蓄尿の計算は「単位をそろえる」だけ―mg/dLとmL/日から1日尿蛋白量を出す
第116回医師国家試験 B問題 第50問
国試問題にチャレンジ
慢性腎臓病患者に24時間蓄尿検査を行った。尿量2,500mL/日,尿蛋白82mg/dL,尿クレアチニン40mg/dLであった。 1日尿蛋白量(g/日)を求めよ。 ただし,小数第2位以下の数値が得られた場合には,小数第2位を四捨五入すること。 解答:① . ② g/日
対話形式の解説
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医学生まとめ
24時間蓄尿の1日尿蛋白量は「尿蛋白濃度×1日尿量」で求められますが、濃度がmg/dL、尿量がmL/日で与えられることが多いため、尿量をdLに換算(÷100)してから掛けることが要点です。本問では82mg/dL×25dL=2,050mg=2.05gとなり、指示どおり小数第2位を四捨五入して2.1g/日が答えです。同時に与えられた尿クレアチニンからは1日排泄量が1.0gと計算でき、尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)が1日尿蛋白量の推定値になるという随時尿評価の原理を確認できます。この値はCKDの蛋白尿区分でA3に相当し、腎・心血管予後不良を示すため、RAS阻害薬やSGLT2阻害薬による蛋白尿の減少が重要になります。単位換算の確実さと、得られた数値を臨床的に解釈する力は、腎臓診療のあらゆる場面で役立ちます。
解答・解説
正解は2.1 g/日です
考え方
24時間蓄尿では、1日に出た尿をすべて集めているので、「尿中の蛋白濃度 × 1日尿量」がそのまま1日に排泄された蛋白の総量になる。ポイントは単位をそろえることである。濃度はmg/dL(1dLあたりのmg)、尿量はmL/日で与えられているので、尿量をdLに換算してから掛け算する。
計算過程
① 尿量の単位換算:1dL=100mLなので、2,500mL/日 ÷ 100 = 25dL/日 ② 1日尿蛋白量:82mg/dL × 25dL/日 = 2,050mg/日 ③ g/日へ換算:2,050mg ÷ 1,000 = 2.05g/日 ④ 小数第2位を四捨五入:2.05 → 2.1g/日 よって解答は ①2 ②1(2.1g/日)である。
尿クレアチニンの値の意味(検算)
本問では尿クレアチニン40mg/dLも与えられているが、蓄尿で1日量を求めるだけなら使わなくてよい。ただし、これを使うと結果を確かめることができる。 ・1日尿クレアチニン排泄量:40mg/dL × 25dL/日 = 1,000mg/日 = 1.0g/日 ・尿蛋白/クレアチニン比:82 ÷ 40 = 2.05(g/gCr) クレアチニンの1日排泄量がちょうど1.0gなので、尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)と実測の1日尿蛋白量(g/日)が同じ2.05になる。蓄尿が正しく行われていることの目安にもなり、随時尿から1日尿蛋白量を推定する方法の原理を確認できる設定になっている。
尿蛋白の定量法
・24時間蓄尿:1日分の尿を全量集めて濃度×尿量で求める。最も直接的な方法だが、外来患者では採尿漏れ・手間の問題があり、正確な蓄尿は難しいことが多い。 ・随時尿の尿蛋白/クレアチニン比(UPCR):尿中蛋白濃度(mg/dL)を尿中クレアチニン濃度(mg/dL)で割った値(g/gCr)。尿の濃さは飲水や発汗などで大きく変わるが、クレアチニンは筋肉で産生され、1日の産生量・排泄量がほぼ一定である。そのため、同じ尿中のクレアチニン濃度で割ることで濃縮・希釈の影響を打ち消せる。成人の1日クレアチニン排泄量をおよそ1gと見なせば、UPCR(g/gCr)≒1日尿蛋白量(g/日)として扱える。 ・注意点:クレアチニン排泄量は筋肉量に依存する。筋肉量の多い若年男性では1gより多く、高齢者・痩せた人・女性では少ないため、UPCRは前者で過小評価、後者で過大評価になりうる。 ・アルブミン尿:糖尿病性腎症の早期診断などでは尿アルブミン/クレアチニン比(UACR、mg/gCr)を用いる。
慢性腎臓病(CKD)と蛋白尿
CKDは、腎障害(特に0.15g/gCr以上の蛋白尿)またはGFR 60mL/分/1.73m²未満のいずれか、または両方が3か月以上持続する状態と定義される。重症度は原疾患(Cause)、GFR区分(G1〜G5)、蛋白尿区分(A1〜A3)のCGA分類で評価する。糖尿病以外では尿蛋白/クレアチニン比0.15g/gCr未満がA1(正常)、0.15〜0.49がA2(軽度蛋白尿)、0.50以上がA3(高度蛋白尿)である。本問の2.05g/日はA3に相当し、腎予後・心血管予後が悪い群に入る。蛋白尿そのものが腎障害を進行させるため、レニン・アンジオテンシン系阻害薬やSGLT2阻害薬による蛋白尿減少が治療目標の一つとなる。
関連事項
1日尿蛋白量3.5g以上はネフローゼ症候群の診断基準の必須項目の一つである(低アルブミン血症3.0g/dL以下とあわせて診断)。
POINT
・24時間蓄尿の1日尿蛋白量=尿蛋白濃度(mg/dL)×尿量(dL/日)。mL→dLの換算(÷100)を忘れない。 ・本問:82mg/dL × 25dL = 2,050mg = 2.05g → 2.1g/日。 ・随時尿では尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)で1日尿蛋白量を推定する(クレアチニン排泄量を約1g/日と見なす)。 ・CKDの蛋白尿区分(非糖尿病):0.15g/gCr未満 A1、0.15〜0.49 A2、0.50以上 A3。
