働き方で決まる保険証―被用者保険と国民健康保険の境界線
第105回医師国家試験 E問題 第3問
国試問題にチャレンジ
被用者保険でないのはどれか。
- a.船員保険
- b.共済組合
- c.国民健康保険
- d.組合管掌健康保険
- e.全国健康保険協会管掌健康保険
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
日本の公的医療保険は、75歳未満では職場単位で加入する被用者保険(職域保険)と、居住地単位で加入する国民健康保険(地域保険)に大別され、75歳以上は後期高齢者医療制度に加入します。被用者保険には大企業の組合管掌健康保険、中小企業の協会けんぽ、公務員や私学教職員の共済組合、船員の船員保険があり、保険料は原則として労使折半です。国民健康保険は自営業者や無職の人、退職者などが加入し、被扶養者の区分がなく、傷病手当金などは任意給付にとどまる点が被用者保険と異なります。医師国保のような国民健康保険組合は名前に惑わされず地域保険側に分類されることも注意点です。保険制度の構造を理解しておくことは、試験対策だけでなく、患者さんの療養や生活を支える臨床の場面でも役立ちます。
解答・解説
正解はcです
問われていること
日本の公的医療保険の分類を問う問題である。
医療保険の大きな分け方
日本は、すべての国民がいずれかの公的医療保険に加入する国民皆保険制度をとっている(1961年に達成)。75歳未満の医療保険は、加入の基準によって次の2つに大きく分けられる。 ・被用者保険(職域保険):会社や官公庁などに雇われて働く人(被用者)と、その扶養家族が加入する。職場を単位に加入し、保険料は事業主と被保険者が折半で負担するのが原則である。 ・国民健康保険(地域保険):被用者保険に加入していない人(自営業者、農林漁業従事者、無職の人、被用者保険の適用とならない短時間労働者、退職者など)が、住んでいる地域を単位に加入する。 さらに75歳以上(一定の障害がある場合は65歳以上)の人は、後期高齢者医療制度に加入する。 したがって、75歳未満の医療保険のうち国民健康保険以外はすべて被用者保険に分類されると理解すれば、答えは国民健康保険となる。
選択肢考察
- ×a. 船員保険
被用者保険である。船員保険法に基づき、船舶に乗り組む船員とその被扶養者を対象とする。かつては国(社会保険庁)が運営していたが、2010年からは全国健康保険協会が保険者となっている。
- ×b. 共済組合
被用者保険である。国家公務員・地方公務員・私立学校の教職員とその被扶養者が加入する。国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団などが保険者であり、医療給付のほか年金などの事業も行う。
- ○c. 国民健康保険
被用者保険ではなく地域保険である。被用者保険に加入していない自営業者、農林漁業従事者、無職の人、退職者などが、居住地を単位として加入する。保険者は、都道府県と市町村(特別区を含む)が共同で運営するもの(2018年度から都道府県が財政運営の責任主体となった)と、医師・弁護士・建設業など同じ業種の人で組織する国民健康保険組合がある。被用者保険と異なり被扶養者という区分はなく、世帯員一人ひとりが被保険者となる。
- ×d. 組合管掌健康保険
被用者保険である。健康保険法に基づき、主に大企業(単独では常時700人以上、同業種の複数企業による共同設立では合計3,000人以上が目安)が設立した健康保険組合が保険者となり、その従業員と被扶養者が加入する。組合ごとに保険料率を設定でき、独自の付加給付を行うこともある。
- ×e. 全国健康保険協会管掌健康保険
被用者保険である。いわゆる「協会けんぽ」で、健康保険組合を持たない主に中小企業の従業員とその被扶養者が加入する。2008年に政府管掌健康保険(政管健保)から移行し、全国健康保険協会が保険者となった。保険料率は都道府県ごとに設定されている。
公的医療保険の体系
・被用者保険(職域保険) 健康保険:組合管掌健康保険(健康保険組合)、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ) 船員保険(全国健康保険協会) 共済組合:国家公務員、地方公務員、私立学校教職員 ・国民健康保険(地域保険):都道府県・市町村、国民健康保険組合 ・後期高齢者医療制度:75歳以上(一定の障害がある65歳以上を含む)。後期高齢者医療広域連合(都道府県ごとに全市町村が加入)が運営する。
給付と自己負担
保険者が違っても、医療の給付(療養の給付)の内容はほぼ共通である。医療機関の窓口で支払う自己負担割合は、原則として次のとおりである。 ・義務教育就学前:2割 ・義務教育就学後〜69歳:3割 ・70〜74歳:2割(現役並み所得者は3割) ・75歳以上:1割(一定以上の所得者は2割、現役並み所得者は3割) 自己負担が高額になった場合は高額療養費制度によって上限が設けられる。一方、傷病手当金や出産手当金(病気・出産で休業した際の所得保障)は被用者保険では法定給付だが、国民健康保険では任意給付であり、実際にはほとんど実施されていない。
POINT
・医療保険は、職場単位の被用者保険(職域保険)と、居住地単位の国民健康保険(地域保険)に大別される。 ・被用者保険には、組合管掌健康保険、協会けんぽ、船員保険、共済組合がある。 ・75歳以上は後期高齢者医療制度に加入する。 ・国民皆保険は1961年に達成された。
