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支える側はどっち?―「分母」で解き明かす従属人口指数

第119回医師国家試験 F問題 第21問

国試問題にチャレンジ

第119回 F問題 第21問

従属人口指数の分母はどれか。

  1. a.総人口
  2. b.年少人口
  3. c.成人人口
  4. d.老年人口
  5. e.生産年齢人口

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は人口の年齢構造を表す指標、従属人口指数の定義を問う問題だ。公衆衛生の指標問題は丸暗記に頼ると分母と分子を取り違えやすい。「誰が誰を支えているのか」という意味から考えるのが着眼点だよ。まず、人口の年齢3区分は言えるかな。
医学生医学生
0〜14歳が年少人口、15〜64歳が生産年齢人口、65歳以上が老年人口です。CBTの前に何度も書いて覚えました。
ドクタードクター
完璧だね。このうち年少人口と老年人口を合わせて「従属人口」と呼ぶ。働いて経済を支える世代に扶養される側、という意味なんだ。
医学生医学生
従属人口指数というくらいだから、分母は全体の総人口かなと最初は思いました。
ドクタードクター
そこが典型的な落とし穴だね。総人口を分母にするのは、年少人口割合や高齢化率のように「全体の何%を占めるか」を表す割合の指標なんだ。従属人口指数は割合ではなく、支える側と支えられる側の比を表す指標だよ。
医学生医学生
比ということは、支える側を基準にするんですね。
ドクタードクター
その通り。従属人口指数は「働き手100人あたり何人の子どもと高齢者を支えているか」を示す。だから支える側の生産年齢人口が分母、支えられる側の年少人口と老年人口の合計が分子になる。式にすると、年少人口と老年人口の和を生産年齢人口で割って100を掛けたものだ。正解は生産年齢人口だね。
医学生医学生
年少人口や老年人口は、分子側に入るから分母にはならないということですね。
ドクタードクター
そう。ただし年少人口を分母にする指標もあるから注意しよう。老年人口を年少人口で割った老年化指数で、少子高齢化がどれだけ進んでいるかを示す。一方、老年人口を分母に置く一般的な人口指標はないと考えてよい。
医学生医学生
成人人口という選択肢は、18歳以上の人口のことですか。
ドクタードクター
成人は民法上の概念で、2022年4月から18歳以上になった。でも人口統計の年齢3区分には使われないから、従属人口指数の計算にも登場しないよ。法律の区分と統計の区分を混同しないようにしよう。
医学生医学生
年少人口指数と老年人口指数も、分母は生産年齢人口でしたっけ。
ドクタードクター
そうだよ。年少人口指数は年少人口÷生産年齢人口×100、老年人口指数は老年人口÷生産年齢人口×100。分母が共通だから、従属人口指数はこの2つを足したものに等しくなる。「支える側が分母」という構造さえ押さえれば、3つまとめて理解できるんだ。
医学生医学生
日本では、従属人口指数はどう変化しているんですか。
ドクタードクター
少子化で年少人口指数は下がり続け、高齢化で老年人口指数は上がり続けている。その結果、従属人口指数は1990年代前半を底に上昇に転じ、今ではその大部分を老年人口指数が占めている。老年化指数も100を大きく超えて、高齢者が子どもの2倍以上いる状態だ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で、高齢化率7%で高齢化社会、14%で高齢社会、21%で超高齢社会と習いました。
ドクタードクター
よく覚えているね。日本は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超え、今は約3割と世界でも最も高い水準だ。高齢化率の分母は総人口だから、ここでも指標ごとに分母を区別しておこう。
医学生医学生
指標の名前だけでなく「何を比べたいのか」を考えれば、分母は自然に決まるんですね。
ドクタードクター
その通り。地域医療や医療政策を考えるときも、働き手1人あたりの負担がどう変わるかを示す従属人口指数は、医療・介護を支える体制を考える基礎データになる。数字の意味を説明できるようにしておくと、臨床に出てからも役立つよ。

