StudyMed医師国家試験

「何日休む?」は病態が教えてくれる―学校保健安全法の出席停止期間を理屈で覚える

第113回医師国家試験 F問題 第40問

国試問題にチャレンジ

第113回 F問題 第40問

中学校における疾患と出席停止期間の基準との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. a.季節性インフルエンザ ―― 発症した後5日かつ解熱後2日経過するまで
  2. b.咽頭結膜炎 ―― 主要症状が消退した後2日を経過するまで
  3. c.百日咳 ―― 特有な咳が消失後3日を経過するまで
  4. d.風疹 ―― 解熱した後3日を経過するまで
  5. e.水痘 ―― すべての発しんが痂皮化した後3日を経過するまで

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は学校保健安全法に基づく出席停止期間の基準がテーマだ。並んでいる5疾患はいずれも第二種感染症。ポイントは、起算点(発症・解熱・症状消退など)と日数が正確に合っているか、そして基準がその病気の「うつる期間」に対応しているか、という視点だよ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で表を丸暗記しようとしたんですが、似た数字ばかりで混乱しました。
ドクタードクター
丸暗記だと混同しやすいよね。まず前提として、学校で予防すべき感染症は第一種から第三種に分けられている。第一種はエボラ出血熱やペストなど「治癒するまで」、第三種は腸管出血性大腸菌感染症や流行性角結膜炎などで「医師が感染のおそれがないと認めるまで」。第二種は飛沫などで学校内に流行しやすいもので、疾患ごとに細かく基準がある。
医学生医学生
出席停止を決めるのは誰でしたっけ。学級閉鎖と同じでしょうか。
ドクタードクター
よく出る論点だね。出席停止は校長、学級閉鎖などの臨時休業は学校の設置者が行う。では個別に見よう。インフルエンザの基準はどうかな。
医学生医学生
発症後5日、かつ解熱後2日ですよね。小児科実習で、保護者に登校許可の説明をしているのを見ました。
ドクタードクター
正解。幼児なら解熱後3日だけど、中学生は2日でいい。抗インフルエンザ薬で早く熱が下がっても、発症後しばらくはウイルス排出が続く。だから発症日と解熱日の両方を起点に条件を課しているんだ。この選択肢は正しい。
医学生医学生
咽頭結膜炎はプール熱のことですよね。アデノウイルスで、発熱・咽頭炎・結膜炎の三主徴でした。
ドクタードクター
そう。法令上の名前は咽頭結膜熱で、基準は「主要症状が消退した後2日を経過するまで」。選択肢の通りだから、これも正しい。次は百日咳だ。
医学生医学生
特有の咳が消えてから3日、というのはそれっぽく見えますが……。
ドクタードクター
ここが引っかけ。百日咳は「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで」で、咳が消えた後に日数を足す規定はない。マクロライド系を5日間使えば排菌はほぼなくなるから、咳が残っていても治療が終われば登校できるんだ。百日咳の咳は長引くから、この「または」が実際には大事なんだよ。
医学生医学生
感染性がなくなれば咳が残っていてもいい、という考え方ですね。風疹の「解熱後3日」はどうでしょう。
ドクタードクター
それは麻疹の基準だ。風疹は「発しんが消失するまで」。麻疹と風疹の取り違えは定番の引っかけだから、セットで覚えておこう。
医学生医学生
水痘は「全部かさぶたになってから3日」ですか?
ドクタードクター
これも日数の上乗せが誤り。水痘は「すべての発しんが痂皮化するまで」。ウイルスは水疱の中身に含まれるから、全部がかさぶたになれば感染性はほぼ消える。病態と結びつければ迷わないよね。
医学生医学生
ということは、正しいのはインフルエンザと咽頭結膜熱の2つですね。日数を足しているかどうか、起算点がずれていないかを見ればいいと。
ドクタードクター
その通り。ほかの第二種感染症も確認しておこう。流行性耳下腺炎は「耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫脹が出てから5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」。新型コロナウイルス感染症は2023年5月から「発症後5日を経過し、かつ症状軽快後1日を経過するまで」。結核と髄膜炎菌性髄膜炎は「医師が感染のおそれがないと認めるまで」だ。
医学生医学生
インフルエンザとコロナは「発症後5日」が共通なんですね。比べて覚えると楽そうです。
ドクタードクター
いい工夫だ。それから、どの第二種感染症にも「病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない」という但し書きがある。実際の外来では、登校許可証や治癒証明を求められることもあるから、基準を正確に説明できると保護者や学校とのやりとりがスムーズになるよ。
医学生医学生
臨床実習の外来で、まさに「いつから学校に行けますか」と聞かれている場面がありました。答えられるようにしておきます。

