StudyMed医師国家試験

「8週間」と「翌日から」―産後休業は数字と起算日の2点で押さえる

第120回医師国家試験 C問題 第32問

国試問題にチャレンジ

第120回 C問題 第32問

産後休業期間で正しいのはどれか。

  1. a.出産翌日から4週間
  2. b.出産翌日から8週間
  3. c.出産翌日から1年間
  4. d.分娩予定日翌日から4週間
  5. e.分娩予定日翌日から8週間

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は働く女性の母性保護、そのなかでも産後休業の期間を問う問題だ。根拠となるのは労働基準法第65条。ポイントは「何週間か」と「どの日から数えるか」の2点だよ。まずは期間から考えてみよう。
医学生医学生
公衆衛生の講義で産前6週、産後8週と習った記憶があります。でも、どっちがどっちだったか少し自信がありません。
ドクタードクター
そこはよく混同されるところだね。産前休業が6週間、産後休業が8週間。産後のほうが長いと覚えておくといい。分娩で大きく変化した母体が回復するには時間がかかる、という理屈で考えると忘れにくいよ。
医学生医学生
なるほど、子宮復古や悪露が落ち着くのが産褥期の6〜8週間くらいでしたよね。産婦人科の実習で産褥の診察をしたとき、1か月健診の話も聞きました。
ドクタードクター
よく結びつけたね。産褥期はおおむね6〜8週間とされていて、それに対応するように産後休業の期間が設定されていると理解するとイメージしやすい。では次に起算日。産後8週間はどこから数える?
医学生医学生
分娩予定日から数えるのでしょうか。産前休業は予定日基準だったので、そろえたほうが分かりやすい気がします。
ドクタードクター
そこが落とし穴なんだ。産前休業は出産前だから予定日を基準にするしかない。でも産後休業は、実際に出産した日を基準にして、その翌日から数える。出産当日は産前休業に含まれるという扱いだよ。
医学生医学生
予定日より遅れて生まれたらどうなるんですか。
ドクタードクター
予定日から実際の出産日までの期間も産前休業として扱われる。そして産後8週間は、あくまで実際の出産日の翌日からスタートする。もし予定日を基準にしてしまうと、出産が遅れた場合は産後の休みが削られ、早まった場合は逆にずれてしまう。母体の回復を守るという趣旨からすれば、実際の出産日を基準にするのが筋なんだ。
医学生医学生
そうすると、正解は出産翌日から8週間ですね。出産翌日から4週間は起算日は合っていても期間が短すぎて、予定日翌日から8週間は期間は合っていても起算日が違う、と。
ドクタードクター
その通り。予定日翌日から4週間は起算日も期間も両方誤り。それから出産翌日から1年間という選択肢、これはどこから来た数字だと思う?
医学生医学生
育児休業が原則として子どもが1歳までだったので、それと混ぜているのかなと思いました。
ドクタードクター
正解。育児・介護休業法の育児休業は原則子が1歳まで、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長できる。もう一つ、労働基準法の育児時間も「生後1年未満の子」が対象で、1日2回、各30分以上を請求できる。「1年」が出てきたら産後休業ではなくこれらを思い出そう。
医学生医学生
産前と産後で、休むのが本人の希望次第かどうかにも違いがあった気がします。
ドクタードクター
大事な点だね。産前休業は本人が請求した場合に取得できる任意のもの。一方、産後休業は本人が請求しなくても就業させてはならない強制休業だ。ただし産後6週間を過ぎて、本人が請求し、医師が支障なしと認めた業務に限っては働いてもよいとされている。
医学生医学生
産後6週以降なら医師の判断が関わるんですね。将来、診断書や意見を求められることもありそうです。
ドクタードクター
まさに臨床医として関わる場面だよ。ほかにも、妊産婦が請求すれば時間外・休日労働や深夜業をさせてはならないこと、妊娠中の軽易業務への転換、多胎妊娠では産前休業が14週間になることも押さえておきたい。それから、労働基準法上の出産は妊娠4か月以上の分娩を指し、死産や人工妊娠中絶も含まれるから、その場合も産後休業の対象になる。
医学生医学生
お金の面では、健康保険の出産手当金が産前42日、産後56日の範囲で出るんでしたよね。56日はちょうど8週間です。
ドクタードクター
よく気づいたね。制度同士の数字がつながっていると覚えやすい。さらに、男女雇用機会均等法では医師の指導に基づく通勤緩和や勤務時間短縮などの措置が事業主に義務づけられていて、その伝達に母性健康管理指導事項連絡カードが使われる。妊婦健診の外来で記載を頼まれることもあるから、名前だけでも覚えておこう。

