3問
国試問題にチャレンジ
神経学的診察手技の写真を別に示す。 この反射はどれか。

- a.Babinski反射
- b.Chaddock反射
- c.Hoffmann反射
- d.Trömner反射
- e.Wartenberg反射
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生まとめ
Chaddock反射は、外果の後方から下を回って足背外側縁を前方へこすり、母趾の背屈をみる錐体路障害の病的反射で、Babinski反射の変法の一つです。足底を刺激しないため逃避反応が起きにくく、臨床で広く用いられます。下肢の変法はOppenheim(脛骨前内側縁)、Gordon(腓腹筋)、Schaeffer(アキレス腱)、Gonda(第4趾)と刺激部位で区別し、Hoffmann・Trömner・Wartenberg反射は手指を刺激して母指の屈曲・内転をみる上肢の反射です。病的反射は腱反射亢進や痙性などとあわせて上位運動ニューロン障害を評価する手がかりであり、乳児では生理的に陽性となる点も押さえておくと、神経診察の解釈に役立ちます。
解答・解説
正解はbです
写真の読み取り
写真では、検者が先の細い棒状のもので患者の足の外側をこすっている。矢印は外くるぶし(外果)の後方から下方を回り込み、足の外側を前方へ向かっている。つまり、刺激しているのは足底ではなく、外果の下の足背外側部である。
考え方
錐体路(大脳皮質から脊髄へ運動の指令を伝える経路)が障害されると、正常では見られない反射(病的反射)が出現する。下肢の代表はBabinski反射で、足底の外側をこすると母趾が背屈(足の甲の方へ反り返る)し、ほかの趾が扇のように開く。この「母趾の背屈」という反応を、足底以外の部位への刺激で引き出す変法がいくつもあり、刺激部位の違いで名前が区別される。外果の下を後ろから前へこするのがChaddock反射である。 上肢の選択肢(Hoffmann反射、Trömner反射、Wartenberg反射)は、いずれも手指を刺激して母指の屈曲・内転をみるもので、写真の足への刺激とは明らかに異なる。
選択肢考察
- ×a. Babinski反射
Babinski反射は、足底の外側縁を踵から趾の付け根に向かってこすり上げ、さらに母趾の付け根の方へ弧を描くように刺激して誘発する。正常では母趾は足底側へ屈曲するが、錐体路障害があると母趾がゆっくり背屈し、他の趾が開く(開扇現象)。刺激部位は足底であり、写真のように外果の下の足の側面をこする手技ではない。
- ○b. Chaddock反射
Chaddock反射は、外果の後方から下を回って、足背の外側縁を前方へ(踵側から小趾側へ)こすって誘発する。写真の刺激部位と方向(矢印)はこれに一致する。錐体路障害があると母趾が背屈し、陽性と判定する。Babinski反射の変法の一つで、足底を刺激しないため足底をくすぐったがる患者の逃避反応を起こしにくく、Babinski反射と同等に検出感度が高いとされ、臨床でよく用いられる。
- ×c. Hoffmann反射
Hoffmann反射は上肢の反射である。患者の手関節を軽く背屈させた状態で中指の末節をつまみ、爪の部分を手掌側へはじく。反射が亢進していると母指が屈曲・内転し、他の指も屈曲する。足を刺激する写真の手技とは異なる。
- ×d. Trömner反射
Trömner反射も上肢の反射である。患者の手指を軽く屈曲させた状態で中指を支え、中指の末節の指腹(手掌側)を検者の指で手背側へ向けてはじく。反射が亢進していると母指が屈曲・内転する。Hoffmann反射とは指をはじく方向が逆である点で区別する。写真の手技とは異なる。
- ×e. Wartenberg反射
Wartenberg反射も上肢の反射である。前腕を回外させた患者の母指以外の4指を軽く屈曲させ、検者の屈曲した指を引っかけて互いに引っ張り合う。錐体路障害があると母指が強く屈曲・内転する。写真の手技とは異なる。
Babinski反射とその変法(いずれも母趾の背屈をみる)
Babinski反射:足底外側縁を踵から前へこする。 Chaddock反射:外果の下を後ろから前へこする。 Oppenheim反射:脛骨の前内側縁を膝の下から足首に向けて強くこすり下ろす。 Gordon反射:ふくらはぎ(腓腹筋)を強くつかむ。 Schaeffer反射:アキレス腱を強くつまむ。 Gonda反射:第4趾(または第3・4趾)をつまんで足底側へ強く曲げ、急に離す。
上肢の反射(母指の屈曲・内転をみる)
Hoffmann反射:中指の爪を手掌側へはじく。 Trömner反射:中指の指腹を手背側へはじく。 Wartenberg反射:屈曲した4指を検者の指で引っ張る。 これらは本質的には手指屈筋の腱反射であり、健常者でも反射が活発な人では両側性に軽く出現することがある。左右差がある場合や、他の錐体路徴候(腱反射亢進、Babinski反射陽性など)を伴う場合に意義が大きい。
錐体路障害(上位運動ニューロン障害)の徴候
腱反射の亢進、病的反射の出現、痙性(筋緊張の亢進)、クローヌス、腹壁反射の消失、筋萎縮は目立たない、などが特徴である。これに対して下位運動ニューロン障害では、腱反射の低下・消失、筋萎縮、線維束性収縮がみられる。
乳児のBabinski反射
錐体路の髄鞘化が未完成な乳児では、Babinski反射が陽性でも正常であり、通常は歩行が始まるころ(おおむね2歳ごろまで)に消失する。
POINT
・Chaddock反射=外果の下を後方から前方へこすり、母趾の背屈をみる。 ・Babinski反射の変法は刺激部位で区別する(Chaddock:外果下、Oppenheim:脛骨前内側縁、Gordon:腓腹筋、Schaeffer:アキレス腱、Gonda:第4趾)。 ・Hoffmann・Trömner・Wartenberg反射は上肢で母指の屈曲・内転をみる反射である。 ・病的反射は錐体路障害の徴候である。
