「誰かのため」か「みんなのため」か―ホームドアが教えるユニバーサルデザインの本質
第118回医師国家試験 F問題 第1問
国試問題にチャレンジ
ユニバーサルデザインはどれか。
- a.手話通訳
- b.電動車椅子
- c.点字ブロック
- d.障害者用駐車場
- e.駅のホームドア(転落防止柵)
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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ドクター
医学生
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医学生
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医学生
ドクターまとめ
ユニバーサルデザインは、年齢・体格・言語・障害の有無にかかわらず、最初からできるだけ多くの人が使いやすいよう設計する考え方で、ロナルド・メイスが提唱しました。これに対しバリアフリーは、高齢者や障害者など特定の人にとっての既存の障壁を取り除く考え方であり、点字ブロックや障害者用駐車場が代表例です。手話通訳や電動車椅子も特定の障害を補う支援手段・福祉用具であり、ユニバーサルデザインには当たりません。駅のホームドアは視覚障害者に限らず乗客全員の転落を防ぎ、「公平な利用」や「失敗に対する寛容性」といった7原則に合致する代表例です。両者の違いを「恩恵が誰に向くか」で整理しておくことは、多様な患者を迎える医療現場の環境づくりを考えるうえでも役立ちます。
解答・解説
正解はeです
【テーマ】ユニバーサルデザインとバリアフリーの違い ユニバーサルデザイン(universal design)とは、年齢、性別、体格、言語や文化、障害の有無などにかかわらず、できる限り多くの人が最初から利用しやすいように製品・建物・環境・サービスを設計するという考え方である。米国の建築家ロナルド・メイス(Ronald Mace)が提唱した。特定の人のために「後から付け加える」のではなく、「はじめから全員を想定して作る」点に本質がある。 これに対し、バリアフリー(barrier-free)は、高齢者や障害者などが生活するうえで障壁(バリア)となっているものを取り除くという考え方である。対象は主に特定の人々であり、既存の障壁への対策という性格が強い。
解き方
各選択肢について「障害のない人も含め、誰もが同じように使い、その恩恵を受けるものか」「特定の障害がある人のための支援・補助具・専用設備か」を判断すればよい。手話通訳、電動車椅子、点字ブロック、障害者用駐車場は、いずれも特定の障害をもつ人を対象とした支援手段や設備であり、バリアフリーや福祉用具・合理的配慮の範疇に入る。駅のホームドアは、視覚障害者に限らず、乗客全員の転落や列車との接触を防ぐ設備であり、ユニバーサルデザインの例である。
選択肢考察
- ×a. 手話通訳
手話通訳は、聴覚障害者(特に手話を第一言語とするろう者)と聴者との間の意思疎通を仲介する情報保障の手段である。障害による情報やコミュニケーションの障壁を取り除くための個別的支援であり、誰もが使う設計ではないためユニバーサルデザインには当たらない。障害者差別解消法でいう合理的配慮やバリアフリーの文脈で理解すべきものである。
- ×b. 電動車椅子
電動車椅子は、歩行や自力での車椅子操作が困難な人の移動を補う福祉用具(補装具)である。歩行に支障のない人が日常的に用いるものではなく、特定の機能障害を補うための個人用の道具であるから、ユニバーサルデザインではない。
- ×c. 点字ブロック
点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)は、足裏や白杖で突起を感じ取ることで、視覚障害者に進行方向(線状ブロック)や注意すべき場所(点状ブロック)を知らせる設備であり、日本で考案されたものである。視覚障害者を対象としたバリアフリー設備であり、全員のための設計ではない。むしろ車椅子利用者やベビーカーにとっては段差となることもあり、誰にとっても使いやすいとは言えない。
- ×d. 障害者用駐車場
障害者用駐車場は、車椅子の乗降に必要な広さを確保し、出入口に近い位置に設けるなど、障害者などの利用を前提に設けられた専用区画である。利用者が限定されており、誰もが使えるものではないためユニバーサルデザインには該当しない。障害者のための環境整備として、バリアフリーに分類される。
- ○e. 駅のホームドア(転落防止柵)
ホームドアは、ホームからの転落や進入してくる列車との接触事故を防ぐ設備である。視覚障害者の転落防止の意味は大きいが、その恩恵は高齢者、子ども、酔客、スマートフォンを見ながら歩く人など、乗客全員に及ぶ。利用者を選ばず、特別な操作も必要とせず、誤った行動をしても危険に結びつきにくい(エラーへの寛容性)という点で、ユニバーサルデザインの考え方に合致する。
【ユニバーサルデザインの7原則】(米国ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターによる) 1. 誰でも公平に使えること(公平な利用) 2. 使ううえで自由度が高いこと(利用における柔軟性) 3. 使い方が簡単ですぐわかること(単純で直感的な利用) 4. 必要な情報がすぐに理解できること(認知できる情報) 5. うっかりミスや危険につながらないこと(失敗に対する寛容性) 6. 無理な姿勢や大きな力を必要とせず楽に使えること(少ない身体的努力) 7. 接近して使える寸法や空間が確保されていること(接近や利用のためのサイズと空間)
身近なユニバーサルデザインの例
・シャンプー容器側面のきざみ(目を閉じていてもリンスと区別できる) ・ピクトグラム(言語に依存しない案内表示) ・ノンステップバス、自動ドア、段差のない出入口 ・レバー式の水栓やドアノブ ・ホームドア
バリアフリーとの比較
・バリアフリー:特定の人(高齢者、障害者など)にとっての既存の障壁を取り除く。例:点字ブロック、手すりの後付け、スロープの設置、障害者用駐車場。 ・ユニバーサルデザイン:設計段階から、すべての人が使いやすいよう配慮する。 両者は対立する概念ではなく、ともに共生社会の実現を目指すものである。日本ではバリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)に基づき、公共交通機関や建築物の環境整備が進められている。
POINT
・ユニバーサルデザイン:年齢・障害の有無などにかかわらず、最初から誰もが使えるよう設計すること(提唱者ロナルド・メイス)。 ・バリアフリー:高齢者や障害者などにとっての障壁を除去すること。 ・手話通訳、電動車椅子、点字ブロック、障害者用駐車場は特定の人のための支援・設備であり、ユニバーサルデザインではない。 ・ホームドアは全乗客の安全に役立つため、ユニバーサルデザインの例である。
