3年に1度、10月のある1日―患者調査がとらえる「どの病気で何人が受診しているか」
第112回医師国家試験 F問題 第35問
国試問題にチャレンジ
患者調査について正しいのはどれか。
- a.毎年実施する。
- b.外来患者のみ調査を行う。
- c.傷病別の受療率を推計する。
- d.国内の全医療施設で実施する。
- e.医療費についての調査が含まれる。
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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ドクターまとめ
患者調査は厚生労働省が3年ごとに実施する基幹統計調査で、層化無作為抽出した医療施設を対象とする標本調査です。入院・外来患者は10月中旬の1日、退院患者は9月の1か月間について調べ、傷病別・性年齢階級別の受療率や推計患者数、平均在院日数、総患者数が得られます。医療費の金額は調査せず、医療費は国民医療費、有訴者率や通院者率は国民生活基礎調査、全医療施設の状況は医療施設静態調査で把握します。受療率は受診者のみを数えるため有病率とは一致しない点にも注意が必要です。各統計の周期・対象・わかる指標を比較して整理しておくことは、地域の医療需要を読み解き、保健医療政策を理解するうえでの基礎となります。
解答・解説
正解はcです
患者調査は、厚生労働省が実施する基幹統計調査(統計法に基づく特に重要な統計調査)の一つで、病院・診療所を利用する患者の傷病の状況などを明らかにし、医療行政の基礎資料を得ることを目的としている。 押さえるべき概要は次のとおりである。 ・実施周期:3年ごと(1984年以降。直近では2017年、2020年、2023年に実施)。 ・調査対象:全国の医療施設(病院・一般診療所・歯科診療所)から層化無作為抽出した施設を利用する患者。病院は二次医療圏別、診療所は都道府県別に抽出する標本調査である。 ・調査の種類:入院・外来患者については10月中旬の指定した1日の状況を、退院患者については9月の1か月間に退院した者を調べる。 ・主な調査項目:性別、出生年月日、患者の住所、入院・外来の別、受療の状況、傷病名、診療費等の支払方法、入院の経路・退院後の行き先など。 ・得られる主な指標:推計患者数、受療率、退院患者の平均在院日数、総患者数(調査日に受診していない継続受療者も含めて推計した傷病別の患者数)。 本問では、患者調査の周期・対象・方法・調査内容を正しく覚えているかが問われており、患者調査の代表的な成果指標である「受療率」に関する記述が正しい。
選択肢考察
- ×a. 毎年実施する。
患者調査は3年ごとに実施される(直近は2017年、2020年、2023年)。毎年実施される代表的な統計には、人口動態統計、医療施設動態調査、国民健康・栄養調査、国民医療費などがある。国民生活基礎調査は3年ごとに大規模調査を行い、その間の年は簡易調査を行う。
- ×b. 外来患者のみ調査を行う。
患者調査は外来患者だけでなく、入院患者と退院患者も対象とする。入院・外来患者は調査日1日の受療状況を、退院患者は9月の1か月間に退院した者の在院期間などを調べる。これにより入院受療率・外来受療率を別々に算出でき、退院患者の平均在院日数も得られる。
- ○c. 傷病別の受療率を推計する。
受療率は、調査日に全国の医療施設で受療した推計患者数を人口10万人当たりで表した値であり(受療率=推計患者数÷推計人口×100,000)、入院・外来別、性・年齢階級別、傷病分類別、都道府県別などに推計される。傷病名は国際疾病分類(ICD)に準拠して分類されるため、どの疾患でどの程度の人が受療しているかを把握できる。例えば入院では「精神及び行動の障害」や「循環器系の疾患」、外来では「消化器系の疾患」(歯科受診を含む)や「循環器系の疾患」などの受療率が高い。
- ×d. 国内の全医療施設で実施する。
患者調査は全数調査ではなく標本調査である。病院は二次医療圏別、一般診療所・歯科診療所は都道府県別に層化無作為抽出した施設を対象とし、得られた結果から全国の患者数や受療率を推計する。なお、全医療施設を対象とする調査には医療施設静態調査(3年ごと)がある。
- ×e. 医療費についての調査が含まれる。
患者調査では医療費の額は調査しない(診療費等の支払方法、すなわち医療保険・公費負担などの区分は調べるが、費用の金額は対象外である)。医療費の動向を把握する統計には、国民医療費(毎年、医療機関等における傷病の治療に要した費用を推計)がある。
主な保健統計の比較
・患者調査:医療施設を対象とする標本調査、3年ごと。推計患者数、受療率、平均在院日数、総患者数がわかる。医療施設を受診した者を数えるため、受診していない有病者は把握できない。 ・国民生活基礎調査:世帯を対象とする調査。3年ごとに大規模調査(健康、介護、所得などを含む)、中間年は簡易調査。有訴者率(病気やけがなどで自覚症状のある者の割合)、通院者率、健康意識、介護の状況などがわかる。 ・国民健康・栄養調査:毎年。身体状況、栄養摂取状況、生活習慣を調べる(健康増進法に基づく)。 ・医療施設調査:静態調査は3年ごと(全数)、動態調査は毎月(開設・廃止などの届出に基づく)。 ・国民医療費:毎年。保険診療の対象となる傷病の治療費を推計する(正常分娩、健康診断、予防接種などは含まない)。
受療率と有病率・有訴者率の違い
受療率は医療機関を受診した人の割合であり、受診していない有病者を含まないため有病率とは一致しない。自覚症状のある人の割合は国民生活基礎調査の有訴者率で、医療機関に通っている人の割合は同調査の通院者率で把握する。
総患者数
調査日に受診していなくても継続的に医療を受けている者を含めた傷病別の患者数を、平均診療間隔などを用いて推計した値である。2020年調査から推計に用いる平均診療間隔の上限が見直された。
POINT
・患者調査は3年ごとに実施される厚生労働省の基幹統計調査である。 ・対象は層化無作為抽出した医療施設の入院・外来・退院患者(標本調査)。 ・入院・外来は10月中旬の1日、退院は9月の1か月間を調査する。 ・傷病別・年齢別などの受療率、推計患者数、平均在院日数、総患者数が得られる。 ・医療費は国民医療費、有訴者率は国民生活基礎調査でわかる。
