StudyMed医師国家試験

心拍80、蒼白、無反応―5項目を足し算して見える「重症仮死」

第101回医師国家試験 H問題 第35問

国試問題にチャレンジ

第101回 H問題 第35問

出生直後の新生児。胎児心拍数陣痛図で胎児心拍数90/分となり,在胎35週,緊急帝王切開で出生した。出生時体重2,100g,1分後の心拍数80/分,啼泣は弱く,浅い呼吸である。四肢は少し曲げているが,刺激に対して反応せず,全身蒼白である。 この児のApgarスコアは何点か。

  1. a.9
  2. b.7
  3. c.5
  4. d.3
  5. e.1

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は出生直後の新生児の状態をApgarスコアで評価する問題だ。やることはシンプルで、5つの評価項目それぞれに問題文の所見を当てはめて0〜2点をつけ、足し算するだけ。ただ、各項目の1点と0点の境目を正確に覚えていないと、意外と点数がずれる。まず背景から確認しよう。胎児心拍数90/分で緊急帝王切開になったことは何を意味するかな。
医学生医学生
胎児心拍数の基線の正常は110〜160/分なので、高度の徐脈ですね。胎児が低酸素に陥っている、胎児機能不全だと思います。
ドクタードクター
その通り。在胎35週の後期早産、2,100gの低出生体重児で、しかも子宮内で低酸素にさらされていた可能性が高い。仮死で生まれてくることを想定して準備すべき状況だ。では5項目を挙げてみて。
医学生医学生
心拍数、呼吸、筋緊張、反射、皮膚色です。CBTの勉強でAPGARの頭文字、Appearance、Pulse、Grimace、Activity、Respirationで覚えました。
ドクタードクター
いい覚え方だね。では心拍数80/分から。
医学生医学生
100/分未満なので1点ですね。一瞬、徐脈だから0点かと思いかけました。
ドクタードクター
そこが典型的な落とし穴。0点は「心拍なし」のときだけで、心拍があって100/分未満なら1点、100/分以上で2点だ。次は呼吸。弱い啼泣で浅い呼吸はどうなる?
医学生医学生
呼吸はしているけれど強い啼泣ではないので、1点です。
ドクタードクター
正解。強く泣いていれば2点、呼吸なしなら0点。筋緊張は「四肢を少し曲げている」だね。
医学生医学生
完全にだらんとしているわけではないので1点。活発に動いて四肢をしっかり屈曲していれば2点ですよね。
ドクタードクター
そう。ここまで3項目が1点ずつ。残りの反射と皮膚色が要注意だ。刺激に反応しないのは?
医学生医学生
反応なしなので0点です。顔をしかめるだけでも1点もらえるんですよね。
ドクタードクター
その通り。鼻腔カテーテルや足底刺激に対して、泣く・咳・くしゃみで2点、しかめ面で1点、反応なしで0点。最後に皮膚色、全身蒼白は?
医学生医学生
手足だけチアノーゼなら1点ですけど、全身蒼白は0点ですね。全身チアノーゼも0点だったと思います。
ドクタードクター
よく整理できている。正常な新生児でも出生直後は手足が紫っぽいことが多いから、体幹ピンク・四肢チアノーゼの1点はよくある。全身蒼白は末梢循環が極めて悪いサインで0点だ。合計すると?
医学生医学生
1+1+1+0+0で3点。0〜3点だから重症仮死ですね。
ドクタードクター
正解。7〜10点が正常、4〜6点が軽症仮死、0〜3点が重症仮死だ。ほかの選択肢も確認しておくと、9点は皮膚色だけ1点の元気な児、7点は正常の下限、5点ならしかめ面や体幹ピンクといった所見が必要になる。1点は心拍以外がすべて0点の状態で、本児は弱いながらも呼吸と屈曲があるから当てはまらない。
医学生医学生
産婦人科の実習で帝王切開に立ち会ったとき、小児科の先生が生まれてすぐに保温して吸引していて、点数をつけるのは後だった気がします。
ドクタードクター
いいところに気づいたね。実はそこが臨床で一番大事な点で、蘇生の開始はApgarスコアの算出を待たない。新生児蘇生法では、出生直後に呼吸、筋緊張、そして心拍数を評価して、保温・気道確保・刺激、必要なら人工呼吸へ速やかに進む。Apgarスコアはあくまで状態を記録・評価する指標なんだ。
医学生医学生
1分値と5分値はどう使い分けるんですか。
ドクタードクター
1分値は出生直後の仮死の程度を、5分値は蘇生への反応や神経学的予後との関連をよく反映する。5分値が7点未満なら、7点以上になるまで5分ごとに20分まで評価を続けることが推奨されている。もう一つ、早産児は筋緊張や反射が未熟だから、仮死がなくても点数が低めに出やすい点も覚えておこう。
医学生医学生
点数だけで判断せず、在胎週数や背景も合わせて解釈する必要があるんですね。

まとめ

Apgarスコアは心拍数、呼吸、筋緊張、反射(刺激への反応)、皮膚色の5項目を各0〜2点で採点し、出生後1分と5分に新生児の状態を評価する指標です。心拍数は心拍があれば100/分未満でも1点、皮膚色は全身蒼白・全身チアノーゼが0点で四肢のみチアノーゼが1点、反射はしかめ面で1点と、0点と1点の境目を正確に覚えることが採点のカギです。本問は1+1+1+0+0=3点で重症仮死にあたり、胎児心拍数の高度徐脈という背景とも合致します。合計7〜10点が正常、4〜6点が軽症仮死、0〜3点が重症仮死で、5分値は蘇生への反応や神経学的予後とよく関連します。実際の蘇生はスコアの算出を待たずに呼吸・筋緊張・心拍数から開始する点も、臨床で欠かせない知識です。

