StudyMed医師国家試験

経産婦の娩出期は「1時間以内」―分娩の3期と所要時間の目安をつかむ

第118回医師国家試験 F問題 第12問

国試問題にチャレンジ

第118回 F問題 第12問

分娩経過が正常な経産婦の一般的な分娩第2期の所要時間はどれか。

  1. a.60分以下
  2. b.61~120分
  3. c.121~180分
  4. d.181~240分
  5. e.241分以上

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、正常な分娩経過の時間の目安を問う問題だ。ポイントは「分娩第2期がどこからどこまでか」と「初産婦と経産婦で時間がどう違うか」の2つ。まず、分娩の3つの期を整理してみようか。
医学生医学生
第1期が開口期、第2期が娩出期、第3期が後産期ですよね。CBTの前に語呂で覚えました。
ドクタードクター
いいね。中身も確認しよう。第1期は陣痛の周期がおおむね10分以内、または1時間に6回以上になった時点を分娩開始とし、子宮口が全開大、つまり約10cmになるまで。第2期は子宮口全開大から赤ちゃんが生まれるまで。第3期は赤ちゃんが生まれてから胎盤と卵膜が出るまでだ。
医学生医学生
第2期は赤ちゃんが産道を下りてくる時期ということですね。経産婦のほうが短いのは何となく分かりますが、どのくらい違うんでしょう。
ドクタードクター
経産婦は前回の分娩で子宮頸管や腟・会陰などの軟産道が一度伸びた経験があるから、抵抗が小さく、児頭の下降や回旋がスムーズに進む。その結果、どの期も初産婦より短くなるんだ。第2期の目安は、初産婦でおよそ1〜2時間、経産婦でおよそ30分〜1時間だよ。
医学生医学生
ということは、経産婦の第2期は60分以下が一般的なんですね。61〜120分のほうは初産婦の値と混同しそうです。
ドクタードクター
まさにそこが引っかけどころ。1〜2時間は初産婦の標準で、経産婦でそれだけかかるなら標準より長い経過だ。回旋異常や児頭骨盤不均衡、微弱陣痛がないか考える必要がある。
医学生医学生
2時間を超える選択肢は、初産婦でも長めということになりますか。
ドクタードクター
その通り。2時間を超えると初産婦でも標準より長く、経産婦なら明らかに遷延している。3〜4時間、さらに4時間以上となれば、胎児機能不全や母体の疲労のリスクが高まるから、原因を評価して吸引分娩や鉗子分娩、帝王切開などの介入を検討する状況だ。どれも正常経過の一般的な所要時間とはいえないね。
医学生医学生
数字は「〇時間くらい」より「〇時間以内」で覚えたほうがいいんでしょうか。
ドクタードクター
そう覚えるのがおすすめだ。臨床ではこの数字を「これを超えても進まなければ、何か問題がないか評価する」という目安として使うからね。初産婦は2時間以内、経産婦は1時間以内、とセットで覚えておこう。
医学生医学生
分娩全体の時間も覚えておいたほうがいいですか。
ドクタードクター
押さえておくと安心だね。初産婦は第1期が約10〜12時間、第3期が約15〜30分で、全体では約11〜15時間。経産婦は第1期が約4〜6時間、第3期が約10〜20分で、全体では約6〜8時間。経産婦はおおよそ初産婦の半分くらいと考えると覚えやすい。
医学生医学生
遷延分娩の定義もこれと関係しますか。
ドクタードクター
関係するよ。分娩開始から児娩出までが初産婦で30時間、経産婦で15時間を超えるものを遷延分娩という。原因は、微弱陣痛のような陣痛の異常、児頭骨盤不均衡や軟産道強靱といった産道の異常、回旋異常や巨大児といった胎児側の異常に分けて考えるんだ。
医学生医学生
産婦人科の実習で分娩に立ち会ったとき、助産師さんが「排臨です」「発露です」と声をかけていました。あれも第2期の話ですよね。
ドクタードクター
そうだね。陣痛発作のときだけ児頭が見えて、間欠時には引っ込むのが排臨。間欠時にも見えたままになるのが発露だ。第2期はお母さんが陣痛に合わせていきむことで、児頭が骨盤の中を回旋しながら下りてくる。この進み方を観察するのが大事なんだ。
医学生医学生
第2期が長引くと赤ちゃんにも負担がかかるので、時間を意識して見ているんですね。
ドクタードクター
その通り。長引くと胎児の低酸素や母体の疲労、産道損傷のリスクが上がる。もう一つ臨床で知っておきたいのは、硬膜外麻酔を使った無痛分娩では第2期が延長しやすいことだ。時間の目安を頭に入れつつ、胎児心拍や母体の状態とあわせて総合的に判断する姿勢が大切だよ。