まとめ

労働基準法第65条により、産後休業は実際の出産日の翌日から8週間と定められ、本人の請求の有無にかかわらず就業させてはならない強制休業です。ただし産後6週間を経過し、本人が請求して医師が支障なしと認めた業務に限り就業できます。これに対し産前休業は分娩予定日を基準とする6週間(多胎妊娠では14週間)で、本人の請求により取得する任意の休業であり、出産当日は産前に含まれます。「1年」という数字は育児休業(原則子が1歳まで)や育児時間(生後1年未満の子)に関係するもので、産後休業と混同しないことが大切です。期間と起算日、任意か強制かを整理しておくことは、試験対策だけでなく、妊産婦の就労について医師として意見を求められる場面でも役立ちます。

解答・解説

正解はbです

働く女性の母性保護のうち、出産前後の休業は労働基準法第65条に定められている。問われているのは産後休業の「期間の長さ」と「どの日から数えるか(起算日)」の2点である。

期間

産後休業は8週間である。産前休業(6週間)と混同しないことが大切である。

起算日

産前休業は分娩予定日を基準に数える。一方、産後休業は実際に出産した日を基準にし、その翌日から数える。出産当日は産前休業に含まれる。予定日より遅れて出産した場合、予定日から実際の出産日までも産前休業として扱われ、産後8週間は実際の出産日の翌日から始まる。 以上から、産後休業は「出産翌日から8週間」となる。

選択肢考察

  1. ×a.  出産翌日から4週間

    起算日(出産翌日)は合っているが、期間が短い。法律で定められた産後休業は8週間であり、4週間ではない。

  2. ○b.  出産翌日から8週間

    労働基準法第65条第2項は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないと定めている。期間は実際の出産日の翌日から数える。したがって産後休業は出産翌日から8週間である。この期間の休業は本人が請求しなくても強制的に適用される。ただし産後6週間を過ぎた後に本人が請求し、医師が支障なしと認めた業務に限っては就業させてもよい。

  3. ×c.  出産翌日から1年間

    1年間は産後休業ではない。子が1歳になるまでという期間は、育児・介護休業法の育児休業(原則子が1歳まで、条件により最長2歳まで延長可)や、労働基準法の育児時間(生後1年未満の子を育てる女性が1日2回各30分以上請求できる)に関係する数字である。産後休業と取り違えないこと。

  4. ×d.  分娩予定日翌日から4週間

    起算日も期間も誤りである。分娩予定日を基準にするのは産前休業(6週間)であり、産後休業は実際の出産日の翌日から数える。期間も8週間である。

  5. ×e.  分娩予定日翌日から8週間

    期間(8週間)は合っているが、起算日が誤りである。産後休業は分娩予定日ではなく実際の出産日の翌日から数える。予定日と実際の出産日がずれた場合、予定日を基準にすると産後の休業期間が実際より短くなったり長くなったりしてしまう。

労働基準法の主な母性保護規定

・産前休業(第65条第1項): 出産予定日の6週間前(多胎妊娠では14週間前)から、本人が請求すれば休業できる。請求がなければ就業してもよい。 ・産後休業(第65条第2項): 出産翌日から8週間は就業させてはならない(本人の請求の有無に関係なく強制)。産後6週間を経過し、本人が請求して医師が支障なしと認めた業務に限り就業できる。 ・軽易業務への転換(第65条第3項): 妊娠中の女性が請求すれば、他の軽易な業務へ転換させなければならない。 ・妊産婦の時間外労働・休日労働・深夜業の制限(第66条): 妊産婦(妊娠中および産後1年を経過しない女性)が請求すれば、これらをさせてはならない。 ・育児時間(第67条): 生後満1年に達しない子を育てる女性は、通常の休憩時間とは別に1日2回、各30分以上の育児時間を請求できる。 ・危険有害業務の就業制限(第64条の3): 妊産婦を重量物を扱う業務や有害ガスが発生する場所での業務などに就かせてはならない。

「出産」の範囲

労働基準法上の出産は妊娠4か月(85日)以上の分娩を指し、死産や人工妊娠中絶も含まれる。このような場合も産後休業の対象となる。

関連制度

・育児休業(育児・介護休業法): 原則として子が1歳になるまで取得でき、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長できる。父親も取得できる。 ・出生時育児休業(いわゆる産後パパ育休): 子の出生後8週間以内に、最大4週間まで(2回まで分割可)取得できる。 ・出産手当金(健康保険法): 被保険者本人が出産のため仕事を休み給与を受けられない期間(産前42日〔多胎98日〕、産後56日の範囲)に支給される。 ・男女雇用機会均等法: 妊娠中・出産後の健康診査等を受けるための時間の確保や、医師の指導に基づく措置(通勤緩和、休憩、勤務時間の短縮など)を事業主に義務づけている。母性健康管理指導事項連絡カードはこの措置の伝達に使われる。

POINT

・産前休業: 出産予定日の6週間前(多胎14週間前)から、本人の請求により取得(任意)。 ・産後休業: 出産翌日から8週間、就業禁止(強制)。産後6週以降は本人の請求と医師の許可があれば就業可。 ・起算日の違い: 産前は予定日基準、産後は実際の出産日の翌日から。出産当日は産前に含まれる。 ・「1年」が出てくるのは育児時間(生後1年未満の子)や育児休業(原則子が1歳まで)。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。