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「亜急性期」はどこへ消えた?―地域医療構想の4つの病床機能を整理する

第116回医師国家試験 E問題 第9問

国試問題にチャレンジ

第116回 E問題 第9問

地域医療構想で用いられる病床機能区分に含まれないのはどれか。

  1. a.高度急性期
  2. b.急性期
  3. c.亜急性期
  4. d.回復期
  5. e.慢性期

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は公衆衛生の制度問題で、地域医療構想で使う病床機能区分がテーマだ。ポイントは、似た名前の用語が混ざっている中から、制度上に実在しない区分を見抜けるかどうか。まず、地域医療構想がどんな制度か覚えているかな。
医学生医学生
公衆衛生の講義で習いました。都道府県が将来の医療需要を推計して、必要な病床数を決める仕組みですよね。
ドクタードクター
その通り。2014年の医療介護総合確保推進法による医療法改正で制度化され、医療計画の一部として都道府県が策定する。二次医療圏を基本とした「構想区域」ごとに、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年の医療需要と病床の必要量を推計したんだ。
医学生医学生
病床の分け方というと、一般病床とか療養病床のことでしょうか。
ドクタードクター
そこが最初の落とし穴だね。一般病床・療養病床・精神病床・感染症病床・結核病床というのは医療法上の病床種別で、法的な区分だ。地域医療構想の病床機能区分はそれとは別物で、「どんな病期の患者に、どれくらいの密度の医療を提供しているか」で分ける。区分は高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つだよ。
医学生医学生
ということは、亜急性期はその4つに入っていないんですね。でも、病院実習で「亜急性期」という言葉を聞いた気がします。
ドクタードクター
聞き覚えがあるのは自然なんだ。かつて診療報酬に亜急性期入院医療管理料という評価があったからね。ただ2014年度の診療報酬改定で廃止され、地域包括ケア病棟入院料に再編された。病床機能区分としては、急性期を脱した患者の在宅復帰支援は回復期に含まれる。だから亜急性期が「含まれないもの」として正解になる。
医学生医学生
名前がもっともらしいだけに、ひっかけやすいですね。残りの4つの違いも確認したいです。高度急性期と急性期はどう分けるんですか。
ドクタードクター
どちらも急性期の患者の病状を早期に安定させる機能だけど、高度急性期はとりわけ密度の高い医療を行うところ。救命救急病棟、ICU、HCU、NICUなどが典型だ。急性期は手術や検査、治療を行う一般的な急性期病棟と考えればいい。
医学生医学生
救急科を回ったとき、ICUから一般病棟に移るのがまさに高度急性期から急性期への移動なんですね。回復期は回復期リハビリテーション病棟のイメージでいいですか。
ドクタードクター
いいイメージだね。回復期は急性期を経過した患者に在宅復帰に向けた医療やリハビリを提供する機能で、脳血管疾患や大腿骨頸部骨折の後にADLを上げるための集中的なリハビリもここに入る。慢性期は長期療養が必要な患者を入院させる機能で、重度の意識障害者や筋ジストロフィー、難病の患者などを受け入れる機能も含まれる。療養病床の多くがこれに当たる。
医学生医学生
高度急性期、急性期、回復期、慢性期と、患者さんの病期の流れに沿って並んでいると覚えればよさそうです。
ドクタードクター
その覚え方は実践的だね。もう少し発展させよう。一般病床や療養病床をもつ病院・有床診療所は、病棟ごとに現在の機能と将来の予定を毎年都道府県に報告する。これが病床機能報告制度だ。報告結果と構想上の必要量を比べると、地域で何が足りないかが見えてくる。
医学生医学生
実際にはどの機能が足りないとされているんですか。
ドクタードクター
推計では、急性期病床が過剰で回復期病床が不足する傾向が指摘されてきた。高齢化で「治す医療」から「治し、支える医療」へ需要が移っているのに、病床はまだ急性期中心だということだね。それを調整する協議の場が、医療機関や医師会、保険者、市町村などが参加する地域医療構想調整会議で、財源には地域医療介護総合確保基金が使われる。
医学生医学生
CBTでは医療計画の5疾病・6事業も出ましたが、地域医療構想はその医療計画の中の一部なんですね。つながりました。
ドクタードクター
そう、制度同士の位置関係を押さえると忘れにくい。なお、2025年以降を見据えて2040年頃に向けた新たな地域医療構想の検討も進んでいて、外来・在宅医療や介護との連携まで含める方向にある。その中で回復期の位置づけなど区分の見直しも議論されているから、最新の動向にも目を向けておこう。

