誰のお金で支えるのか―「公助」と「共助」を財源で見分ける
第117回医師国家試験 C問題 第34問
国試問題にチャレンジ
公助によるものはどれか。
- a.医療保険制度
- b.介護保険制度
- c.雇用保険制度
- d.生活保護制度
- e.特定健康診査
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
社会保障は、誰がどのような費用負担で支えるかによって自助・互助・共助・公助の4つに整理されます。医療保険・介護保険・雇用保険は加入者の保険料を主な財源とする社会保険であり共助、特定健康診査も医療保険者の事業であるため公助には当たりません。生活保護は保険料の拠出を要件とせず、全額税財源(国3/4、地方1/4)で最低限度の生活を保障する制度で、公助の代表例です。生活保護は保護の補足性の原理に基づく「最後のセーフティネット」であり、医療扶助・介護扶助は原則現物給付となります。「保険料なら共助、税なら公助」という軸を持つことは、地域包括ケアや退院支援で患者さんを適切な制度につなぐうえでも役立ちます。
解答・解説
正解はdです
社会保障や地域包括ケアシステムを考えるうえで、生活上の困りごとを誰がどのような費用負担で支えるかという観点から、「自助・互助・共助・公助」の4つに分ける考え方がある。 ・自助:自分の力や自分のお金で対応すること(自身の健康管理、市場サービスの購入など)。 ・互助:家族・近隣・ボランティアなどによる、制度に基づかない自発的な支え合い。 ・共助:社会保険のように、同じリスクを抱える加入者が保険料を出し合って支え合う、制度化された相互扶助。 ・公助:自助・互助・共助では対応しきれない困窮などに対し、税を財源として国や地方公共団体が行う支援。 本問では、各制度の財源と仕組みに着目する。医療保険・介護保険・雇用保険はいずれも加入者の保険料を主な財源とする社会保険であり共助に分類される。これに対し、生活保護は保険料の拠出を前提とせず、税財源で最低限度の生活を保障する制度であり、公助の代表例である。
選択肢考察
- ×a. 医療保険制度
医療保険(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度など)は、加入者が保険料を負担し、病気やけがの際の医療費を互いに支え合う社会保険であり、共助に分類される。公費(税)も一部投入されているが、制度の基本は保険料の拠出による相互扶助である。
- ×b. 介護保険制度
介護保険は40歳以上の被保険者が保険料を納め、要介護・要支援状態になった際に介護サービスを受けられる社会保険であり、共助にあたる。給付費の財源は保険料と公費がおおむね半分ずつだが、保険料を拠出したリスクの共有を基本とする点で共助と整理される。
- ×c. 雇用保険制度
雇用保険は労働者と事業主が保険料を負担し、失業時の給付や育児休業給付などを行う社会保険であり、共助に分類される。
- ○d. 生活保護制度
生活保護は、日本国憲法第25条の生存権の理念に基づき、生活に困窮する人に対して国が最低限度の生活を保障し、自立を助長する制度である。保険料の拠出を要件とせず、全額が税(国3/4、地方1/4)で賄われる。資産・能力の活用や他法・他施策を優先したうえでなお不足する場合に適用される最後のセーフティネットであり、公助の典型である。
- ×e. 特定健康診査
特定健康診査(いわゆるメタボ健診)は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、医療保険者が40〜74歳の加入者を対象に実施する健診である。医療保険者の事業として保険料を主な財源に行われるため、公助ではなく共助の枠組みに位置づけられる。なお、受診して自らの健康管理に生かす行動そのものは自助の側面ももつ。
自助・互助・共助・公助と地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する仕組みである。その実現には、4つの「助」が役割を分担し合うことが重要とされる。 ・自助:自らの健康づくり、介護予防、市場サービスの自費購入 ・互助:近隣の見守り、ボランティア活動、住民組織の活動(費用は制度に裏付けられない) ・共助:医療保険、介護保険、年金保険、雇用保険、労災保険などの社会保険 ・公助:生活保護、一般財源による高齢者福祉事業、人権擁護・虐待対策など
社会保障制度の4本柱との対応
日本の社会保障は、社会保険(共助)、社会福祉、公的扶助(生活保護=公助)、保健医療・公衆衛生から構成される。「保険料を払ってリスクに備える仕組み」は共助、「税で困窮を救済する仕組み」は公助と覚えると整理しやすい。
生活保護の基本原理
国家責任の原理、無差別平等の原理、最低生活保障の原理、保護の補足性の原理の4つがある。扶助は生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭の8種類で、医療扶助と介護扶助は原則として現物給付である。
POINT
・公助=税財源による公的支援。代表は生活保護。 ・共助=保険料を出し合う社会保険(医療・介護・年金・雇用・労災保険)。 ・互助=制度によらない自発的な支え合い、自助=自分自身による対応。 ・特定健康診査は医療保険者が行う事業であり、公助ではない。
