低く始まり、急上昇して首位へ―高齢化率のグラフで日本を見抜く
第119回医師国家試験 C問題 第2問
国試問題にチャレンジ
日本,韓国,イタリア,スウェーデン,ドイツの老年人口の割合の推移を下に示す。 日本はどれか。

- a.①
- b.②
- c.③
- d.④
- e.⑤
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
老年人口の割合(高齢化率)は総人口に占める65歳以上人口の割合で、日本は現在約29%と世界最高水準にあります。ただし1950年ごろは約5%と欧州諸国より低く、1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えるという急速な上昇(倍加年数24年)を経て、2000年代半ばに欧州を追い越しました。グラフでは「低い位置から急上昇して現在最も高い線」が日本であり、最も低い位置から近年急上昇している線は韓国(倍加年数18年)、早くから高いが上昇が緩やかな線はスウェーデンやドイツ、欧州で現在最も高いのはイタリアと読み分けます。高齢化の速度と背景を理解しておくことは、後期高齢者の増加や多疾患併存など、今後の医療需要を見通すうえでの基礎となります。
解答・解説
正解はdです
老年人口の割合(高齢化率)とは、総人口に占める65歳以上人口の割合である。グラフは1950年から2050年までの推移(2020年代前半までが実績値、それ以降が推計値)を5か国で比較している。
日本の推移の特徴
・1950年ごろは約5%と、欧州諸国(約8〜10%)より明らかに低かった。 ・高度経済成長期以降、平均寿命の延伸と出生率の低下により急上昇し、7%(高齢化社会)に達したのが1970年、14%(高齢社会)に達したのが1994年、21%(超高齢社会)を超えたのが2007年である。7%から14%までわずか24年という、欧米諸国に例のない速さであった。 ・2000年代半ばに欧州諸国を追い抜いて世界最高水準となり、現在は約29%である。推計では2040年代に35%を超える。
グラフでの当てはめ
1950年に約5%と低い位置から始まり、1990年代に急角度で上昇して2005年前後に欧州の3本の線を追い越し、実績値の終わり(2020年代前半)の時点で約30%と5本の中で最も高い線を探す。これに該当するのは④である。 残りの4本は、1950年に最も低く(約3%)近年になって急上昇する⑤が韓国、1950年時点ですでに10%前後と高かった①・②がスウェーデンとドイツ、その中間から始まり現在欧州で最も高い水準に達した③がイタリアと読み分ける。
選択肢考察
- ×a. ①
スウェーデンである。早くから高齢化が進み、1950年時点で約10%、1980年代には約17〜18%と、1980年代まではこの5か国の中で最も高い水準であった。しかしその後の上昇は緩やかで、1990年代以降ほぼ横ばいに近く、推計でも2050年に25%程度にとどまる。手厚い家族政策などで出生率が比較的保たれ、移民の受け入れも多いことが、高齢化の進行を緩やかにしていると考えられる。
- ×b. ②
ドイツである。1950年時点で約10%とスウェーデンと同程度に高く、その後も緩やかに上昇して現在は20%台前半、2050年には約30%と推計される。欧州の中では高齢化率の高い国であるが、上昇の速度は日本ほど急ではない。
- ×c. ③
イタリアである。1950年の約8%から一貫して上昇し、2000年代に入ってスウェーデンやドイツを上回り、現在は欧州で最も高い20%台半ばの水準にある。低出生率が続いているため今後も上昇し、2050年には35%前後に達すると推計されるが、現時点では日本より低い。
- ○d. ④
日本である。1950年には約5%と欧州諸国より低かったが、1970年代以降急速に上昇し、1990年代に傾きがさらに大きくなって、2005年前後に欧州諸国を抜いて世界最高水準となった。実績値の最終時点(2020年代前半)で約30%と、5か国の中で最も高い。推計でも上昇が続き、2050年には約37〜38%に達する。低い位置から急上昇して欧州を追い越し、現在トップにあるという形が日本の特徴である。
- ×e. ⑤
韓国である。1950年時点では約3%と5か国中最も低く、2000年ごろまでは10%未満であった。しかし2000年に7%、2018年に14%を超え、2020年代半ばに20%に達するなど、近年の上昇速度は日本をも上回る。合計特殊出生率が1を下回る極端な少子化が背景にあり、推計では2050年ごろに日本と並ぶかそれを上回る約38%に達するとされる。
高齢化の段階を示す用語
・高齢化社会:高齢化率7%超 ・高齢社会:14%超 ・超高齢社会:21%超(定義として一般に用いられる区分)
倍加年数(高齢化率が7%から14%になるまでの年数)
・フランス:約115年、スウェーデン:約85年、ドイツ:約40年、イギリス:約46年 ・日本:24年(1970年→1994年) ・韓国:18年(2000年→2018年) 東アジア諸国は、日本を上回る速さで高齢化が進んでおり、韓国のほか、シンガポールや台湾なども今後数十年のうちに日本の高齢化率に近づく、あるいは上回ると見込まれている。
日本の高齢化の背景
・平均寿命の延伸(死亡率の低下) ・出生率の低下(合計特殊出生率は人口置換水準の約2.07を長く下回る) ・第一次ベビーブーム世代(団塊の世代)が2025年に全員75歳以上となり、今後は後期高齢者の割合が増す。 ・2040年代前半には、第二次ベビーブーム世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎えると推計されている。
POINT
・日本の高齢化率は現在約29%で世界最高水準。 ・日本は1950年代には欧州より低かったが、急速に上昇し2000年代半ばに欧州を逆転した(倍加年数24年)。 ・7%(1970年)→14%(1994年)→21%(2007年)の年次を押さえる。 ・韓国は出発点が最も低いが近年の上昇が最も急で、2050年ごろ日本と並ぶか上回ると推計される。 ・欧州の中ではイタリアが最も高く、スウェーデンは早くから高いが上昇は緩やか。
