StudyMed医師国家試験

「4・5・1」で覚える後期高齢者医療の財布―税と現役世代が支える仕組み

第118回医師国家試験 F問題 第27問

国試問題にチャレンジ

第118回 F問題 第27問

後期高齢者医療費の財源負担は,患者負担を除き,現役世代の支援金が約①割,公費負担が約②割,保険料が約③割である。  ①②③の組合せで正しいのはどれか。

  1. a.①2  ②5  ③3
  2. b.①4  ②3  ③3
  3. c.①4  ②5  ③1
  4. d.①5  ②2  ③3
  5. e.①5  ②4  ③1

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は医療保険制度の中でも、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度の財源構成を問う問題だ。窓口負担を除いた給付費を「税(公費)」「現役世代」「高齢者本人」の三者がどんな割合で分け合っているか、がポイントになる。まず直感でいいから、どこが一番大きいと思う?
医学生医学生
高齢者の医療なので、本人の保険料が一番大きいのかなと思いましたが、違いますか。
ドクタードクター
そう考える人は意外と多いんだ。でも75歳以上は医療費が大きくかかる一方で、年金生活の人が多く所得は限られる。本人の保険料だけで賄おうとすると、とても払いきれない額になってしまうんだよ。
医学生医学生
社会医学の講義で「世代間の支え合い」という言葉を聞きました。それと関係がありますか。
ドクタードクター
まさにそれ。答えは、公費が約5割、現役世代からの支援金が約4割、後期高齢者本人の保険料が約1割。つまり支援金4、公費5、保険料1の組合せが正解だ。
医学生医学生
本人の保険料はたった1割なんですね。思っていたよりずっと少ないです。
ドクタードクター
給付費の半分を税で賄い、残りの大部分を現役世代が支える構造なんだ。ほかの組合せも見ておこう。公費5割は合っていても、支援金2割・保険料3割とするものは、本人負担を過大に見積もっている。支援金4割は合っていても公費3割・保険料3割とするものは、税の比重を小さく見すぎている。
医学生医学生
支援金5割・公費4割・保険料1割というのは、かなり紛らわしかったです。
ドクタードクター
そこが一番の引っかけだね。保険料1割は合っているけれど、公費と支援金が入れ替わっている。「一番大きいのは税」と押さえておけば迷わない。ちなみに公費5割の内訳は、国:都道府県:市町村=4:1:1だ。
医学生医学生
現役世代の支援金というのは、誰がどうやって払っているんですか。親も会社員ですが、意識したことがありません。
ドクタードクター
協会けんぽや健康保険組合、共済組合、国民健康保険といった75歳未満の人が入る医療保険の保険者が、加入者から集めた保険料の中から「後期高齢者支援金」として拠出しているんだ。給与明細に項目として出てくるわけではないけれど、現役世代が払う健康保険料の一部が高齢者医療に回っているということだね。
医学生医学生
なるほど。では、この制度を運営しているのは国ですか。
ドクタードクター
運営主体は都道府県ごとに全市町村が加入してつくる後期高齢者医療広域連合だよ。保険料の徴収や窓口業務は市町村が担う。対象は75歳以上の全員と、65〜74歳で一定の障害があると認定された人だ。2008年に老人保健制度に代わって創設された制度で、根拠法は高齢者の医療の確保に関する法律だね。
医学生医学生
窓口負担は1割と聞いたことがあります。
ドクタードクター
原則1割で、一定以上の所得がある人は2022年10月から2割、現役並み所得者は3割だ。細かい話だけれど、現役並み所得者の給付費には公費が入らないので、制度全体でみると公費の割合は5割をやや下回る。問題文に「約」とついているのはそのためでもあるんだ。
医学生医学生
65〜74歳の前期高齢者も、別の独立した制度なんですか。
ドクタードクター
前期高齢者は独立した制度ではなく、国保や被用者保険に加入したまま給付を受ける。国保に前期高齢者が偏ることによる不均衡は、保険者間の財政調整で是正しているんだ。
医学生医学生
臨床実習の外来で、患者さんの負担割合が人によって違うのを見て不思議に思っていました。
ドクタードクター
制度の仕組みを知っておくと、そうした違いの理由がわかるし、患者さんから医療費の相談を受けたときにも落ち着いて対応できる。「税5・現役4・本人1」と覚えておこう。

