直径およそ2.4cm―「24mm」が教えてくれる正視眼と屈折異常のしくみ
第120回医師国家試験 C問題 第4問
国試問題にチャレンジ
成人眼球で正視の眼軸長に最も近いのはどれか。
- a.14mm
- b.24mm
- c.34mm
- d.44mm
- e.54mm
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生まとめ
成人の正視眼の眼軸長は約24mmで、眼全体の屈折力約60D(うち角膜が約3分の2)で平行光線を曲げたとき、焦点がちょうど網膜に結ぶ長さに相当します。眼軸が長ければ網膜の前方で結像する軸性近視、短ければ後方で結像する軸性遠視となり、眼軸長1mmの差は屈折でおよそ3Dに相当します。新生児の眼軸長は約17mmで遠視寄りですが、成長とともに眼軸が伸びて正視化し、伸びすぎると近視となり、強度近視(26〜30mm程度)では網膜剝離や近視性脈絡膜新生血管などの合併症リスクが高まります。眼軸長は白内障手術の眼内レンズ度数計算にも必須の値であり、「24mm」という基準を軸に屈折異常のしくみを理解しておくことが、眼科臨床の土台になります。
解答・解説
正解はbです
問われていること
眼軸長(がんじくちょう)とは、角膜の頂点から網膜(中心窩付近)までの、眼球の前後方向の長さである。眼の屈折状態(正視・近視・遠視)は、角膜と水晶体がもつ屈折力と、この眼軸長とのバランスで決まる。
正視とは
調節(ピント合わせ)を休ませた状態で、無限遠から来る平行光線がちょうど網膜上に焦点を結ぶ状態を正視という。成人の眼全体の屈折力は約60D(ジオプトリー、焦点距離の逆数でメートル単位)であり、これに見合う眼軸長がおよそ24mmである。つまり「成人の眼球は直径約2.4cmの球」とイメージしておけばよい。
考え方
選択肢は10mm刻みで並んでおり、24mmを知っていれば迷わない。眼軸長が1mm変化すると屈折はおよそ3D変化するため、10mmずれた眼は正視どころか極端な屈折異常となり、現実的な数値ではない。
選択肢考察
- ×a. 14mm
短すぎる。新生児の眼軸長でも約17mmあり、14mmは成人正視眼の値としてありえない。成人でこれほど眼軸が短ければ、平行光線は網膜よりはるか後方に結像し、極めて強い遠視となる(小眼球症などの病的状態に相当する)。
- ○b. 24mm
成人の正視眼の眼軸長は約24mmであり、これが最も近い。角膜(約43D)と水晶体(約20D前後)を合わせた眼全体の屈折力約60Dで平行光線を屈折させたとき、焦点がちょうど網膜上に来る長さがこの程度である。
- ×c. 34mm
長すぎる。眼軸長が正視眼より長いと平行光線は網膜の手前で結像し、軸性近視となる。強度近視眼でも眼軸長はおおむね26〜30mm程度であり、34mmは病的近視の中でもまれな極端な値で、正視眼の値ではない。
- ×d. 44mm
ヒトの眼球の大きさとしては非現実的な値である。正視眼の約24mmより20mmも長く、眼窩(眼球を収める骨のくぼみ)にも収まらない大きさである。
- ×e. 54mm
正視眼の2倍以上の長さであり、ヒトの眼軸長としてありえない。
眼軸長と屈折異常
・眼軸が長い(例: 26mm)→ 平行光線が網膜の前方で結像 → 近視(軸性近視) ・眼軸が短い(例: 22mm)→ 平行光線が網膜の後方で結像 → 遠視(軸性遠視) ・目安として、眼軸長1mmの差は屈折にしておよそ3Dの差に相当する。 ・屈折異常には、眼軸長の異常による「軸性」と、角膜や水晶体の屈折力の異常による「屈折性」がある。日常的にみられる近視の多くは軸性近視である。
眼軸長の発達
・新生児の眼軸長は約17mmと短く、そのため新生児・乳児は遠視寄りである。 ・成長とともに眼軸は伸長し(短縮することはない)、学童期を通じて伸び、10代でほぼ成人の値に達する。この過程で遠視が減り正視に近づくことを正視化という。 ・眼軸が伸びすぎると近視となる。近年、学童期の近視の増加が問題となっており、近視進行の本質は眼軸長の過剰な伸長である。
強度近視・病的近視
・強度近視では眼軸長がおおむね26〜27mm以上、30mm前後に達することもある。 ・眼軸が過度に伸びると網膜・脈絡膜が引き伸ばされ、近視性脈絡膜新生血管、網脈絡膜萎縮、網膜剝離、緑内障などの合併症のリスクが高まる(病的近視)。
眼軸長の測定
・超音波Aモード法、または光干渉法による光学式眼軸長測定装置で測定する。 ・白内障手術で挿入する眼内レンズの度数計算には、眼軸長と角膜屈折力が必須である。
POINT
・成人正視眼の眼軸長は約24mm。 ・新生児は約17mmで遠視寄り、成長に伴い眼軸が伸びて正視化する。 ・眼軸が長い→近視、短い→遠視。眼軸長1mmで屈折はおよそ3D変化する。 ・強度近視では眼軸長が26〜30mm程度に延長し、病的近視の合併症リスクが上がる。 ・眼全体の屈折力は約60Dで、そのうち角膜が約2/3を担う。