解答・解説

正解はdです

背景

胎児心拍数陣痛図(CTG)で胎児心拍数が90/分まで低下しており、高度の徐脈は胎児機能不全(胎児の低酸素状態)を示す。そのため在胎35週(後期早産)で緊急帝王切開となった。出生体重2,100gの低出生体重児であり、出生直後の状態を評価する必要がある。

Apgarスコアの評価

Apgarスコアは出生後1分と5分に、心拍数、呼吸、筋緊張、反射(刺激への反応)、皮膚色の5項目をそれぞれ0〜2点で採点し、合計0〜10点で新生児の状態を評価するものである。問題文の所見を項目ごとに当てはめる。 ・心拍数80/分: 100/分未満だが心拍はあるので1点(100/分以上で2点、なしで0点)。 ・呼吸: 啼泣が弱く浅い呼吸なので1点(強い啼泣で2点、呼吸なしで0点)。 ・筋緊張: 四肢を少し曲げている(軽度屈曲)ので1点(活発な自発運動・四肢屈曲で2点、だらりと弛緩していれば0点)。 ・反射(刺激への反応): 刺激に反応しないので0点(啼泣・咳・くしゃみで2点、顔をしかめる程度で1点)。 ・皮膚色: 全身蒼白なので0点(全身ピンクで2点、体幹ピンク・四肢チアノーゼで1点)。 合計: 1+1+1+0+0=3点

判定

一般に7〜10点が正常、4〜6点が軽症仮死、0〜3点が重症仮死とされる。本児は3点で重症新生児仮死にあたり、直ちに新生児蘇生(保温・気道確保・刺激、人工呼吸など)が必要な状態である。

選択肢考察

  1. ×a.  9

    9点は全項目がほぼ満点で、典型的には皮膚色のみ四肢チアノーゼで1点となる元気な新生児の点数である。本児は心拍数100/分未満、弱い啼泣、刺激への無反応、全身蒼白と複数の項目で減点されるので該当しない。

  2. ×b.  7

    7点は正常範囲の下限にあたる。本児は反射(刺激への反応)と皮膚色が0点、残りの3項目もすべて1点であり、合計は7点に達しない。

  3. ×c.  5

    5点になるには、例えば刺激に対して顔をしかめる(反射1点)、体幹はピンクで四肢のみチアノーゼ(皮膚色1点)といった所見が必要である。本児は刺激に反応せず全身蒼白であり、これらはいずれも0点となるため5点にはならない。

  4. ○d.  3

    心拍数80/分(100/分未満)で1点、弱い啼泣・浅い呼吸で1点、四肢の軽度屈曲で1点、刺激に無反応で0点、全身蒼白で0点となり、合計3点である。0〜3点は重症仮死に分類され、ただちに蘇生処置を要する。

  5. ×e.  1

    1点になるのは、例えば心拍はあるが100/分未満で、呼吸・筋緊張・反射・皮膚色がすべて0点の場合である。本児は弱いながら啼泣と呼吸があり、四肢も軽く屈曲しているので、それぞれ1点が加わる。

Apgarスコアの採点表

・心拍数: 0点=なし、1点=100/分未満、2点=100/分以上 ・呼吸: 0点=なし、1点=弱い啼泣・不規則な浅い呼吸、2点=強い啼泣・良好な呼吸 ・筋緊張: 0点=弛緩、1点=四肢をやや屈曲、2点=四肢を屈曲し活発に動かす ・反射(鼻腔カテーテル刺激や足底刺激への反応): 0点=反応なし、1点=顔をしかめる、2点=啼泣・咳・くしゃみ ・皮膚色: 0点=全身蒼白または全身チアノーゼ、1点=体幹ピンク・四肢チアノーゼ、2点=全身ピンク 項目名の頭文字を取ってAppearance(皮膚色)、Pulse(心拍数)、Grimace(反射)、Activity(筋緊張)、Respiration(呼吸)と覚える方法もある。

評価と意義

・7〜10点: 正常、4〜6点: 軽症仮死(第1度仮死)、0〜3点: 重症仮死(第2度仮死)。 ・1分値は出生直後の状態(仮死の程度)を、5分値は蘇生への反応や神経学的予後との関連をよく反映する。5分値が7点未満なら、7点以上になるまで5分ごとに20分まで評価を続けることが推奨される。 ・蘇生の開始はApgarスコアの算出を待たず、出生直後の呼吸・筋緊張・心拍数の評価に基づいて判断する(新生児蘇生法)。 ・早産児は筋緊張や反射が未熟なため、仮死がなくても点数が低めに出やすい。

胎児心拍数の目安

胎児心拍数の正常範囲(基線)は110〜160/分であり、90/分のような高度の徐脈が持続する場合は胎児機能不全として急速遂娩を考慮する。

POINT

・Apgarスコア: 心拍数、呼吸、筋緊張、反射、皮膚色の5項目を各0〜2点で採点する。 ・心拍数は100/分以上で2点、100/分未満で1点、なしで0点。 ・全身蒼白は0点、四肢のみチアノーゼは1点。 ・合計7〜10点が正常、4〜6点が軽症仮死、0〜3点が重症仮死。 ・本問は1+1+1+0+0=3点。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。