まとめ

後期高齢者医療制度の給付費(窓口負担を除く)は、公費が約5割、現役世代からの後期高齢者支援金が約4割、後期高齢者本人の保険料が約1割で賄われており、支援金4・公費5・保険料1の組合せが正解です。公費の内訳は国:都道府県:市町村=4:1:1で、支援金は協会けんぽ・健保組合・共済・国保など75歳未満が加入する保険者が拠出します。運営主体は都道府県単位の後期高齢者医療広域連合で、対象は75歳以上(一定の障害がある65歳以上を含む)、窓口負担は原則1割・一定以上所得2割・現役並み所得3割です。最大の財源は税であり本人負担は1割程度という構造を押さえることで、超高齢社会における世代間の支え合いと医療保険制度全体の理解につながります。

解答・解説

正解はcです

問われていること

後期高齢者医療制度の財源構成(患者の窓口負担を除いた給付費を、誰がどの割合で負担しているか)を知っているかが問われている。

財源構成

後期高齢者医療制度の給付費は、おおむね次の3つで賄われている。 ・公費(税金): 約5割。国・都道府県・市町村が4:1:1の割合で負担する。 ・現役世代からの支援金(後期高齢者支援金): 約4割。協会けんぽ・健康保険組合・共済組合・国民健康保険など、75歳未満の人が加入する医療保険の保険者が、加入者の保険料の中から拠出する。 ・後期高齢者本人の保険料: 約1割。

考え方

75歳以上の高齢者は医療費が多くかかる一方で所得は少ないため、高齢者自身の保険料だけでは制度を維持できない。そこで給付費の半分を税で、残りの大部分を現役世代の保険料で支え、高齢者本人も応分(約1割)を負担する仕組みになっている。したがって①4、②5、③1の組合せが正しい。

選択肢考察

  1. ×a.  ①2  ②5  ③3

    公費約5割は正しいが、現役世代の支援金を約2割、保険料を約3割としている点が誤りである。実際には現役世代の支援金が約4割と大きく、高齢者本人の保険料は約1割にとどまる。

  2. ×b.  ①4  ②3  ③3

    支援金約4割は正しいが、公費を約3割、保険料を約3割としている点が誤りである。公費は給付費の約5割を占め、本人の保険料は約1割である。

  3. ○c.  ①4  ②5  ③1

    現役世代の支援金が約4割、公費が約5割、後期高齢者の保険料が約1割という実際の財源構成と一致する。公費5割の内訳は国:都道府県:市町村=4:1:1であり、支援金は75歳未満の加入者を抱える各医療保険者が拠出している。

  4. ×d.  ①5  ②2  ③3

    支援金を約5割、公費を約2割、保険料を約3割としており、いずれの数値も誤りである。最も大きな財源は公費(約5割)であり、本人保険料は約1割である。

  5. ×e.  ①5  ②4  ③1

    保険料約1割は正しいが、支援金と公費の割合が逆になっている。公費が約5割、現役世代の支援金が約4割である。

後期高齢者医療制度の概要

・創設: 2008年。それまでの老人保健制度に代わって発足した。老人保健制度では高齢者が国民健康保険などに加入したまま給付を受けていたため、高齢者と現役世代の負担関係が不明確であった。新制度は独立した医療保険とし、世代間・世代内の負担の公平化と財政の安定化を図った。根拠法は「高齢者の医療の確保に関する法律」である。 ・運営主体(保険者): 都道府県ごとに全市町村が加入して設置する後期高齢者医療広域連合。保険料の徴収や窓口業務は市町村が担う。 ・対象者(被保険者): 75歳以上の全員と、65〜74歳で一定の障害があると広域連合の認定を受けた者。 ・保険料: 被保険者一人ひとりが負担し、多くは年金からの天引き(特別徴収)で納める。均等割と所得割からなり、広域連合ごとに設定される。 ・窓口負担: 原則1割。一定以上の所得がある者は2割(2022年10月から)、現役並み所得者は3割。なお現役並み所得者の給付費には公費が投入されないため、制度全体でみた公費の割合は5割をやや下回る。

参考: 65〜74歳の前期高齢者

前期高齢者は独立した制度ではなく、国民健康保険や被用者保険に加入したまま給付を受ける。前期高齢者の偏在による保険者間の負担の不均衡は、保険者間の財政調整(前期高齢者納付金・交付金)で是正されている。

POINT

・後期高齢者医療の財源: 公費約5割(国:都道府県:市町村=4:1:1)、現役世代の支援金約4割、高齢者の保険料約1割。 ・運営主体は都道府県単位の後期高齢者医療広域連合。 ・対象は75歳以上(一定の障害がある65歳以上を含む)。 ・窓口負担は原則1割、一定以上所得2割、現役並み所得3割。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。