StudyMed医師国家試験

病床は「どこで」数えるか―基準病床数と医療圏の地図を読み解く

第119回医師国家試験 F問題 第31問

国試問題にチャレンジ

第119回 F問題 第31問

医療計画において二次医療圏単位で基準病床数が設定されるのはどれか。2つ選べ。

  1. a.一般病床
  2. b.結核病床
  3. c.精神病床
  4. d.療養病床
  5. e.感染症病床

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は医療計画の中の「基準病床数」がテーマだ。病床の種類ごとに、どの広さの地域を単位として数を決めているのか。ポイントは「その病床がどれくらい身近に必要か」という視点だよ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で医療圏は習いましたが、病床の種類と結びつけて覚えた記憶はあまりないです。
ドクタードクター
まずは土台から整理しよう。医療計画は医療法に基づいて都道府県が策定する計画で、今は6年ごとに作られる。2024年度から始まったのが第8次医療計画だね。その中で、病床の地域的な偏りを是正するために決める整備目標が基準病床数なんだ。
医学生医学生
人口が多い地域にたくさん、という単純な話ではないんですか。
ドクタードクター
人口は大事な要素だけど、それだけじゃない。性別・年齢構成、病床利用率、平均在院日数などを使って、国が示す算定式で計算する。高齢者の多い地域なら必要な病床も増える、という具合だね。次に医療圏を確認しよう。一次から三次まで言えるかな。
医学生医学生
一次医療圏は市町村くらいで日常の外来、二次医療圏は複数の市町村で一般的な入院医療、三次医療圏は原則都道府県で高度な医療…でしたよね。
ドクタードクター
その通り。補足すると、一次医療圏は医療法上の規定はなく、二次医療圏は全国に約330ある。三次医療圏は原則都道府県単位だけど、北海道は複数に分かれているんだ。では本題。医療法上の病床は5種類あるけれど、挙げられる?
医学生医学生
一般病床、療養病床、精神病床、結核病床、感染症病床です。CBTの直前に語呂で覚えました。
ドクタードクター
よし。このうち二次医療圏ごとに基準病床数を定めるのが一般病床と療養病床だ。どちらも日常的な入院医療の多くを担っていて、住民の生活圏の近くで確保されるべき病床だからね。しかも、この2つは別々ではなく合算して1つの数値として設定される。
医学生医学生
療養病床は長期療養の患者さんが入るところですよね。家族が面会に通うことを考えると、身近な地域にあるべきなのは納得です。
ドクタードクター
いい視点だね。急性期の一般病床も、慢性期の療養病床も、地域に根ざした医療そのものなんだ。一方、精神病床はどうだろう。
医学生医学生
精神疾患は5疾病にも入っていて患者さんも多いので、二次医療圏単位かと思ってしまいました。
ドクタードクター
そこが引っかかりやすいところ。精神病床・結核病床・感染症病床の3つは、都道府県の区域ごとに設定される。三次医療圏に相当すると考えてよいけれど、厳密には「都道府県の区域」と規定されている点も意識しておこう。精神医療は専門性が高く、広域で体制を整えるほうが合理的だと考えられているんだ。
医学生医学生
結核病床は、患者数が減っているうえに陰圧の個室みたいな設備が必要だから、集約したほうがいいということですね。
ドクタードクター
その通り。感染症病床も同じ発想で、一類・二類感染症や新型インフルエンザ等感染症の患者を受け入れるために、特定・第一種・第二種感染症指定医療機関に設けられる。高度な感染防止設備が必要だから、各二次医療圏に分散させるより広域で集約して整備するわけだ。
医学生医学生
身近さが必要な一般・療養は二次医療圏、専門性が高く集約すべき精神・結核・感染症は都道府県単位。この対比で覚えればいいですね。
ドクタードクター
完璧だ。では発展として、基準病床数が実際にどう効いてくるかも押さえておこう。既存の病床数が基準病床数を上回る地域を病床過剰地域という。そこでは新しい病院の開設や増床について、都道府県知事は公的医療機関には許可を与えないことができ、民間の医療機関には中止や削減を勧告できるんだ。
医学生医学生
勧告に従わなかったらどうなるんですか。
ドクタードクター
保険医療機関の指定を行わないことがある。日本では保険診療ができないと経営が成り立ちにくいから、実質的に強い抑止力になる。それから医療計画には、5疾病・6事業と在宅医療、地域医療構想、医療従事者の確保なども盛り込まれている。6事業には新興感染症の発生・まん延時の医療が第8次から加わったことも要チェックだね。
医学生医学生
臨床実習で地域の病院を回ったとき、病床を増やしたくても簡単には増やせないと院長先生が話していた理由がやっとわかりました。
ドクタードクター
制度を知ると現場の声の背景が見えてくるよね。病床の配置は地域の医療へのアクセスに直結するから、将来どこで働くにしても役立つ知識だよ。

