「とりあえず診てください」はNG―相手が動けるコンサルテーションの作法
第115回医師国家試験 B問題 第11問
国試問題にチャレンジ
研修医がコンサルテーションを依頼するときの配慮で適切でないのはどれか。
- a.簡潔なコンサルテーションを心掛ける。
- b.相手との良好な関係性を心掛ける。
- c.問題を具体化せず意見を求める。
- d.患者についての情報を集める。
- e.緊急性を考えて行う。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
コンサルテーションとは、担当医が自分だけでは対応が難しい問題について、他科の医師など専門家に助言や協力を依頼することです。よい依頼の要件は、患者情報を事前に収集・整理する、「何に困っていて相手に何をしてほしいか」を具体化する、要点を簡潔に伝える、緊急性に応じて方法とタイミングを選ぶ、相手との良好な関係を保つ、の5点に整理でき、問題を具体化しないまま意見を求めるのは不適切です。伝達の型としてはSBAR(状況・背景・評価・提案)が有用で、抜け漏れや誤解を減らせます。研修医は指導医と相談したうえで依頼し、依頼後も主治医としての責任は自分たちにあることを意識する必要があります。こうした作法は、チーム医療の中で患者に最善の診療を届けるための基本的な臨床能力です。
解答・解説
正解はcです
テーマ
コンサルテーションとは、担当医が自分だけでは判断や対応が難しい問題について、他の診療科の医師などの専門家に意見や診療への協力を依頼することである。本問では、研修医がコンサルテーションを依頼するときの適切な姿勢を問うており、「適切でないもの」を選ぶ。
考え方
よいコンサルテーションの要件は次のように整理できる。 (1) 準備: 依頼前に病歴・身体所見・検査結果など患者の情報を集め、整理しておく。 (2) 目的の明確化: 「何に困っていて、相手に何をしてほしいのか」(診断の助言、治療方針、手技の実施、転科の相談など)を具体的にする。 (3) 伝え方: 要点を簡潔に伝え、相手から詳しい情報を求められたら答えられるようにしておく。SBARなどの型を使うと伝えやすい。 (4) タイミング: 緊急性を判断し、急ぐ場合は電話で直接、急がない場合は依頼票(院内紹介状)など、方法と時間帯を選ぶ。 (5) 関係性: 相手も多忙な中で協力してくれる同僚であることを意識し、礼儀と感謝を忘れず、良好な協力関係を保つ。 選択肢のうち、問題を具体化しないまま意見を求めるのは(2)に反し、相手はどう答えればよいか判断できない。これが適切でない対応である。
選択肢考察
- ×a. 簡潔なコンサルテーションを心掛ける。
適切である。依頼を受ける医師も自分の診療の合間に対応していることが多い。まず依頼の目的と要点を短く伝え、相手がさらに詳しい情報を求めたときに応じられるよう準備しておくのが望ましい。冗長な説明は要点を見えにくくし、相手の時間も奪う。
- ×b. 相手との良好な関係性を心掛ける。
適切である。医療はチームで行うものであり、診療科どうしの信頼関係はコンサルテーションの質と迅速さに直結する。丁寧な依頼、返答への感謝、結果のフィードバックなどを通じて良好な関係を築くことは、最終的に患者の利益につながる。
- ○c. 問題を具体化せず意見を求める。
適切でない。「この患者を一度診てください」のように問題が漠然としたままでは、相手は何を判断すればよいのかわからず、的確な助言ができない。依頼する側は、自分が何に困っているのか(例:「胸部X線で右下肺野に結節影を認め、肺癌の可能性について精査の要否を相談したい」)、そして相手に何を求めるのかを具体化してから依頼すべきである。問題を具体化する過程で自分の臨床推論を整理できるため、研修医の学習にもなる。
- ×d. 患者についての情報を集める。
適切である。病歴、身体所見、検査結果、現在の治療内容などをあらかじめ収集・整理しておけば、相手から質問されてもすぐに答えられ、相手は短時間で判断できる。情報が不十分だと、相手が改めて情報を集め直す手間が生じ、診療が遅れる。
- ×e. 緊急性を考えて行う。
適切である。患者の状態が急変しているなど緊急性が高い場合は、直接電話で連絡し、最初に結論(患者の状態と依頼したいこと)を伝える。緊急性が低い場合は、依頼票を用いて相手の業務の都合に配慮した時間帯に依頼する。緊急性の判断を誤ると、必要な対応が遅れたり、相手の業務を不必要に中断させたりする。
SBAR(エスバー)
医療者間で患者情報を簡潔・確実に伝えるための報告の型である。 ・S(Situation, 状況): 患者に今何が起きているか ・B(Background, 背景): 既往歴、入院の経緯、これまでの経過や治療 ・A(Assessment, 評価): 自分は何が問題だと考えているか ・R(Recommendation, 提案・依頼): 相手に何をしてほしいか(診察、助言、指示など) もともと軍隊などで使われていた伝達法が医療安全の分野で取り入れられたもので、伝達の抜け漏れや誤解を減らすことが期待される。
研修医のコンサルテーションの流れ(例)
1. 自分の所属と名前を名乗る 2. 依頼の目的を最初に一言で伝える(何を相談したいのか) 3. SBARに沿って要点を伝える 4. 相手から求められた情報を補足する 5. 返答内容を確認し、感謝を伝え、カルテに記録する
その他の注意点
・指導医に相談したうえで依頼するのが原則である。 ・コンサルテーション後も患者の主治医としての責任は依頼側にある。助言をどう診療に反映したか、その後の経過を相手に伝えると、よりよい協力関係につながる。
POINT
・コンサルテーションの前に「何に困っていて、相手に何をしてほしいか」を具体化する ・患者情報を収集・整理しておき、要点を簡潔に伝える ・緊急性に応じて依頼の方法・タイミングを選ぶ ・相手との良好な関係を大切にする ・SBAR: Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation(提案・依頼)
