StudyMed医師国家試験

学校医・学校薬剤師・校長―学校保健の「役割分担」を見抜く

第102回医師国家試験 B問題 第27問

国試問題にチャレンジ

第102回 B問題 第27問

学校医の職務はどれか。2つ選べ。

  1. a.児童・生徒の健康診断
  2. b.学校プールの水質検査
  3. c.学校で使用する医薬品の管理
  4. d.学校保健安全計画の立案への参加
  5. e.学校伝染病による出席停止の決定

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、学校で子どもの健康を守る人たちの役割分担を問う問題だ。学校医、学校歯科医、学校薬剤師の「学校三師」と、学校の責任者である校長。それぞれ何を担当するかを整理できれば、すんなり解けるよ。
医学生医学生
学校医というと、小学生のころの健康診断で聴診してくれた先生のイメージしかありません。
ドクタードクター
多くの人がそうだと思う。実際、児童生徒の健康診断に従事するのは学校医の中心的な職務で、これは正解の一つだ。学校保健安全法に基づく定期・臨時の健康診断に加えて、求めがあれば就学時健診や職員の健康診断にも関わる。
医学生医学生
もう一つは学校保健安全計画の立案への参加でしょうか。でも、医師が学校の計画にまで関わるのは少し意外です。
ドクタードクター
そう感じるかもしれないね。でも施行規則で定められた学校医の職務の一番最初に挙がっているのが、学校保健計画・学校安全計画の立案に「参与」することなんだ。計画を策定・実施するのは学校で、最終的な責任者は校長。学校医は医学的な立場から関与するという位置づけだよ。
医学生医学生
なるほど、決めるのではなく専門家として参加する、ということですね。プールの水質検査はどうでしょう。衛生に関わることなので、医師の仕事かと思いました。
ドクタードクター
そこが迷いやすいところだ。プール水や飲料水の水質、教室の空気や換気、照度、騒音といった学校環境衛生の検査に従事するのは学校薬剤師なんだ。学校医も環境衛生の維持・改善について学校薬剤師と協力して助言はするけれど、検査そのものは担当しない。
医学生医学生
薬剤師が環境検査をするのは知りませんでした。医薬品の管理は、さすがに薬剤師ですよね。
ドクタードクター
その通り。保健室や理科室で使う医薬品、毒物・劇物の管理について指導・助言するのは学校薬剤師の職務。「薬と環境は薬剤師」とまとめておくと覚えやすいよ。
医学生医学生
出席停止の決定は、医学的判断が必要だから学校医が決めると思っていました。前の問題で出席停止期間の基準を勉強したばかりなので。
ドクタードクター
いい引っかかり方だね。学校保健安全法第19条で、出席停止を命じるのは校長と定められている。学校医は感染症予防の指導・助言や、登校再開してよいかの医学的判断には関わるけれど、決定権はもたない。ちなみに、学級閉鎖や学校閉鎖のような臨時休業を決めるのは学校の設置者だ。
医学生医学生
出席停止は校長、臨時休業は設置者。主語が違うのがポイントですね。CBTのときにもこの辺りで混乱した記憶があります。
ドクタードクター
権限の主語はよく問われるから、セットで押さえておこう。健康診断も、実施主体は児童生徒なら学校、就学時健診なら市町村教育委員会、職員なら学校の設置者で、学校医は実際の診察に従事する立場なんだ。
医学生医学生
学校医の職務は、健康診断のほかに何がありましたっけ。
ドクタードクター
健康相談、保健指導、疾病の予防処置、感染症や食中毒の予防に関する指導・助言と処置、校長の求めによる救急処置などだ。職務を行ったら学校医執務記録簿に記入して校長に提出する。それから配置にも違いがあって、学校医は大学を含むすべての学校に置かれるけれど、学校歯科医と学校薬剤師は大学以外の学校に置かれる。
医学生医学生
地域医療の実習で、開業医の先生が地元の小学校の学校医もされていて、側弯症の検診や心臓検診の話を聞きました。
ドクタードクター
まさにそういう形で、多くは地域の開業医が非常勤で務めている。将来どの科に進んでも、学校医を頼まれる可能性はあるよ。そのときは、医師として何を担い、どこからが校長や薬剤師の役割なのかを理解しておくと、学校との連携がスムーズになる。

まとめ

学校には学校医・学校歯科医・学校薬剤師の学校三師が置かれ、その職務は学校保健安全法施行規則に定められています。学校医は児童生徒の健康診断、健康相談、保健指導、感染症の予防処置、救急処置などに従事し、学校保健計画・学校安全計画の立案に参与します。一方、プール水や飲料水などの環境衛生検査や医薬品・毒物劇物の管理に関する指導・助言は学校薬剤師の職務であり、感染症による出席停止は校長、学級閉鎖などの臨時休業は学校の設置者が決定します。「誰が決め、誰が専門的に関与するのか」という権限の主語を整理しておくことは、国試対策だけでなく、将来学校医として地域の子どもの健康を支える際の基盤にもなります。

