「卵・乳・小麦」を見逃すな―アレルゲン表示が守る食卓の安全
第103回医師国家試験 B問題 第24問
国試問題にチャレンジ
アレルギーを惹起することがあるため,食品に表示しなければならない原材料はどれか。3つ選べ。
- a.米
- b.乳
- c.卵
- d.小麦
- e.ジャガイモ
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
食物アレルギーは微量摂取でもアナフィラキシーを起こしうるため、容器包装された加工食品には、表示義務のある特定原材料と表示が推奨される特定原材料に準ずるものの2段階でアレルゲン表示が定められています。特定原材料は発症件数が多いか重篤化しやすい食品で、出題当時は卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生の7品目、2023年にくるみが加わり現在は8品目です。米とジャガイモはいずれの表示対象でもなく、推奨表示にあるのは「やまいも」である点が紛らわしいポイントです。現在の法的根拠は食品表示法に基づく食品表示基準で所管は消費者庁、外食や量り売りには表示義務がないため患者指導で注意が必要です。原因食物の年齢による変化や表示制度の見直しを理解しておくことは、患者さんの安全な食生活を支える実践的な知識になります。
解答・解説
正解はb, c, dです
食物アレルギーの原因となる食品(アレルゲン)を含む加工食品の表示制度に関する問題である。 食物アレルギーは、ごく微量の摂取でもじんま疹、嘔吐、喘鳴、さらにはアナフィラキシーショックを起こしうる。患者本人や家族が加工食品を選ぶ際に原材料を確認できるよう、容器包装された加工食品にはアレルゲンの表示制度が設けられている。 表示の対象は2段階に分かれる。 1) 特定原材料(表示義務あり): 発症件数が多い、または重篤な症状を起こしやすい食品。本問出題当時は、卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生の7品目であった。 2) 特定原材料に準ずるもの(表示を推奨、任意): 特定原材料ほどではないが、症例がある程度報告されている食品。 選択肢のうち、特定原材料に該当するのは乳、卵、小麦の3つであり、これらが正解となる。米とジャガイモは、義務表示の対象でも推奨表示の対象でもない。
選択肢考察
- ×a. 米
米は日本人の主食で、米に対するアレルギーはまれに報告されるものの、発症頻度は低い。特定原材料(義務表示)にも、特定原材料に準ずるもの(推奨表示)にも含まれていない。身近な食品であるため紛らわしい選択肢として出題されやすい。
- ○b. 乳
乳(牛乳およびその加工品)は、鶏卵に次いで乳幼児の食物アレルギーの原因として多く、特定原材料として表示が義務付けられている。主な抗原はカゼインやβ-ラクトグロブリンである。チーズ、バター、ヨーグルトなどの乳製品を含む加工食品も表示の対象となる。
- ○c. 卵
鶏卵は、日本の即時型食物アレルギーの原因食物として最も多く、特に乳幼児で頻度が高い。特定原材料として表示が義務付けられている。主な抗原は卵白に含まれるオボムコイドやオボアルブミンである。オボムコイドは加熱しても抗原性が失われにくい。
- ○d. 小麦
小麦は乳幼児の三大アレルゲン(鶏卵・牛乳・小麦)の一つであり、特定原材料として表示が義務付けられている。成人では、小麦摂取後の運動をきっかけにアナフィラキシーを起こす食物依存性運動誘発アナフィラキシー(主な抗原はω-5グリアジン)の原因食物として重要である。
- ×e. ジャガイモ
ジャガイモは義務表示の対象ではなく、推奨表示の対象(特定原材料に準ずるもの)にも含まれていない。推奨表示の一覧にある芋類は「やまいも」であり、ジャガイモと混同しないように注意する。
アレルゲン表示制度の法的根拠
アレルゲン表示は、かつては食品衛生法とその施行規則に基づいて行われていた。2015年に食品表示法が施行され、現在は同法に基づく食品表示基準で定められている。制度を所管するのは消費者庁である。
特定原材料(表示義務)
出題当時は、卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生(ピーナッツ)の7品目であった。その後、くるみのアレルギー症例が増えたため、2023年にくるみが追加されて8品目となった(経過措置期間を経て完全に義務化)。 覚え方の例: 重篤度が高いのが「そば・落花生」、症例数が多いのが「卵・乳・小麦」、甲殻類が「えび・かに」、近年追加されたのが「くるみ」。
特定原材料に準ずるもの(表示推奨)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、マカダミアナッツなどが指定されている。品目は発症状況の調査に基づいて随時見直される(例: まつたけの削除、マカダミアナッツの追加)。
表示の対象と方法
・対象は容器包装された加工食品と添加物である。外食や、店頭で量り売りされる総菜などには表示義務がない。 ・原則として、原材料ごとに「(一部に卵・小麦を含む)」のように個別に表示する。 ・微量でも症状を起こしうるため、含有量が数μg/g程度(数ppm)以上であれば表示の対象となる。
日本の食物アレルギーの主な原因食物
即時型症状の原因としては鶏卵が最も多く、牛乳、木の実類(特にくるみ)、小麦がこれに続く。乳幼児期は鶏卵・牛乳・小麦が中心であり、年齢が上がるにつれて甲殻類、果物、木の実類、魚卵などの割合が増える。
POINT
・表示義務のある特定原材料: 卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生(出題当時は7品目)。2023年にくるみが追加され、現在は8品目。 ・米、ジャガイモ、大豆は義務表示の対象ではない(大豆は推奨表示の対象)。 ・推奨表示の一覧に含まれるのは「やまいも」であり、ジャガイモではない。 ・現在の法的根拠は食品表示法(食品表示基準)で、所管は消費者庁である。
