StudyMed医師国家試験

卵1個で「1単位」―食品交換表で読み解く身近な食品のカロリー感覚

第118回医師国家試験 C問題 第28問

国試問題にチャレンジ

第118回 C問題 第28問

摂取カロリーが約80kcalなのはどれか。

  1. a.鶏卵1個(約50g)
  2. b.木綿豆腐1丁(約300g)
  3. c.食パン6枚切り1枚(約60g)
  4. d.米飯(炊飯後)茶碗1杯(約160g)
  5. e.ビール中ジョッキ1杯(約570mL)

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、身近な食品1回分のエネルギー量を問う問題だ。一見すると栄養学の雑学に思えるかもしれないけれど、糖尿病や肥満症の食事指導では欠かせない知識なんだ。「約80kcal」という数字に、ピンとくるものはあるかな。
医学生医学生
80kcalといえば、糖尿病の食品交換表の「1単位」ですよね。代謝内分泌の講義で出てきました。
ドクタードクター
その通り。日本糖尿病学会の食品交換表では80kcalを1単位と定義して、食品ごとに1単位にあたる重さを示している。だからこの問題は「1単位に相当するのはどれか」と読み替えればいいんだ。では、それぞれ何単位くらいになると思う?
医学生医学生
ご飯茶碗1杯は軽そうに見えるので、80kcalくらいかなと思ったんですが……。
ドクタードクター
そこはよくある誤解だね。ご飯は50gで1単位。茶碗1杯はおよそ150〜160gだから、約3単位、つまり240〜250kcal前後になる。炊いたご飯は100gあたり約160kcalあると覚えておくといい。
医学生医学生
思っていたよりずっと多いです。食パンも主食なので同じくらいでしょうか。
ドクタードクター
食パンは30gで1単位。6枚切り1枚は約60gだから2単位、だいたい150〜160kcalになる。80kcalに近いのは6枚切りの半分か、12枚切り1枚くらいだね。
医学生医学生
豆腐はヘルシーなイメージがあるので、1丁でも80kcalくらいかと思いました。
ドクタードクター
イメージに引っ張られやすいところだね。木綿豆腐は100gで1単位。1丁はおよそ300gだから約3単位で、200kcalを超える。1単位にあたるのは1/3丁くらいだ。「ヘルシーな食品でも量が多ければエネルギーも多い」というのは、患者さんへの説明でも大切なポイントなんだ。
医学生医学生
ビールは飲み物なので、カロリーはあまり気にしていませんでした。
ドクタードクター
実はビール中ジョッキ1杯は約230kcalで、ご飯茶碗1杯に近いエネルギー量がある。エネルギーの主体はアルコールと糖質で、アルコールは1gあたり約7kcal。飲み物だからと油断しがちなので、生活指導では必ず確認したいところだ。
医学生医学生
となると、残る鶏卵1個が正解ですね。
ドクタードクター
正解。鶏卵1個、約50gが食品交換表でちょうど1単位にあたる。成分表の値で計算すると約70kcalで、選択肢の中で80kcalに最も近い。卵1個にはたんぱく質が約6g、脂質が約5g含まれていて、交換表ではたんぱく質を主に含む食品の表に分類されるんだ。
医学生医学生
1単位の重ささえ覚えておけば、計算しなくても判断できますね。
ドクタードクター
その通り。ここで、エネルギー換算の基本も確認しておこう。1gあたり炭水化物とたんぱく質は4kcal、脂質は9kcal、アルコールは約7kcal。これがAtwaterの係数だ。
医学生医学生
生化学で習いました。脂質が一番エネルギー密度が高いので、油は少量でも単位数が大きくなるんですね。
ドクタードクター
そう、油は10gで1単位、大さじ1杯弱で80kcalになる。食品交換表は、ご飯やパンなど炭水化物の多い食品、果物、魚・肉・卵・大豆製品、牛乳・乳製品、油脂、野菜という6つの表に分かれていて、同じ表の中なら同じ単位数で交換できる仕組みなんだ。たとえば1日1,600kcalの指示なら20単位になり、それを各表に配分して献立を組み立てる。
医学生医学生
臨床実習で糖尿病内科を回ったとき、管理栄養士さんが患者さんに「ご飯を1単位減らしましょう」と説明していました。単位で話すと患者さんにも伝わりやすいんですね。
ドクタードクター
いいところを見ているね。臨床では、患者さんの普段の食事内容を聞いて、おおよその摂取エネルギーを頭の中で見積もれることが大切だ。「間食はしていない」と言っていても、毎晩ビールを2杯飲んでいれば、それだけでご飯2杯分に近いエネルギーになる。食品ごとの目安を体感として持っておくと、栄養指導の説得力がぐっと増すよ。

まとめ

糖尿病の食品交換表では80kcalを1単位とし、鶏卵1個(約50g)がちょうど1単位に相当します。ご飯は50g、食パンは30g、木綿豆腐は100gで1単位なので、ご飯茶碗1杯と木綿豆腐1丁は約3単位、食パン6枚切り1枚は2単位となり、ビール中ジョッキ1杯もご飯茶碗1杯に近い約230kcalあります。エネルギー換算係数は1gあたり炭水化物・たんぱく質4kcal、脂質9kcal、アルコール約7kcalで、脂質や飲酒のエネルギーは過小評価されがちです。身近な食品のエネルギー量を単位で把握しておくことは、糖尿病や肥満症の食事療法で患者の摂取量を見積もり、具体的な指導につなげるための基礎となります。