解答・解説

正解はa, dです

学校には、児童生徒と職員の健康を守るための専門職として、学校医・学校歯科医・学校薬剤師が置かれる(学校三師)。それぞれの職務の内容は、学校保健安全法施行規則に「職務執行の準則」として定められている。 本問を解くには、次の3者の役割分担を整理しておく。 ・学校医:医学的な立場から、健康診断・健康相談・保健指導・疾病や感染症の予防処置・救急処置などに従事し、学校保健計画・学校安全計画の立案に参与する。 ・学校薬剤師:学校環境衛生の検査(飲料水・プール水・空気・照度など)に従事し、学校で使う医薬品や毒物・劇物などの管理について指導・助言する。 ・校長:学校運営の責任者として、感染症による出席停止などの措置を決定する。 選択肢のうち、学校医の職務にあたるのは児童生徒の健康診断と、学校保健安全計画の立案への参加(参与)の2つである。プールの水質検査と医薬品の管理は学校薬剤師の領域、出席停止の決定は校長の権限である。

選択肢考察

  1. ○a.  児童・生徒の健康診断

    正しい。学校保健安全法第13条に基づく児童生徒の定期・臨時の健康診断に従事することは、学校医の中心的な職務である。さらに学校の設置者などの求めに応じて、就学時の健康診断(第11条)や職員の健康診断(第15条)にも従事する。

  2. ×b.  学校プールの水質検査

    誤り。プール水の水質検査は学校環境衛生検査の一つで、学校薬剤師が従事する。学校医も環境衛生の維持・改善について学校薬剤師と協力して指導・助言を行うが、水質検査そのものを担当するのは学校薬剤師である。

  3. ×c.  学校で使用する医薬品の管理

    誤り。保健室や理科室などで使用する医薬品、毒物・劇物の管理について指導・助言するのは学校薬剤師の職務である。医薬品の専門家である薬剤師の役割と考えれば区別しやすい。

  4. ○d.  学校保健安全計画の立案への参加

    正しい。学校保健安全法施行規則では、学校医の職務の第一に学校保健計画・学校安全計画の立案に参与することを挙げている。計画を策定し実施するのは学校(最終的な責任者は校長)であり、学校医は専門的な立場から立案に関与する。なお、学校歯科医・学校薬剤師にも同様に立案への参与が定められている。

  5. ×e.  学校伝染病による出席停止の決定

    誤り。学校保健安全法第19条により、感染症にかかっている、かかっている疑いがある、またはかかるおそれのある児童生徒等の出席を停止させるのは校長である。学校医は感染症の予防に関する指導・助言や、登校再開の可否に関する医学的判断に関わるが、出席停止を決定する権限はもたない。なお、学校の全部または一部の臨時休業(学級閉鎖・学校閉鎖など)を決めるのは学校の設置者である(第20条)。

学校三師の配置

学校医は大学を含むすべての学校に置かれる。学校歯科医と学校薬剤師は大学以外の学校に置かれる(学校保健安全法第23条)。いずれも非常勤が一般的である。

学校医の職務執行の準則(学校保健安全法施行規則第22条の要旨)

1. 学校保健計画・学校安全計画の立案に参与する。 2. 学校環境衛生の維持・改善について、学校薬剤師と協力して必要な指導・助言を行う。 3. 健康相談に従事する。 4. 保健指導に従事する。 5. 児童生徒等の健康診断に従事する。 6. 疾病の予防処置に従事する。 7. 感染症の予防に関する指導・助言と、学校における感染症・食中毒の予防処置に従事する。 8. 校長の求めにより救急処置に従事する。 9. 市町村教育委員会または学校の設置者の求めにより、就学時健康診断や職員の健康診断に従事する。 10. そのほか、必要に応じて学校保健管理の専門的事項に関する指導に従事する。 職務に従事したときは、その状況の概要を学校医執務記録簿に記入し、校長に提出する。

学校薬剤師の主な職務

学校保健計画・学校安全計画の立案への参与、学校環境衛生検査への従事(飲料水・プール水の水質、教室の空気・換気、照度、騒音、ダニやアレルゲンなど)、環境衛生の維持・改善に関する指導・助言、健康相談・保健指導、学校で使用する医薬品・毒物・劇物や保健管理用品の管理に関する指導・助言、必要に応じた試験・検査・鑑定。薬物乱用防止教育に関わることも多い。

権限の整理

・出席停止:校長(第19条) ・臨時休業:学校の設置者(第20条) ・健康診断の実施主体:児童生徒は学校(第13条)、就学時は市町村教育委員会(第11条)、職員は学校の設置者(第15条)。学校医は実際の診察に従事する。

用語

出題当時の「学校保健法」は2009年に「学校保健安全法」へ改められ、「学校伝染病」は「学校において予防すべき感染症」と呼ばれるようになった。

POINT

・学校医の職務:健康診断、健康相談、保健指導、疾病・感染症の予防処置、救急処置、学校保健計画・学校安全計画の立案への参与など。 ・学校薬剤師の職務:プール水・飲料水などの環境衛生検査、医薬品・毒物・劇物の管理に関する指導・助言。 ・出席停止は校長、臨時休業(学級閉鎖など)は学校の設置者が決める。 ・学校医はすべての学校に、学校歯科医・学校薬剤師は大学以外の学校に置かれる。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。