まとめ

地域医療構想は2014年の医療法改正で制度化され、都道府県が医療計画の一部として構想区域ごとに将来の医療需要と病床の必要量を推計するものです。病床機能区分は高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つで、「亜急性期」という区分は存在せず、かつての診療報酬上の名称(現在は地域包括ケア病棟へ再編)と混同しないことが大切です。医療機関は病棟単位で病床機能を毎年都道府県に報告し(病床機能報告制度)、地域医療構想調整会議で機能分化と連携が協議されます。これらの機能区分は医療法上の病床種別(一般・療養・精神・感染症・結核)とは別の概念である点も整理しておきましょう。患者の病期の流れに沿って病床機能を理解することは、退院支援や地域連携を考える臨床の場面でも役立ちます。

解答・解説

正解はcです

地域医療構想とは、都道府県が二次医療圏を基本とする「構想区域」ごとに、将来(団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年)の医療需要と必要病床数を推計し、目指すべき医療提供体制とその実現に向けた施策を定めたものである。2014年の医療介護総合確保推進法による医療法改正で制度化され、都道府県が策定する医療計画の一部に位置づけられている。 この構想では、病床を「どのような病期の患者に、どの程度の密度の医療を提供しているか」という機能によって分類する。区分は高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つであり、一般病床・療養病床をもつ医療機関は、病棟ごとにいずれの機能に該当するかを毎年都道府県に報告する(病床機能報告制度)。 したがって本問は、この4区分を正確に覚えているかを問うている。選択肢のうち「亜急性期」はこの4区分に存在しない名称であり、これが正解となる。

選択肢考察

  1. ×a.  高度急性期

    4区分の一つである。急性期の患者に対し、病状を早期に安定させるため、とりわけ密度の高い医療を提供する機能を指す。救命救急病棟、集中治療室(ICU)、ハイケアユニット(HCU)、新生児集中治療室(NICU)などが典型例である。

  2. ×b.  急性期

    4区分の一つである。急性期の患者に対し、病状の早期安定化を目的として医療を提供する機能である。高度急性期ほどの集中的な管理は要しないが、手術・検査・治療などを行う一般的な急性期病棟がこれに当たる。

  3. ○c.  亜急性期

    地域医療構想の病床機能区分には「亜急性期」という区分は設けられていないため、これが「含まれないもの」として正解である。かつて診療報酬上に亜急性期入院医療管理料という評価が存在したが、2014年度の診療報酬改定で廃止され、急性期後の受け入れや在宅復帰支援を担う地域包括ケア病棟入院料へと再編された。病床機能区分としては、急性期を脱した患者への在宅復帰支援は「回復期」に含まれる。用語が似ているため混同しないよう注意が必要である。

  4. ×d.  回復期

    4区分の一つである。急性期を経過した患者に対し、在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能である。特に、脳血管疾患や大腿骨頸部骨折などの患者に対して日常生活動作(ADL)の向上と在宅復帰を目的に集中的なリハビリテーションを行う機能(回復期リハビリテーション病棟が代表例)もここに含まれる。

  5. ×e.  慢性期

    4区分の一つである。長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能であり、重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者、難病患者などを入院させる機能も含まれる。療養病床の多くがこれに該当する。

地域医療構想の背景

少子高齢化の進行により、医療需要の中心は「治す医療」から「治し、支える医療」へと移りつつあり、一方で医療を担う労働力人口は減少していく。限られた医療資源で質の高い医療を継続して提供するには、医療機関ごとの役割分担(機能分化)と連携を進める必要がある。そのための将来像を構想区域ごとに描いたものが地域医療構想である。

構想の主な内容

・2025年の医療需要と、4つの病床機能ごとの必要病床数(病床の必要量)の推計 ・目指すべき医療提供体制を実現するための施策 ・構想区域ごとに「地域医療構想調整会議」を設け、医療機関・医師会・保険者・市町村などが協議して機能分化を進める ・財源として地域医療介護総合確保基金が活用される

病床機能報告制度

一般病床・療養病床を有する病院・有床診療所は、病棟単位で現在の病床機能と将来の予定(6年後など)を毎年都道府県に報告する。この報告結果と構想上の必要病床数とを比較することで、各地域で過不足のある機能が明らかになる。推計では、急性期病床が過剰で回復期病床が不足する傾向が指摘されてきた。

医療法上の病床種別との違い

医療法上の病床種別(一般病床・療養病床・精神病床・感染症病床・結核病床)は法的な区分であり、地域医療構想の4つの病床機能区分とは別の概念である。混同しないようにしたい。

今後の動向

2025年以降を見据え、2040年頃に向けた新たな地域医療構想の検討が進められており、入院医療だけでなく外来・在宅医療、介護との連携も含めた構想へと拡大される方向である。その中で病床機能区分の見直し(回復期の位置づけの変更など)も議論されている。

POINT

・地域医療構想の病床機能区分は「高度急性期・急性期・回復期・慢性期」の4つ ・「亜急性期」という区分は存在しない(旧診療報酬上の名称と混同しない) ・医療機関は病棟単位で病床機能を毎年都道府県に報告する(病床機能報告制度) ・地域医療構想は2014年の医療法改正で制度化され、医療計画の一部として都道府県が策定する ・協議の場は地域医療構想調整会議

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。