StudyMed医師国家試験

16人に1人―数字で実感する「40歳以上の出産」のいま

第119回医師国家試験 F問題 第22問

国試問題にチャレンジ

第119回 F問題 第22問

我が国の最近5年間の年間総出生数に対する,母体年齢40歳以上の出生数の割合に最も近いのはどれか。

  1. a.1%
  2. b.6%
  3. c.16%
  4. d.26%
  5. e.36%

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は人口動態統計の問題で、1年間に生まれた子どものうち、母親が40歳以上の出生がどのくらいを占めるかを問うている。細かい数値を丸暗記していなくても、母の年齢別の出生の分布をイメージできれば選べる問題だよ。まず直感でどう思う?
医学生医学生
晩産化が進んでいるとよく聞くので、16%くらいはあるのかなと思いました。
ドクタードクター
そう感じる人は多いね。でも実際は、2019年から2023年の5年間で5.9%から6.5%ほどで推移していて、およそ6%なんだ。正解は6%だよ。
医学生医学生
意外と少ないんですね。周りで40代で出産した話をよく聞くので、もっと多い印象でした。
ドクタードクター
実感としてはそうかもしれない。でも数字で確認すると、2022年の総出生数は約77万人で、そのうち母が40歳以上の出生は約4万8千人。割り算すると約6.2%、だいたい16〜17人に1人という規模感になる。
医学生医学生
では16%というのは、何の数字に近いんでしょうか。
ドクタードクター
16%前後から2割弱というのは、むしろ35〜39歳の出生が占める割合に近い規模なんだ。年齢区分を5歳ずれて取り違えると、この選択肢を選んでしまう。
医学生医学生
26%はどうですか。高齢出産全体の割合とか…。
ドクタードクター
いい推理だね。26%前後は、35歳以上、つまりいわゆる高齢出産全体の割合や、25〜29歳の出生の割合に近い水準だ。40歳以上に限るとずっと小さくなる。そして36%前後は、出生が最も集中している30〜34歳の階級に相当する規模だよ。
医学生医学生
母の年齢別では30〜34歳が一番多くて、次が25〜29歳、35〜39歳の順でしたね。
ドクタードクター
その通り。逆に1%というのは、昭和の終わりから平成の初めごろに近い水準で、今の値としては小さすぎる。40歳以上の割合は、この数十年でゆるやかに上昇してきたんだ。
医学生医学生
総出生数は減っているのに、40歳以上の割合が上がっているのはなぜですか。
ドクタードクター
総出生数は2016年に100万人を割り込み、2022年には80万人を下回るほど減っている。一方で40歳以上の出生数は大きくは減っていないから、相対的に割合が上がっているんだ。分母と分子の動きを分けて考えることが大事だね。
医学生医学生
産婦人科の実習で、高齢妊娠の方は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病に注意してフォローすると教わりました。
ドクタードクター
よく覚えているね。母体年齢が上がると妊孕性が低下するうえ、流産や早産、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、胎児の染色体異常などのリスクも高まる。だから妊婦健診での管理や、出生前検査についての丁寧な情報提供が重要になるんだ。
医学生医学生
晩産化は少子化にもつながるんですよね。
ドクタードクター
そうだね。出産年齢が上がると、1人の女性が生涯に産む子どもの数が減りやすい。日本では出生の大多数が婚姻している夫婦から生まれるから、晩婚化と晩産化は共通の背景をもつと考えられている。女性の就労や仕事と子育ての両立の難しさ、経済的な不安定さなどが挙げられるよ。
医学生医学生
統計の数字も、母の年齢別の分布という全体像で覚えておけば、選択肢を絞り込めそうです。
ドクタードクター
その通り。第1子出生時の母の平均年齢は30歳を超えて推移している、という点もあわせて押さえておこう。外来で妊娠を希望する女性に年齢と妊孕性の関係を説明するときにも、こうした全体像が役に立つよ。

まとめ

我が国の最近5年間(2019〜2023年)で、総出生数に占める母の年齢40歳以上の出生の割合は5.9〜6.5%程度で推移しており、約6%、およそ16〜17人に1人にあたります。母の年齢階級別の出生は30〜34歳が最多で、次いで25〜29歳、35〜39歳の順であり、16%前後は35〜39歳、26%前後は35歳以上全体、36%前後は30〜34歳の規模に近いため、年齢区分の取り違えに注意が必要です。総出生数は2022年に80万人を下回るほど減少する一方、40歳以上の出生数は大きく減っていないため、その割合はゆるやかに上昇しています。母体年齢の上昇は妊孕性の低下や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、染色体異常などのリスク増加と関連し、晩産化は少子化の一因とされます。統計値を年齢分布の全体像として理解しておくことは、試験対策だけでなく妊娠・出産に関する患者説明や母子保健の施策を考える土台になります。

