「療養期」はどこにもない―病床機能報告の4区分と療養病床の取り違え
第117回医師国家試験 C問題 第5問
国試問題にチャレンジ
病床機能報告における病床機能の区分に含まれないのはどれか。
- a.高度急性期
- b.急性期
- c.回復期
- d.療養期
- e.慢性期
対話形式の解説
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医学生まとめ
病床機能報告は2014年の医療法改正で始まった制度で、一般病床・療養病床をもつ病院と有床診療所が、原則として病棟単位で現在と将来の医療機能を毎年都道府県に報告します。区分は高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つで、地域医療構想における2025年の必要病床数推計の区分と共通であり、「療養期」という区分は存在しません。「療養病床」は一般病床・精神病床・感染症病床・結核病床と並ぶ医療法上の病床種別の名称で、機能としては主に慢性期として報告されます。病床種別は法律上の区分、機能区分は病棟が実際に担う医療の段階を示すものと区別して理解することが重要です。この仕組みは地域全体での機能分化と連携の基盤であり、退院支援や転院調整など日常診療にも直結する知識です。
解答・解説
正解はdです
病床機能報告制度で使われる4つの医療機能区分を問う問題である。
病床機能報告とは
病床機能報告は、2014年の医療法改正(医療介護総合確保推進法による改正)で始まった制度である。一般病床または療養病床をもつ病院と有床診療所が対象となる。各医療機関は、自院の病床が現在担っている医療機能と、将来(6年後など)担う予定の医療機能を、原則として病棟単位で選び、毎年都道府県に報告する。
選ぶ区分は4つ
選択肢は「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つで、各病棟についてこの中から1つを選ぶ。この4区分は、都道府県が策定する地域医療構想で2025年の病床の必要量(必要病床数)を推計するときの区分と同じである。報告された現状と構想上の必要量を比べることで、地域ごとの病床機能の過不足が見えるようになる。それをもとに、医療機関の機能分化と連携を進めていく。 したがって、4区分に含まれない「療養期」が正解である。「療養病床」という病床種別(医療法上の病床区分)はあるが、病床機能報告の機能区分としての「療養期」は存在しない。両者を混同しないことが大切である。
選択肢考察
- ×a. 高度急性期
区分に含まれる。高度急性期機能は、急性期の患者の状態を早く安定させるために、診療密度が特に高い医療を提供する機能である。救命救急病棟、集中治療室(ICU)、ハイケアユニット(HCU)、新生児集中治療室(NICU)などが代表例である。
- ×b. 急性期
区分に含まれる。急性期機能は、急性期の患者の状態を早く安定させるために医療を提供する機能である。高度急性期ほど診療密度は高くないが、発症直後や増悪時の治療を担う一般的な急性期病棟がこれにあたる。
- ×c. 回復期
区分に含まれる。回復期機能は、急性期を過ぎた患者に、在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能である。とくに脳血管疾患や大腿骨頸部骨折などの患者に、日常生活動作(ADL)の向上と在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中して行う機能(回復期リハビリテーション機能)も含まれる。地域包括ケア病棟の多くもこの区分で報告される。
- ○d. 療養期
区分に含まれないので、これが正解である。病床機能報告の区分は高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つであり、「療養期」という区分はない。医療法の病床種別には、一般病床・療養病床・精神病床・感染症病床・結核病床がある。長期療養の患者を入院させる「療養病床」はこの病床種別の名称であり、機能区分の名称ではない。療養病床が担う機能は、病床機能報告では主に「慢性期」として報告される。
- ×e. 慢性期
区分に含まれる。慢性期機能は、長期にわたって療養が必要な患者を入院させる機能である。重い障害のある人(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者、難病患者などを入院させる機能もこれに含まれる。主に療養病床や障害者施設等の病棟が担う。
地域医療構想と病床機能報告
・地域医療構想: 2014年の医療法改正で制度化された。都道府県が医療計画の一部として策定し、構想区域(原則として二次医療圏)ごとに、2025年の医療需要と病床の必要量を4つの機能区分ごとに推計する。 ・病床機能報告: 医療機関が自院の病棟の機能を4区分から選んで報告する。現状と構想上の必要量の差を把握するための材料になる。 ・地域医療構想調整会議: 構想区域ごとに医療関係者や保険者などが集まり、機能分化と連携を話し合う場である。
医療法上の病床種別(機能区分とは別物)
一般病床、療養病床、精神病床、感染症病床、結核病床の5種類がある。病床種別は「どのような患者を入院させる病床か」を法律上区分したものである。病床機能報告の区分は「その病棟が実際にどの段階の医療を担っているか」を示すものである。
制度の背景
超高齢社会では、一つの医療機関がすべての段階の医療を担うことは難しい。急性期から回復期、慢性期、在宅医療・介護までを地域全体で切れ目なく提供するには、機能の分担と連携が必要になる。病床機能報告はそのための基礎データを集める仕組みである。
POINT
・病床機能報告の4区分は、高度急性期、急性期、回復期、慢性期である。 ・「療養期」という区分はない。「療養病床」は医療法上の病床種別であり、機能としては主に慢性期にあたる。 ・報告は原則として病棟単位で行い、毎年都道府県に提出する。 ・この4区分は地域医療構想の必要病床数推計の区分と同じである。