まとめ

医療計画は医療法に基づき都道府県が策定する計画で、病床の地域偏在を是正するための整備目標として基準病床数が定められます。医療法上の病床は5種類あり、日常的な入院医療を担う一般病床と療養病床は二次医療圏ごとに合算して設定され、専門性が高く広域での集約が合理的な精神病床・結核病床・感染症病床は都道府県の区域(三次医療圏に相当)ごとに設定されます。既存病床数が基準病床数を超える病床過剰地域では、公的医療機関への開設・増床の不許可や民間医療機関への勧告が可能で、勧告に従わなければ保険医療機関の指定を行わないこともあります。「身近さが求められる病床か、集約すべき病床か」という視点で整理すると、医療圏と病床の関係を論理的に理解でき、地域医療の仕組みを考える土台になります。

解答・解説

正解はa, dです

医療計画における基準病床数の設定単位を問う問題である。

医療計画と基準病床数

医療計画は、医療法に基づいて各都道府県が地域の実情に応じて策定する計画で、現在は6年ごと(第8次医療計画は2024年度から)に作成される。その中で、病床の地域的な偏在を是正し、病床の整備目標とするために定められるのが基準病床数である。基準病床数は、人口・性別年齢構成・病床利用率・平均在院日数などをもとに、国が示す算定式に従って算出される。

病床の種類と設定単位

医療法上の病床は、一般病床・療養病床・精神病床・結核病床・感染症病床の5種類に区分される。 ・一般病床と療養病床:日常的な入院医療の多くを担い、住民の生活圏に近い範囲で確保される必要があるため、二次医療圏ごとに設定される。両者は区別せず合算した1つの数値として定められる。 ・精神病床・結核病床・感染症病床:対象患者が少ない、あるいは専門性が高く広域で集約して整備するのが合理的であるため、都道府県の区域ごと(原則として三次医療圏に相当)に設定される。 したがって、二次医療圏単位で設定されるのは一般病床と療養病床である。

選択肢考察

  1. ○a.  一般病床

    一般病床は、急性期を中心に幅広い入院医療を担う病床であり、住民が日常生活圏内で受診できることが求められる。このため基準病床数は二次医療圏ごとに、療養病床と合算して設定される。

  2. ×b.  結核病床

    結核病床は結核患者を入院させるための病床で、患者数が減少しており、専門的な感染対策設備も必要となるため、広域で集約して整備される。基準病床数は二次医療圏単位ではなく、都道府県の区域(三次医療圏に相当)ごとに設定される。

  3. ×c.  精神病床

    精神病床は精神疾患患者を入院させるための病床である。基準病床数は二次医療圏単位ではなく、都道府県の区域(三次医療圏に相当)ごとに設定される。

  4. ○d.  療養病床

    療養病床は、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床である。地域の生活に密着した医療提供が求められるため、一般病床と合算したうえで二次医療圏ごとに基準病床数が設定される。

  5. ×e.  感染症病床

    感染症病床は、感染症法に規定される一類・二類感染症や新型インフルエンザ等感染症などの患者を入院させるための病床で、特定・第一種・第二種感染症指定医療機関に設けられる。高度な感染防止設備が必要で広域で集約して整備されるため、基準病床数は都道府県の区域(三次医療圏に相当)ごとに設定される。

医療圏

一次医療圏:住民の日常的な外来診療・保健指導などを担う単位で、おおむね市町村。医療法上の規定はない。 二次医療圏:一般的な入院医療(特殊な医療を除く)を完結させることを目指す単位。複数の市町村からなり、全国に約330ある。一般病床・療養病床の基準病床数の設定単位。 三次医療圏:先進的・特殊な医療(高度救命救急、臓器移植など)を提供する単位で、原則として都道府県(北海道は複数の三次医療圏に分かれる)。

基準病床数の役割

既存病床数が基準病床数を超える地域(病床過剰地域)では、新たな病院開設や増床について、都道府県知事が公的医療機関には許可を与えないことができ、民間の医療機関には中止や削減を勧告できる。勧告に従わない場合には、保険医療機関の指定を行わないことがある。

病床の種類(医療法)

一般病床、療養病床、精神病床、結核病床、感染症病床の5種類。

医療計画の主な記載事項

5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)と6事業(救急医療、災害時医療、新興感染症発生・まん延時の医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)および在宅医療に関する事項、地域医療構想、医療従事者の確保、外来医療に係る医療提供体制の確保、基準病床数などが定められる。

POINT

・基準病床数は医療法に基づき、都道府県が医療計画の中で定める。 ・一般病床と療養病床:二次医療圏ごと(両者を合算して設定)。 ・精神病床・結核病床・感染症病床:都道府県の区域ごと(三次医療圏に相当)。 ・病床過剰地域では新規開設・増床が規制される。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。