解答・解説

正解はbです

問われていること

人口動態統計で、1年間に生まれた子ども全体(総出生数)のうち、母親が40歳以上で出産した例がどのくらいを占めるかを問う統計問題である。

統計値

2019年から2023年までの5年間について、母の年齢40歳以上の出生数が総出生数に占める割合はおおむね5.9%→5.9%→6.2%→6.2%→6.5%と推移しており、5年間を通算しても約6%である。 例として2022年(令和4年)をみると、総出生数は770,759人で、母の年齢40〜44歳の出生数が46,338人、45歳以上が1,658人であった。合計47,996人を総出生数で割ると、47,996÷770,759≒0.062、すなわち約6.2%となる。

考え方

日本では母の年齢階級別にみると30〜34歳での出生が最も多く、次いで25〜29歳、35〜39歳の順である。40歳以上は増加傾向にあるものの、全体からみればまだ少数派で、「およそ16〜17人に1人」という規模感である。晩産化が進んでいることは知っていても、40歳以上が1割を超えるほどではない、という感覚をもっておくと選択肢を絞り込める。

選択肢考察

  1. ×a.  1%

    誤り。40歳以上の出産が全体の1%程度だったのは昭和末期〜平成初期頃の水準に近い(当時は1%を下回る年もあった)。その後の晩産化により割合は大きく上昇しており、現在の値としては小さすぎる。

  2. ○b.  6%

    正しい。2019〜2023年の各年で5.9〜6.5%の範囲にあり、2022年の実数(40歳以上47,996人/総出生数770,759人)からも約6.2%と計算できる。最近5年間の値に最も近いのは6%である。

  3. ×c.  16%

    誤り。40歳以上に限定した割合としては大きすぎる。16%前後というのは、むしろ母の年齢35〜39歳の出生が占める割合(おおむね2割弱)に近い規模であり、年齢区分を取り違えないよう注意する。

  4. ×d.  26%

    誤り。40歳以上の割合ではない。26%程度という値は、いわゆる高齢出産の目安である35歳以上の出生(35〜39歳と40歳以上の合計)が占める割合や、25〜29歳の出生が占める割合に近い水準であり、40歳以上と混同しないことが大切である。

  5. ×e.  36%

    誤り。36%前後という大きな割合は、出生が最も集中している母の年齢30〜34歳の階級に相当する規模である。40歳以上の出生がこれほどの比重を占めることはない。

晩産化と高齢出産

一般に35歳以上での出産を高齢出産と呼ぶ。女性の出産年齢が全体として上昇し、かつては高齢出産とみなされた年齢での出産が珍しくなくなっていく現象を晩産化という。第1子出生時の母の平均年齢は30歳を超えて推移している。

晩産化が少子化に結びつく理由

母体年齢が上がると、妊娠そのものが成立しにくくなる(妊孕性の低下)うえ、流産や早産、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、胎児の染色体異常などのリスクも高まる。その結果、1人の女性が生涯に産む子どもの数が減りやすく、少子化の一因となる。

背景

日本では出生の大多数が婚姻している夫婦の間で生じるため、出生数は結婚の動向に強く左右される。したがって晩婚化と晩産化は共通の背景をもつと考えられ、女性の高学歴化、フルタイム就労の増加、仕事と子育ての両立の難しさ、経済的な不安定さなどが挙げられる。

出生数の動向

総出生数は減少が続いており、2016年に初めて100万人を割り込み、2022年には80万人を下回った。総出生数が減る一方で40歳以上の出生数は大きく減っていないため、その割合はゆるやかに上昇している。

POINT

・最近5年間の総出生数に占める母の年齢40歳以上の出生の割合は約6%(2019〜2023年で5.9〜6.5%)。 ・母の年齢階級別の出生は30〜34歳が最多で、次いで25〜29歳、35〜39歳の順。 ・35歳以上の出産を高齢出産といい、晩婚化と並ぶ晩産化は少子化の一因である。 ・2022年の総出生数は約77万人で、初めて80万人を下回った。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。