まとめ

従属人口指数は、生産年齢人口(15〜64歳)100人が年少人口(0〜14歳)と老年人口(65歳以上)を合わせて何人支えているかを表す指標で、分母は生産年齢人口、分子は年少人口と老年人口の和です。年少人口指数・老年人口指数も分母は生産年齢人口で、両者の和が従属人口指数となります。一方、老年化指数の分母は年少人口、高齢化率など「割合」の指標の分母は総人口であり、成人人口は人口3区分に用いられません。日本では少子高齢化により従属人口指数は上昇を続け、その大部分を老年人口指数が占めています。「支える側が分母、支えられる側が分子」という意味から考えることで、人口指標を混同せず理解でき、医療・介護を支える社会構造を読み解く基礎となります。

解答・解説

正解はeです

人口の年齢構造を表す指標の一つ、従属人口指数の定義を問う問題である。 人口統計では、人口を年齢によって3区分する。 ・年少人口:0〜14歳 ・生産年齢人口:15〜64歳 ・老年人口:65歳以上 このうち年少人口と老年人口を合わせて「従属人口」と呼ぶ。経済的に自立して働く世代(生産年齢人口)に扶養される側の人口という意味である。従属人口指数は「働き手100人あたり、何人の子どもと高齢者を支えているか」を表す指標であり、支える側である生産年齢人口を分母、支えられる側である従属人口を分子に置く。 従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷ 生産年齢人口 × 100 この「支える側が分母、支えられる側が分子」という構造を理解しておけば、年少人口指数・老年人口指数も同じ分母(生産年齢人口)で求められることが自然にわかる。

選択肢考察

  1. ×a.  総人口

    総人口を分母とするのは、年少人口割合・生産年齢人口割合・老年人口割合(高齢化率)など、各区分が全体の何%を占めるかを示す「割合」の指標である。従属人口指数は扶養する側との比を表すため、総人口は分母にならない。

  2. ×b.  年少人口

    年少人口(0〜14歳)は従属人口の一部であり、従属人口指数では分子に含まれる。年少人口を分母に用いる指標は老年化指数(老年人口÷年少人口×100)で、少子高齢化の進行度を示す。

  3. ×c.  成人人口

    成人は民法上の概念(2022年4月以降は18歳以上、それ以前は20歳以上)であり、人口の年齢3区分には用いられない。従属人口指数の計算に成人人口は登場しない。

  4. ×d.  老年人口

    老年人口(65歳以上)は年少人口とともに従属人口を構成し、従属人口指数では分子に含まれる。老年人口が分母となる一般的な人口指標はない(老年人口は老年化指数では分子、老年人口指数でも分子である)。

  5. ○e.  生産年齢人口

    従属人口指数は、生産年齢人口(15〜64歳)100人が年少人口と老年人口を合わせて何人扶養しているかを示す指標であり、分母は生産年齢人口である。式は(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100となる。同じく生産年齢人口を分母とする指標に、年少人口指数(年少人口÷生産年齢人口×100)と老年人口指数(老年人口÷生産年齢人口×100)があり、従属人口指数はこの2つの和に等しい。

年齢構造に関する指標のまとめ

・年少人口指数=年少人口÷生産年齢人口×100 ・老年人口指数=老年人口÷生産年齢人口×100 ・従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100=年少人口指数+老年人口指数 ・老年化指数=老年人口÷年少人口×100 ・老年人口割合(高齢化率)=老年人口÷総人口×100

日本の動向

日本では少子化と高齢化が同時に進行しており、年少人口指数は低下傾向、老年人口指数は上昇を続けている。その結果、従属人口指数は1990年代前半を底に上昇に転じ、現在は老年人口指数が従属人口指数の大部分を占める。老年化指数は100を大きく上回り、高齢者が子どもの2倍以上いる状態となっている。高齢化率は約3割に達し、世界でも最も高い水準にある。

高齢化の段階を示す用語

高齢化率7%超を高齢化社会、14%超を高齢社会、21%超を超高齢社会と呼ぶことが多い。日本は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えた。

POINT

・人口3区分:年少人口(0〜14歳)、生産年齢人口(15〜64歳)、老年人口(65歳以上)。 ・従属人口=年少人口+老年人口。 ・年少人口指数・老年人口指数・従属人口指数の分母はいずれも生産年齢人口。 ・老年化指数の分母は年少人口、高齢化率の分母は総人口。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。