病床は「どこで」数えるか―基準病床数と医療圏の地図を読み解く
第119回医師国家試験 F問題 第31問
国試問題にチャレンジ
医療計画において二次医療圏単位で基準病床数が設定されるのはどれか。2つ選べ。
- a.一般病床
- b.結核病床
- c.精神病床
- d.療養病床
- e.感染症病床
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
医療計画は医療法に基づき都道府県が策定する計画で、病床の地域偏在を是正するための整備目標として基準病床数が定められます。医療法上の病床は5種類あり、日常的な入院医療を担う一般病床と療養病床は二次医療圏ごとに合算して設定され、専門性が高く広域での集約が合理的な精神病床・結核病床・感染症病床は都道府県の区域(三次医療圏に相当)ごとに設定されます。既存病床数が基準病床数を超える病床過剰地域では、公的医療機関への開設・増床の不許可や民間医療機関への勧告が可能で、勧告に従わなければ保険医療機関の指定を行わないこともあります。「身近さが求められる病床か、集約すべき病床か」という視点で整理すると、医療圏と病床の関係を論理的に理解でき、地域医療の仕組みを考える土台になります。
解答・解説
正解はa, dです
医療計画における基準病床数の設定単位を問う問題である。
医療計画と基準病床数
医療計画は、医療法に基づいて各都道府県が地域の実情に応じて策定する計画で、現在は6年ごと(第8次医療計画は2024年度から)に作成される。その中で、病床の地域的な偏在を是正し、病床の整備目標とするために定められるのが基準病床数である。基準病床数は、人口・性別年齢構成・病床利用率・平均在院日数などをもとに、国が示す算定式に従って算出される。
病床の種類と設定単位
医療法上の病床は、一般病床・療養病床・精神病床・結核病床・感染症病床の5種類に区分される。 ・一般病床と療養病床:日常的な入院医療の多くを担い、住民の生活圏に近い範囲で確保される必要があるため、二次医療圏ごとに設定される。両者は区別せず合算した1つの数値として定められる。 ・精神病床・結核病床・感染症病床:対象患者が少ない、あるいは専門性が高く広域で集約して整備するのが合理的であるため、都道府県の区域ごと(原則として三次医療圏に相当)に設定される。 したがって、二次医療圏単位で設定されるのは一般病床と療養病床である。
選択肢考察
- ○a. 一般病床
一般病床は、急性期を中心に幅広い入院医療を担う病床であり、住民が日常生活圏内で受診できることが求められる。このため基準病床数は二次医療圏ごとに、療養病床と合算して設定される。
- ×b. 結核病床
結核病床は結核患者を入院させるための病床で、患者数が減少しており、専門的な感染対策設備も必要となるため、広域で集約して整備される。基準病床数は二次医療圏単位ではなく、都道府県の区域(三次医療圏に相当)ごとに設定される。
- ×c. 精神病床
精神病床は精神疾患患者を入院させるための病床である。基準病床数は二次医療圏単位ではなく、都道府県の区域(三次医療圏に相当)ごとに設定される。
- ○d. 療養病床
療養病床は、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床である。地域の生活に密着した医療提供が求められるため、一般病床と合算したうえで二次医療圏ごとに基準病床数が設定される。
- ×e. 感染症病床
感染症病床は、感染症法に規定される一類・二類感染症や新型インフルエンザ等感染症などの患者を入院させるための病床で、特定・第一種・第二種感染症指定医療機関に設けられる。高度な感染防止設備が必要で広域で集約して整備されるため、基準病床数は都道府県の区域(三次医療圏に相当)ごとに設定される。
医療圏
一次医療圏:住民の日常的な外来診療・保健指導などを担う単位で、おおむね市町村。医療法上の規定はない。 二次医療圏:一般的な入院医療(特殊な医療を除く)を完結させることを目指す単位。複数の市町村からなり、全国に約330ある。一般病床・療養病床の基準病床数の設定単位。 三次医療圏:先進的・特殊な医療(高度救命救急、臓器移植など)を提供する単位で、原則として都道府県(北海道は複数の三次医療圏に分かれる)。
基準病床数の役割
既存病床数が基準病床数を超える地域(病床過剰地域)では、新たな病院開設や増床について、都道府県知事が公的医療機関には許可を与えないことができ、民間の医療機関には中止や削減を勧告できる。勧告に従わない場合には、保険医療機関の指定を行わないことがある。
病床の種類(医療法)
一般病床、療養病床、精神病床、結核病床、感染症病床の5種類。
医療計画の主な記載事項
5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)と6事業(救急医療、災害時医療、新興感染症発生・まん延時の医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)および在宅医療に関する事項、地域医療構想、医療従事者の確保、外来医療に係る医療提供体制の確保、基準病床数などが定められる。
POINT
・基準病床数は医療法に基づき、都道府県が医療計画の中で定める。 ・一般病床と療養病床:二次医療圏ごと(両者を合算して設定)。 ・精神病床・結核病床・感染症病床:都道府県の区域ごと(三次医療圏に相当)。 ・病床過剰地域では新規開設・増床が規制される。
