StudyMed医師国家試験

入院から「1週間」がタイムリミット―入院診療計画書と患者への説明責任

第103回医師国家試験 F問題 第9問

国試問題にチャレンジ

第103回 F問題 第9問

入院診療計画書の作成と交付およびその適切な説明は,患者が入院した日から何日以内に行うべきか。

  1. a.1日
  2. b.3日
  3. c.7日
  4. d.14日
  5. e.28日

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、入院診療計画書をいつまでに作成・交付・説明しなければならないか、という医療関連法規の問題だ。数字を暗記するだけでなく、なぜその書類が必要なのか、なぜその期限なのかを一緒に考えてみよう。
医学生医学生
入院診療計画書は、臨床実習で入院患者さんのカルテに挟まっているのを見たことがあります。主治医の先生がご家族に説明しながらサインをもらっていました。
ドクタードクター
まさにその書類だね。医療法第6条の4で、病院や診療所の管理者は、患者を入院させたとき、担当医がこの書面を作成して患者またはその家族に交付し、適切に説明する体制を整えなければならないと定められている。
医学生医学生
どんなことが書いてあるんでしょうか。病名くらいしか覚えていなくて。
ドクタードクター
患者の氏名・生年月日・性別、主治医の氏名、入院の原因となった傷病名と主要な症状、入院中に予定される検査・手術・投薬などの治療計画、それに看護や栄養管理の方針、推定される入院期間などだ。つまり「この入院で何をして、どのくらいで帰れそうか」を患者と共有するための書類なんだ。
医学生医学生
期限は……入院当日に渡すのが一番丁寧なので、1日以内でしょうか。
ドクタードクター
その気持ちはよくわかる。実際、早く渡せるならそれに越したことはない。でも入院直後は検査結果がそろわず、治療方針が固まっていないことも多いよね。法令上の期限は医療法施行規則で、「入院した日から起算して7日以内」と定められている。だから正解は7日だ。
医学生医学生
3日以内だと思い込んでいる同級生もいました。
ドクタードクター
3日という期限はこの書類にはないね。逆に14日や28日だと長すぎる。短期入院の患者さんだと、計画書を受け取る前に退院してしまいかねない。それでは、入院医療の目的と見通しを患者と共有するという制度の趣旨が果たせないんだ。
医学生医学生
なるほど、治療計画を立てるための猶予と、患者さんに早く説明する必要性のバランスで1週間なんですね。
ドクタードクター
そう理解しておくと覚えやすい。この規定の根っこにあるのはインフォームド・コンセントの考え方だ。患者が自分の受ける医療の内容を理解し、選択に参加できるようにするための仕組みなんだよ。
医学生医学生
医療面接の講義やOSCEでも、説明と同意が大事だと何度も言われました。それが法律の形で制度化されているんですね。
ドクタードクター
その通り。さらに診療報酬の面でも、入院診療計画を入院後7日以内に策定・説明することが入院基本料の算定要件になっている。だから病院の実務としても、守らなければならない重要な期限なんだ。
医学生医学生
退院するときにも同じような書類はありますか。
ドクタードクター
いい質問だね。退院時には、退院後の療養に必要な保健医療・福祉サービスなどを記載した退院療養計画書を作成・交付・説明するよう努めることとされている。ただしこちらは努力義務で、入院診療計画書の義務とは位置づけが違う。この違いも試験で問われやすいポイントだよ。
医学生医学生
入院時の書類は、入院診療計画書だけではないんですよね。
ドクタードクター
そうだね。栄養状態を評価する栄養管理計画書や、褥瘡対策に関する診療計画書なども入院時に作成される。主治医だけでなく、看護師や管理栄養士など多職種がかかわって入院医療が組み立てられていることを実感できるはずだ。研修医になると、入院を受け持つたびに計画書を書くことになるから、期限を意識しておこう。

