StudyMed医師国家試験

低く始まり、急上昇して首位へ―高齢化率のグラフで日本を見抜く

第119回医師国家試験 C問題 第2問

国試問題にチャレンジ

第119回 C問題 第2問

日本,韓国,イタリア,スウェーデン,ドイツの老年人口の割合の推移を下に示す。  日本はどれか。

第119回 C問題 第2問の問題画像
  1. a.①
  2. b.②
  3. c.③
  4. d.④
  5. e.⑤

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、5か国の老年人口割合の推移を示すグラフから日本を選ぶ問題だ。ポイントは「出発点の高さ」「上昇の速さ」「現在の位置」の3つ。日本の高齢化がどんな軌跡をたどってきたか、イメージできるかな。
医学生医学生
日本は今、世界で一番高齢化率が高い国ですよね。だから昔からずっと一番上の線だと思っていました。
ドクタードクター
そこが最初の落とし穴だ。1950年ごろの日本の高齢化率は約5%で、10%前後あったスウェーデンやドイツなどの欧州諸国より明らかに低かったんだ。戦後しばらくは出生数が多く、若い人口構成だったからね。
医学生医学生
では、最初は下のほうにある線なんですね。
ドクタードクター
そう。そこから平均寿命の延伸と出生率の低下が重なって急上昇する。7%を超えて高齢化社会になったのが1970年、14%の高齢社会が1994年、21%を超えて超高齢社会になったのが2007年だ。
医学生医学生
衛生学の講義で、7%から14%になるまでの倍加年数が日本は24年と習いました。フランスやスウェーデンはずっと長いんですよね。
ドクタードクター
よく覚えているね。フランスは約115年、スウェーデンは約85年、ドイツでも約40年かかっている。日本の24年は欧米に例のない速さだ。だからグラフでは、低い位置から急角度で上がり、2005年前後に欧州の線を次々と追い越して、実績値の最終時点で約30%と最も高い線、これが日本になる。④がそれにあたるね。
医学生医学生
なるほど。でも1950年に一番低い線は別にありますよね。あれは日本じゃないんですか。
ドクタードクター
いい疑問だ。1950年に約3%と最も低く、2000年ごろまで10%未満だったのに、近年になって急激に立ち上がる線は韓国だ。韓国は2000年に7%、2018年に14%を超えていて、倍加年数は18年と日本よりさらに短い。
医学生医学生
日本より速いんですか。少子化が背景でしょうか。
ドクタードクター
そう。合計特殊出生率が1を下回るほどの極端な少子化が続いているんだ。推計では2050年ごろに日本と並ぶか上回る約38%に達するとされている。ただ現時点ではまだ日本より低いから、今一番上にいる線ではない。
医学生医学生
欧州の3か国はどう見分ければいいですか。
ドクタードクター
1950年時点ですでに約10%と高かった2本がスウェーデンとドイツだ。スウェーデンは1980年代まで5か国で最も高かったけれど、その後は横ばいに近く、2050年でも25%程度にとどまる。手厚い家族政策で出生率が比較的保たれ、移民も多いことが影響していると考えられている。ドイツは緩やかに上がり続け、2050年に約30%と推計されている。
医学生医学生
残る1本、中間から始まって欧州でいちばん高くなっている線がイタリアですね。
ドクタードクター
正解。イタリアは1950年の約8%から一貫して上昇し、2000年代にスウェーデンやドイツを上回った。低出生率が続いているので今後も上昇するけれど、現時点では日本より低い。
医学生医学生
「出発点が低いのに急上昇して今トップ」が日本、「一番低いところから最近急上昇」が韓国、と押さえればいいんですね。
ドクタードクター
その通り。最後に臨床とのつながりも見ておこう。団塊の世代が2025年に全員75歳以上となり、今後は後期高齢者の割合が増える。さらに2040年代前半には第二次ベビーブーム世代が65歳以上になり、高齢者人口がピークを迎えると推計されている。
医学生医学生
総合診療科の実習で、多疾患併存やポリファーマシーの患者さんがとても多かったのを思い出しました。
ドクタードクター
まさにそれが高齢化の現場での姿だ。フレイルや認知症、介護との連携など、これからの医師はどの診療科でも高齢者医療から逃れられない。人口統計の数字は、自分が将来どんな患者さんを診るのかを教えてくれるものだと思って見てほしい。

まとめ

老年人口の割合(高齢化率)は総人口に占める65歳以上人口の割合で、日本は現在約29%と世界最高水準にあります。ただし1950年ごろは約5%と欧州諸国より低く、1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えるという急速な上昇(倍加年数24年)を経て、2000年代半ばに欧州を追い越しました。グラフでは「低い位置から急上昇して現在最も高い線」が日本であり、最も低い位置から近年急上昇している線は韓国(倍加年数18年)、早くから高いが上昇が緩やかな線はスウェーデンやドイツ、欧州で現在最も高いのはイタリアと読み分けます。高齢化の速度と背景を理解しておくことは、後期高齢者の増加や多疾患併存など、今後の医療需要を見通すうえでの基礎となります。