まとめ

学校保健安全法施行規則は、学校で流行しやすい第二種感染症について疾患ごとに出席停止期間の基準を定めており、その多くは感染性が続く期間に対応しています。インフルエンザは発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)、咽頭結膜熱は主要症状消退後2日で、これらは起算点と日数をセットで覚える必要があります。百日咳は特有の咳の消失まで又は5日間の適正な抗菌薬治療終了まで、風疹は発しん消失まで、水痘は全発しん痂皮化までで、いずれも日数の上乗せはなく、「解熱後3日」は麻疹の基準である点が定番の引っかけです。出席停止は校長、臨時休業は学校の設置者が行い、医師が感染のおそれがないと認めれば例外となります。病態と基準を結びつけて理解しておくことは、試験対策だけでなく、外来で登校時期を適切に説明する実践的な力にもなります。

解答・解説

正解はa, bです

学校で集団感染を防ぐため、学校保健安全法とその施行規則は「学校において予防すべき感染症」を第一種〜第三種に分類し、感染症ごとに出席停止期間の基準を定めている。出席停止は校長が行い、期間の基準は施行規則第19条に規定されている。本問で取り上げられている5疾患はいずれも第二種感染症(飛沫や接触で広がり、学校で流行を起こしやすいもの)である。 第二種感染症の基準は、多くが「その病気が他人にうつる期間(感染性が高い期間)」に合わせて作られている。たとえば水痘は水疱の中にウイルスが含まれるため「すべての発しんが痂皮化するまで」、風疹は「発しんが消失するまで」というように、病態と結びつけて覚えると混同しにくい。また、選択肢の数字(「2日」「3日」など)と起算点(発症・解熱・症状消退など)が正確に一致しているかどうかが正誤の分かれ目となる。 なお、どの感染症でも「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない」という但し書きがある。

選択肢考察

  1. ○a.  季節性インフルエンザ ―― 発症した後5日かつ解熱後2日経過するまで

    正しい。インフルエンザ(特定鳥インフルエンザおよび新型インフルエンザ等感染症を除く)の基準は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」である。抗インフルエンザ薬で早期に解熱しても、発症後しばらくはウイルスの排出が続くため、発症日を起点とする条件と解熱日を起点とする条件の両方を満たす必要がある。中学生は幼児ではないので解熱後2日でよい。

  2. ○b.  咽頭結膜炎 ―― 主要症状が消退した後2日を経過するまで

    正しい。咽頭結膜熱(主にアデノウイルスによる、発熱・咽頭炎・結膜炎を三主徴とする感染症で、プールを介して流行しやすいことから「プール熱」とも呼ばれる)の基準は「主要症状が消退した後2日を経過するまで」である。

  3. ×c.  百日咳 ―― 特有な咳が消失後3日を経過するまで

    誤り。百日咳の基準は「特有の咳が消失するまで、又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで」である。咳の消失後に日数を加える規定はない。百日咳菌はマクロライド系抗菌薬を5日間使用すると排菌がほぼなくなるため、咳が残っていても治療終了で登校できる。

  4. ×d.  風疹 ―― 解熱した後3日を経過するまで

    誤り。風疹の基準は「発しんが消失するまで」である。「解熱した後3日を経過するまで」は麻疹の基準であり、両者の取り違えをねらった選択肢である。

  5. ×e.  水痘 ―― すべての発しんが痂皮化した後3日を経過するまで

    誤り。水痘の基準は「すべての発しんが痂皮化するまで」であり、痂皮化の後にさらに日数を加える規定はない。水痘・帯状疱疹ウイルスは水疱内容に含まれ、すべてがかさぶたになれば感染性はほぼ消失すると考えられている。

学校において予防すべき感染症の分類

・第一種:感染症法の一類感染症と、結核を除く二類感染症など(エボラ出血熱、ペスト、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群、特定鳥インフルエンザなど)。基準は「治癒するまで」。 ・第二種:空気感染・飛沫感染などで学校で流行を広げる可能性が高いもの。下記のように疾患ごとに基準が定められている。 ・第三種:学校教育活動を通じて流行を広げる可能性があるもの(コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎など)。基準は「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」。

第二種感染症の出席停止期間の基準

・インフルエンザ:発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで ・百日咳:特有の咳が消失するまで、又は5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで ・麻疹:解熱した後3日を経過するまで ・流行性耳下腺炎:耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで ・風疹:発しんが消失するまで ・水痘:すべての発しんが痂皮化するまで ・咽頭結膜熱:主要症状が消退した後2日を経過するまで ・新型コロナウイルス感染症:発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで(2023年5月から) ・結核、髄膜炎菌性髄膜炎:病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで

関連事項

出席停止は校長が、臨時休業(学級閉鎖など)は学校の設置者が行う。

POINT

・インフルエンザ:発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日) ・咽頭結膜熱:主要症状消退後2日 ・麻疹:解熱後3日/風疹:発しん消失まで(取り違えに注意) ・水痘:全発しん痂皮化まで(日数の上乗せなし) ・百日咳:特有の咳消失まで、又は適正な抗菌薬治療5日間終了まで ・流行性耳下腺炎:腫脹発現後5日かつ全身状態良好まで

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。