「ぽこっ」と感じる日はいつ?―胎動の初覚と妊娠週数のカレンダー
第119回医師国家試験 B問題 第20問
国試問題にチャレンジ
妊婦が胎動を感じ始める妊娠週数はどれか。
- a.4
- b.12
- c.20
- d.28
- e.36
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
胎児は妊娠7〜8週ころから超音波で体動が確認できますが、母体が胎動を初めて自覚する初覚胎動は、初産婦で妊娠18〜20週ころ、経産婦では16〜18週ころとやや早くなります。妊娠20週は子宮底がほぼ臍の高さに達する時期でもあり、選択肢の中では20週が最も合致します。関連する週数として、尿妊娠反応陽性は4週ころ、器官形成期の終了は12週ころ、循環血液量の最大は28〜32週ころ、児頭の下降は36週ころと整理しておくと便利です。胎動の減少・消失は胎児の状態悪化のサインとなり得るため、NSTやbiophysical profile scoringなどによる胎児健常性の評価につなげる知識は、妊婦健診や産科救急の現場で直接役立ちます。
解答・解説
正解はcです
妊娠中の母体と胎児の変化を、妊娠週数と結びつけて覚えているかを問う問題である。 胎児そのものは妊娠7〜8週ころから超音波断層法で体動が確認できるほど早くから動いている。しかし胎児がまだ小さく、子宮壁を内側から押す力も弱いため、妊婦自身がそれを「胎動」として自覚できるのはずっと後になる。妊婦が初めて胎動を感じることを初覚胎動(quickening)といい、初産婦ではおおむね妊娠18〜20週、経産婦では以前の経験があるため感覚に気づきやすく、妊娠16〜18週ころとやや早い。 したがって、選択肢の中で初覚胎動の時期に最も合致するのは妊娠20週である。ほかの選択肢の週数も、それぞれ妊娠経過上の重要な出来事と対応しているので、あわせて整理しておくとよい。
選択肢考察
- ×a. 4
誤り。妊娠4週は次の月経予定日のころにあたり、胎嚢すらまだ超音波で確認しにくい時期である。尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が増えて市販の尿妊娠検査薬が陽性になり始める時期であり、自覚的な変化は月経の遅れが中心で、早い人ではつわり(悪阻)の始まりを感じる程度である。胎動を感じることはない。
- ×b. 12
誤り。妊娠12週ころまでは主要な器官が形づくられる器官形成期(特に妊娠4〜7週が薬剤などの影響を最も受けやすい絶対過敏期)であり、12週ころにはその主要部分が完了する。超音波では児頭大横径(BPD)がおよそ2cm程度で、ドプラ法で胎児心拍が聴取できるようになる時期でもある。胎児は子宮内で動いているが、まだ小さく母体が胎動として自覚することはできない。
- ○c. 20
正しい。初産婦が初めて胎動を自覚するのは妊娠18〜20週ころであり、経産婦ではそれより早く16〜18週ころに気づくことが多い。妊娠20週前後では子宮底が臍の高さ付近に達し、胎児も十分に大きくなって子宮壁を押す力が強まるため、妊婦が下腹部の「ぴくぴく」「ぽこぽこ」とした感覚として認識できるようになる。
- ×d. 28
誤り。妊娠28週の時点では、胎動はすでに十分に自覚されており、むしろ活発に感じられる時期である。妊娠28〜32週ころは循環血液量の増加がピークに達する時期(非妊時より約40〜50%増加)で、妊娠中期から後期にかけて胎位が頭位に落ち着いていく時期でもある。初覚胎動の時期としては遅すぎる。
- ×e. 36
誤り。妊娠36週ころには、特に初産婦で児頭が骨盤入口に向かって下降・陥入し始め、子宮底がやや下がる。その結果、横隔膜や胃への圧迫が和らぎ、妊婦は呼吸や食事が楽になったと感じる一方、膀胱が圧迫されて頻尿になりやすい。胎動は妊娠初期から中期の段階ですでに自覚されており、この時期に初めて感じるわけではない。
妊娠週数と主な出来事の整理
・妊娠4週ころ:尿妊娠反応が陽性になり始める。 ・妊娠5週ころ:経腟超音波で胎嚢(GS)が確認できる。 ・妊娠6〜7週ころ:経腟超音波で胎児心拍が確認できる。 ・妊娠12週ころ:器官形成期がほぼ終了。ドプラ法で胎児心拍が聴取できる。 ・妊娠16週ころ:胎盤が完成する。 ・妊娠18〜20週ころ:初産婦が胎動を自覚する(経産婦は16〜18週ころ)。子宮底は20週でほぼ臍の高さ。 ・妊娠28〜32週ころ:循環血液量が最大となる。 ・妊娠36週ころ:児頭が骨盤内に下降し始め、上腹部の圧迫感が軽くなる。
胎動と胎児健常性の評価
胎動は胎児が元気であることを示す重要なサインである。胎児の状態が悪化すると、胎児死亡に先立って胎動が減少・消失することがある。そのため妊婦には日ごろから胎動を意識するよう指導し、胎動の減少や消失を訴えて受診した場合には、胎児の健常性(well-being)を評価する。主な方法として、ノンストレステスト(NST:子宮収縮のない状態で胎児心拍数の一過性頻脈の有無をみる検査)、超音波による羊水量の計測、ドプラ法による臍帯動脈などの血流計測、胎児の呼吸様運動・体動・筋緊張・羊水量とNSTを組み合わせて点数化するbiophysical profile scoring(BPS)、子宮収縮を誘発して胎児心拍の反応をみるコントラクションストレステスト(CST)などがある。
POINT
・妊婦が胎動を初めて自覚するのは妊娠18〜20週ころ(初産婦)、経産婦は16〜18週ころとやや早い。 ・超音波では胎児の体動は妊娠7〜8週ころから見えるが、母体の自覚はずっと遅い。 ・胎動の減少・消失は胎児の状態悪化のサインであり、NST、BPSなどで胎児健常性を評価する。 ・関連する週数:尿妊娠反応陽性4週、器官形成期〜12週、循環血液量最大28〜32週、児頭下降36週ころ。