解答・解説

正解はdです

老年人口の割合(高齢化率)とは、総人口に占める65歳以上人口の割合である。グラフは1950年から2050年までの推移(2020年代前半までが実績値、それ以降が推計値)を5か国で比較している。

日本の推移の特徴

・1950年ごろは約5%と、欧州諸国(約8〜10%)より明らかに低かった。 ・高度経済成長期以降、平均寿命の延伸と出生率の低下により急上昇し、7%(高齢化社会)に達したのが1970年、14%(高齢社会)に達したのが1994年、21%(超高齢社会)を超えたのが2007年である。7%から14%までわずか24年という、欧米諸国に例のない速さであった。 ・2000年代半ばに欧州諸国を追い抜いて世界最高水準となり、現在は約29%である。推計では2040年代に35%を超える。

グラフでの当てはめ

1950年に約5%と低い位置から始まり、1990年代に急角度で上昇して2005年前後に欧州の3本の線を追い越し、実績値の終わり(2020年代前半)の時点で約30%と5本の中で最も高い線を探す。これに該当するのは④である。 残りの4本は、1950年に最も低く(約3%)近年になって急上昇する⑤が韓国、1950年時点ですでに10%前後と高かった①・②がスウェーデンとドイツ、その中間から始まり現在欧州で最も高い水準に達した③がイタリアと読み分ける。

選択肢考察

  1. ×a.  ①

    スウェーデンである。早くから高齢化が進み、1950年時点で約10%、1980年代には約17〜18%と、1980年代まではこの5か国の中で最も高い水準であった。しかしその後の上昇は緩やかで、1990年代以降ほぼ横ばいに近く、推計でも2050年に25%程度にとどまる。手厚い家族政策などで出生率が比較的保たれ、移民の受け入れも多いことが、高齢化の進行を緩やかにしていると考えられる。

  2. ×b.  ②

    ドイツである。1950年時点で約10%とスウェーデンと同程度に高く、その後も緩やかに上昇して現在は20%台前半、2050年には約30%と推計される。欧州の中では高齢化率の高い国であるが、上昇の速度は日本ほど急ではない。

  3. ×c.  ③

    イタリアである。1950年の約8%から一貫して上昇し、2000年代に入ってスウェーデンやドイツを上回り、現在は欧州で最も高い20%台半ばの水準にある。低出生率が続いているため今後も上昇し、2050年には35%前後に達すると推計されるが、現時点では日本より低い。

  4. ○d.  ④

    日本である。1950年には約5%と欧州諸国より低かったが、1970年代以降急速に上昇し、1990年代に傾きがさらに大きくなって、2005年前後に欧州諸国を抜いて世界最高水準となった。実績値の最終時点(2020年代前半)で約30%と、5か国の中で最も高い。推計でも上昇が続き、2050年には約37〜38%に達する。低い位置から急上昇して欧州を追い越し、現在トップにあるという形が日本の特徴である。

  5. ×e.  ⑤

    韓国である。1950年時点では約3%と5か国中最も低く、2000年ごろまでは10%未満であった。しかし2000年に7%、2018年に14%を超え、2020年代半ばに20%に達するなど、近年の上昇速度は日本をも上回る。合計特殊出生率が1を下回る極端な少子化が背景にあり、推計では2050年ごろに日本と並ぶかそれを上回る約38%に達するとされる。

高齢化の段階を示す用語

・高齢化社会:高齢化率7%超 ・高齢社会:14%超 ・超高齢社会:21%超(定義として一般に用いられる区分)

倍加年数(高齢化率が7%から14%になるまでの年数)

・フランス:約115年、スウェーデン:約85年、ドイツ:約40年、イギリス:約46年 ・日本:24年(1970年→1994年) ・韓国:18年(2000年→2018年) 東アジア諸国は、日本を上回る速さで高齢化が進んでおり、韓国のほか、シンガポールや台湾なども今後数十年のうちに日本の高齢化率に近づく、あるいは上回ると見込まれている。

日本の高齢化の背景

・平均寿命の延伸(死亡率の低下) ・出生率の低下(合計特殊出生率は人口置換水準の約2.07を長く下回る) ・第一次ベビーブーム世代(団塊の世代)が2025年に全員75歳以上となり、今後は後期高齢者の割合が増す。 ・2040年代前半には、第二次ベビーブーム世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎えると推計されている。

POINT

・日本の高齢化率は現在約29%で世界最高水準。 ・日本は1950年代には欧州より低かったが、急速に上昇し2000年代半ばに欧州を逆転した(倍加年数24年)。 ・7%(1970年)→14%(1994年)→21%(2007年)の年次を押さえる。 ・韓国は出発点が最も低いが近年の上昇が最も急で、2050年ごろ日本と並ぶか上回ると推計される。 ・欧州の中ではイタリアが最も高く、スウェーデンは早くから高いが上昇は緩やか。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。