まとめ

分娩は、分娩開始から子宮口全開大までの第1期(開口期)、全開大から児娩出までの第2期(娩出期)、児娩出から胎盤娩出までの第3期(後産期)に分けられます。経産婦では過去の分娩で子宮頸管や軟産道が伸展しやすくなっているため、どの期も初産婦より短く、第2期の目安は初産婦で1〜2時間(2時間以内)、経産婦で30分〜1時間(1時間以内)です。分娩全体では初産婦が約11〜15時間、経産婦が約6〜8時間で、初産婦30時間超・経産婦15時間超は遷延分娩とされ、陣痛・産道・胎児の各要因から原因を評価します。これらの数値を「以内」の目安として覚えておくと、分娩の進行が正常から外れたときに早く気づき、適切な介入を考えるための基準として役立ちます。

解答・解説

正解はaです

分娩経過は次の3期に分けて考える。 【分娩第1期(開口期)】陣痛が規則的になり、周期がおおむね10分以内(または1時間に6回以上)となった時点を分娩開始とし、子宮口が全開大(約10cm)に達するまで。 【分娩第2期(娩出期)】子宮口全開大から胎児が娩出されるまで。 【分娩第3期(後産期)】胎児娩出から胎盤・卵膜が娩出されるまで。 各期の所要時間の目安は、初産婦と経産婦で大きく異なる。経産婦では、過去の分娩によって子宮頸管や産道(腟・会陰などの軟産道)が伸展しやすくなっているため、どの期も初産婦より短い。分娩第2期については、初産婦でおよそ1~2時間(2時間以内)、経産婦でおよそ30分~1時間(1時間以内)が標準的な経過である。 したがって、正常経過の経産婦の分娩第2期として最も一般的な所要時間は「60分以下」である。これらの数値は「この時間を超えて進まない場合には分娩の進行に問題がないか評価し、介入を検討する」という目安として用いられるため、「〇時間程度」よりも「〇時間以内」と覚えておくと臨床的に使いやすい。

選択肢考察

  1. ○a.  60分以下

    経産婦の分娩第2期は通常30分~1時間程度で終了し、1時間以内が標準である。産道が一度伸展を経験しているため抵抗が小さく、児頭の下降・回旋が速やかに進むことによる。よってこの選択肢が一般的な所要時間に合致する。

  2. ×b.  61~120分

    1~2時間は初産婦の分娩第2期の標準的な所要時間に相当する。経産婦でこれだけかかる場合は、標準よりも長い経過であり、回旋異常や児頭骨盤不均衡、陣痛の弱さ(微弱陣痛)などがないかを考える必要がある。

  3. ×c.  121~180分

    2時間を超える分娩第2期は、初産婦でも標準より長い経過である。経産婦では明らかに遷延しており、正常経過の一般的な所要時間とはいえない。

  4. ×d.  181~240分

    3~4時間に及ぶ分娩第2期は、経産婦では著しく延長している。胎児機能不全や母体疲労のリスクが高まるため、原因の評価と吸引・鉗子分娩、帝王切開などの介入を検討すべき状況であり、一般的な所要時間ではない。

  5. ×e.  241分以上

    4時間以上は初産婦・経産婦のいずれにおいても分娩第2期として極めて長く、正常経過とはいえない。

正常分娩の所要時間の目安

初産婦:第1期 約10~12時間、第2期 約1~2時間、第3期 約15~30分。合計で約11~15時間。 経産婦:第1期 約4~6時間、第2期 約30分~1時間、第3期 約10~20分。合計で約6~8時間。 経産婦は全体として初産婦のおよそ半分程度の時間で分娩が終わると考えるとよい。

遷延分娩

分娩開始から児娩出までの時間が、初産婦で30時間、経産婦で15時間を超えるものを遷延分娩という。原因は、陣痛の異常(微弱陣痛)、産道の異常(児頭骨盤不均衡、軟産道強靱)、胎児側の異常(回旋異常、巨大児)などに分けて考える。

分娩第2期の特徴

子宮口全開大後、陣痛に合わせて母体が腹圧(いきみ)をかけることで、児頭が骨盤内を回旋しながら下降する。児頭が陣痛間欠時にも陰裂から見えたままになった状態を発露、陣痛発作時のみ見え間欠時には後退する状態を排臨という。第2期が長引くと胎児の低酸素状態や母体の疲労、産道損傷などのリスクが高まるため、進行の評価が重要である。なお、硬膜外麻酔による無痛分娩では第2期が延長しやすいことが知られている。

POINT

・分娩第2期=子宮口全開大から児娩出まで。 ・第2期の目安:初産婦は2時間以内(1~2時間)、経産婦は1時間以内(30分~1時間)。 ・分娩全体の目安:初産婦 約11~15時間、経産婦 約6~8時間。 ・遷延分娩:初産婦30時間超、経産婦15時間超。 ・所要時間の数値は「以内」として覚え、超えたら異常の有無を評価する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。