まとめ

入院診療計画書は、医療法第6条の4と医療法施行規則に基づき、患者が入院した日から起算して7日以内に作成・交付し、患者またはその家族に適切に説明しなければなりません。記載事項は、氏名などの基本情報、主治医名、傷病名と主要症状、検査・手術・投薬・看護・栄養管理を含む治療計画、推定入院期間などです。入院直後は治療方針が固まらないことも多い一方、説明が遅れれば制度の目的が果たせないため、7日という期限が設けられています。退院療養計画書の交付は努力義務である点も区別して覚えておきましょう。この制度はインフォームド・コンセントを支える仕組みであり、入院基本料の算定要件でもあるため、臨床現場で確実に実践すべき基本事項です。

解答・解説

正解はcです

入院診療計画書の作成・交付・説明の期限を問う、医療関連法規の知識問題である。 入院診療計画書は、入院した患者本人やその家族に対して、病名や症状、入院中に予定される検査・手術・投薬などの治療計画、看護や栄養管理の方針、見込まれる入院期間などを文書で示し、説明するための書類である。医療法第6条の4により、病院・診療所の管理者は、患者を入院させたときに、担当の医師(または歯科医師)がこの書面を作成し、患者またはその家族に交付して適切に説明するよう体制を整えなければならないと定められている。 その期限は厚生労働省令である医療法施行規則に定められており、「患者が入院した日から起算して7日以内」である。したがって正解は7日である。 この規定は、医療従事者と患者との間で入院医療の目的と見通しを共有し、患者が自分の受ける医療を理解・選択できるようにするインフォームド・コンセントの考え方に基づいている。診療報酬上も、入院診療計画を入院後7日以内に策定・説明することが入院基本料算定の要件とされており、実務上も重要な期限である。

選択肢考察

  1. ×a.  1日

    入院当日のうちに作成・交付することは望ましい場合もあるが、法令で定められた期限は1日以内ではない。入院直後は検査結果がそろわず治療計画が固まっていないことも多く、法令は7日以内という猶予を設けている。

  2. ×b.  3日

    3日以内という期限は入院診療計画書については定められていない。法令上の期限は入院日から起算して7日以内である。

  3. ○c.  7日

    医療法第6条の4とこれを受けた医療法施行規則により、入院診療計画書の作成・交付およびその適切な説明は、患者が入院した日から起算して7日以内に行わなければならないとされている。入院基本料の算定要件としての入院診療計画の説明期限も同じく7日以内であり、正しい。

  4. ×d.  14日

    14日では法令の期限を過ぎてしまう。入院期間が短い患者では、14日を待つと計画書を受け取る前に退院することにもなりかねず、患者への説明という制度の目的を果たせない。

  5. ×e.  28日

    28日は入院診療計画書の交付期限ではない。入院日から7日以内に作成・交付・説明を行う必要がある。

医療法第6条の4に定める記載事項

1. 患者の氏名、生年月日および性別 2. 当該患者の診療を主として担当する医師または歯科医師の氏名 3. 入院の原因となった傷病名および主要な症状 4. 入院中に行われる検査、手術、投薬その他の治療(入院中の看護および栄養管理を含む)に関する計画 5. その他厚生労働省令で定める事項(推定される入院期間など)

関連事項

・作成するのは担当医であるが、交付・説明が確実に行われるよう体制を整える義務は病院・診療所の管理者にある。 ・交付の相手は患者本人またはその家族である。 ・退院時には、退院後の療養に必要な保健医療・福祉サービスに関する事項などを記載した書面(退院療養計画書)を作成・交付・説明するよう努めることとされている(努力義務)。 ・入院時には、入院診療計画書のほかにも、栄養管理計画書、褥瘡対策に関する診療計画書など、多職種がかかわる各種の計画書が作成される。 ・入院診療計画書の法定化は、患者への情報提供を推進する医療法改正(2006年改正、2007年施行)によるものである。

POINT

・入院診療計画書の作成・交付・説明は、入院日から起算して7日以内(医療法第6条の4、医療法施行規則)。 ・交付の相手は患者本人またはその家族。 ・記載事項: 氏名・生年月日・性別、主治医名、傷病名と主要症状、検査・手術・投薬・看護・栄養管理を含む治療計画、推定入院期間など。 ・退院療養計画書の交付は努力義務である点も区別して覚える。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。