解答・解説

正解はaです

日常的な食品1回分のおおよそのエネルギー量を知っているかを問う問題である。糖尿病や肥満症の食事療法で用いられる「糖尿病食事療法のための食品交換表」では、80kcalを「1単位」と定義し、各食品について1単位に相当する重量を示している。したがって「約80kcal」を問う本問は、「1単位に相当するのはどれか」と読み替えることができる。 主な1単位の目安は、ご飯50g、食パン30g、鶏卵1個(約50g)、木綿豆腐100g(約1/3丁)である。これを覚えていれば、鶏卵1個がちょうど1単位(約80kcal)であり、他の選択肢はいずれも2〜3単位(約150〜250kcal)に相当することがすぐにわかる。 また、エネルギー産生栄養素の1gあたりのエネルギー量(Atwaterの係数)は、炭水化物4kcal、たんぱく質4kcal、脂質9kcalであり、アルコールは約7kcalである。食品成分表の値(日本食品標準成分表)から計算しても、鶏卵50gは約70kcalで、選択肢の中で80kcalに最も近い。

選択肢考察

  1. ○a.  鶏卵1個(約50g)

    鶏卵(全卵・生)は100gあたり約140kcalで、1個(可食部約50g)では約70kcalとなる。食品交換表では鶏卵1個(50g)が表3(たんぱく質を主に含む食品)の1単位(80kcal)に相当し、選択肢中で約80kcalに該当するのはこれのみである。卵1個にはたんぱく質約6g、脂質約5gが含まれる。

  2. ×b.  木綿豆腐1丁(約300g)

    木綿豆腐は100gあたり約70〜80kcalで、1丁(約300g)では約220kcal前後となる。食品交換表では木綿豆腐100gが1単位であり、1丁は約3単位(約240kcal)に相当する。80kcalに相当するのは1/3丁程度である。

  3. ×c.  食パン6枚切り1枚(約60g)

    食パンは100gあたり約250kcalで、6枚切り1枚(約60g)では約150〜160kcalとなる。食品交換表では食パン30gが1単位であり、6枚切り1枚は2単位(約160kcal)に相当する。80kcalは12枚切り1枚程度、あるいは6枚切りの半分である。

  4. ×d.  米飯(炊飯後)茶碗1杯(約160g)

    炊いた白米(精白米ご飯)は100gあたり約160kcalで、茶碗1杯(約160g)では約250kcalとなる。食品交換表ではご飯50gが1単位であり、茶碗1杯(150〜160g)は約3単位(約240kcal)に相当する。

  5. ×e.  ビール中ジョッキ1杯(約570mL)

    ビール(淡色)は100gあたり約40kcalで、中ジョッキ1杯(約570mL、比重約1.0として約570〜580g)では約230kcalとなり、約3単位に相当する。ビールのエネルギーの主体はアルコール(約7kcal/g)と糖質であり、飲料であっても米飯茶碗1杯に近いエネルギー量をもつ点は、肥満症や糖尿病の生活指導で重要である。

食品交換表の考え方

「糖尿病食事療法のための食品交換表」(日本糖尿病学会)では、食品を主に含まれる栄養素によって表1〜表6と調味料に分類し、80kcalを1単位として、同じ表の中なら同じ単位数で食品を交換できるようにしている。 ・表1(穀物、いも、豆など炭水化物を多く含む食品): ご飯50g、食パン30g、ゆでうどん約80g ・表2(果物): りんご約150g、バナナ約100g ・表3(魚介、肉、卵、チーズ、大豆製品): 鶏卵1個50g、木綿豆腐100g、納豆40g ・表4(牛乳・乳製品): 普通牛乳120mL ・表5(油脂など): 油10g(大さじ1杯弱) ・表6(野菜、海藻、きのこ): 野菜約300g 例えば1日1,600kcalの指示であれば20単位となり、これを各表に配分して献立を作る。

エネルギー換算係数(Atwaterの係数)

・炭水化物: 4kcal/g ・たんぱく質: 4kcal/g ・脂質: 9kcal/g ・アルコール: 約7kcal/g

身近な食品のエネルギー量の目安

・ご飯茶碗1杯(150〜160g): 約240〜250kcal ・食パン6枚切り1枚: 約150kcal ・鶏卵1個: 約70〜80kcal ・牛乳コップ1杯(200mL): 約130kcal ・ビール中ジョッキ1杯: 約230kcal、日本酒1合(180mL): 約190kcal 患者の食事内容からおおよその摂取エネルギーを見積もり、性・年齢・身体活動量に応じた必要量と比較する習慣をつけておくと、栄養指導の実際に役立つ。

POINT

・食品交換表では80kcal=1単位 ・鶏卵1個(50g)=1単位(約80kcal) ・ご飯50g、食パン30g、木綿豆腐100gがそれぞれ1単位 ・ご飯茶碗1杯、木綿豆腐1丁、ビール中ジョッキ1杯はいずれも約3単位(約220〜250kcal)、食パン6枚切り1枚は2単位 ・1gあたり: 炭水化物・たんぱく質4kcal、脂質9kcal、アルコール約7kcal

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。