手袋こそが最強の診断器具―Bishopスコアは「指先」で決まる
第106回医師国家試験 C問題 第9問
国試問題にチャレンジ
産科外来に備えられている物品の写真(①~⑤)を別に示す。 Bishopスコアの決定に必要なのはどれか。

- a.①
- b.②
- c.③
- d.④
- e.⑤
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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ドクターまとめ
Bishopスコアは子宮頸管の成熟度を評価する指標で、子宮口開大度、頸管展退度、児頭の位置(station)、頸部の硬さ、子宮口の位置の5項目を合計13点満点で採点します。これらはすべて腟内に指を入れる内診で判定するため、必要な物品は感染予防と清潔操作のための手袋です。経腟超音波は頸管長の計測や早産リスク評価に、クスコ腟鏡は腟・子宮腟部の視診や検体採取に、巻き尺は子宮底長や腹囲の測定に、ドプラは胎児心拍の確認に用いられ、いずれもBishopスコアの代わりにはなりません。一般に9点前後以上で頸管成熟とされ、低得点なら誘発前に頸管熟化処置を検討します。各物品が「何を評価する道具か」を理解しておくことは、産科診療の流れをつかむうえで役立ちます。
解答・解説
正解はcです
Bishopスコアとは
Bishopスコアは、子宮頸管がどの程度分娩に向けて準備できているか(頸管の成熟度)を点数化する指標である。評価項目は次の5つである。 ・子宮口の開大度(cm) ・子宮頸管の展退度(頸管がどれだけ短く薄くなったか、%) ・児頭の位置(station:坐骨棘を結ぶ線を0とした児頭先進部の高さ) ・頸部の硬さ(硬・中・軟) ・子宮口の位置(後方・中央・前方)
設問の考え方
これら5項目はいずれも、検者が腟内に指を挿入して子宮頸部と児頭を直接触れる内診(双合診の腟内操作)によって判定する。硬さや位置は触ってみて初めて分かる情報であり、画像や聴診では代わりにならない。したがって、Bishopスコアを決めるのに必要なのは、内診時に感染予防と清潔操作のために装着する手袋である。写真の他の物品は産科外来でよく使われるものの、それぞれ別の目的の器具である。
選択肢考察
- ×a. ①
①は巻き尺(メジャー)である。産科では恥骨結合上縁から子宮底までの距離である子宮底長や腹囲の計測に用い、胎児の発育や羊水量の大まかな目安とする。子宮頸部の状態は評価できないため、Bishopスコアの決定には用いない。
- ×b. ②
②はクスコ腟鏡である。腟を広げて腟壁や子宮腟部を目で見るための器具で、出血部位や破水(羊水の流出)の確認、腟分泌物の採取、子宮頸部細胞診の検体採取などに使う。子宮口が開いているかは視認できることもあるが、頸管の硬さ・展退度・児頭の高さは指で触れなければ分からないため、Bishopスコアは決定できない。
- ○c. ③
③は手袋である。Bishopスコアの5項目(子宮口開大度、頸管展退度、児頭の位置、頸部の硬さ、子宮口の位置)はすべて内診で判定する。内診では腟内に指を挿入するため、上行性感染の予防と清潔操作のために手袋を装着する。したがって、Bishopスコアの決定に必要な物品である。なお、日常診療では写真のような滅菌ゴム手袋に限らず、使い捨ての手袋が使われることも多い。
- ×d. ④
④は超音波ドプラ胎児心音計(ドプラ装置)である。母体の腹壁上から当て、ドプラ効果を利用して胎児心拍を音として聴取する。胎児が生存しているか、心拍数が正常範囲(おおむね110〜160 bpm)かを確認するための器具であり、頸管の状態は評価できない。
- ×e. ⑤
⑤は経腟超音波プローブである。子宮、卵巣・卵管などの付属器、Douglas窩を詳しく観察でき、妊娠初期の胎嚢確認や、早産リスクの評価のための子宮頸管長測定、内子宮口の開大(漏斗状変化)の観察に用いる。頸管の状態を画像で評価できるが、Bishopスコアは内診所見に基づく指標であり、硬さなどの項目は超音波では判定できないため、本スコアの決定には用いない。
Bishopスコアの配点
各項目を0〜3点(硬さと位置は0〜2点)で評価し、合計は0〜13点となる。 ・子宮口開大度:0 cm=0点、1〜2 cm=1点、3〜4 cm=2点、5〜6 cm=3点 ・頸管展退度:0〜30%=0点、40〜50%=1点、60〜70%=2点、80%以上=3点 ・児頭の位置(station):−3=0点、−2=1点、−1〜0=2点、+1以上=3点 ・頸部の硬さ:硬=0点、中=1点、軟=2点 ・子宮口の位置:後方=0点、中央=1点、前方=2点
臨床での使われ方
点数が高いほど頸管は成熟しており、分娩が近い、あるいは分娩誘発が成功しやすいと判断する。一般に9点以上で頸管成熟とされ、点数が低い場合は分娩誘発の前に頸管熟化処置(吸湿性頸管拡張材やメトロイリンテルなど)を検討する。妊娠中期に高得点であれば、早産の徴候として注意する。
内診と経腟超音波の役割の違い
内診は頸管の硬さや位置、児頭の下降度を直接触れて評価できる。一方、経腟超音波は子宮頸管長を客観的に数値化でき、妊娠中期の頸管長短縮(例えば25 mm未満)は早産のリスク因子として用いられる。両者は補い合う関係にあるが、Bishopスコア自体は内診所見で決める。
POINT
・Bishopスコアは子宮頸管の成熟度を評価する指標で、内診で判定する。 ・5項目:子宮口開大度、頸管展退度、児頭の位置(station)、頸部の硬さ、子宮口の位置。合計13点満点。 ・内診には感染予防のため手袋を用いる。 ・巻き尺=子宮底長・腹囲、クスコ腟鏡=腟・子宮腟部の視診、ドプラ=胎児心拍、経腟超音波=頸管長など画像評価。
