StudyMed医師国家試験

10年で伸びたのはたった一つ―少子高齢化の「流れ」で解く人口統計

第116回医師国家試験 C問題 第26問

国試問題にチャレンジ

第116回 C問題 第26問

2009年に比較して2019年の数値が上昇しているのはどれか。

  1. a.総人口
  2. b.平均寿命
  3. c.年間出生数
  4. d.生産年齢人口
  5. e.合計特殊出生率

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、日本の主要な人口指標が10年間でどちらに動いたかを問う問題だ。細かい数値を丸暗記していなくても、この時期の日本で何が起きていたか、つまり「少子化」「高齢化」「人口減少」という大きな流れを押さえていれば解ける。まずはその流れをイメージしてみよう。
医学生医学生
少子高齢化なので、子どもに関する数字は下がって、高齢者に関する数字は上がっているはず、という感じでしょうか。
ドクタードクター
いいスタートだね。その発想で選択肢を「人口の量」「出生」「長寿」の3つのグループに分けてみると整理しやすい。まず総人口はどう動いたと思う?
医学生医学生
高齢者が増えている分、総人口はむしろ増えている気もするんですが…。
ドクタードクター
そこが引っかかりやすいところだ。高齢者が長生きしても、生まれる子どもが少なければ全体は減っていく。日本の総人口は2008年ごろの約1億2,800万人をピークに減少に転じていて、2009年の約1億2,751万人から2019年には約1億2,617万人に減っている。出生数が死亡数を下回る「自然減」が年々拡大しているのが主な理由だ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で、死亡数が出生数を上回る状態が続いていると習いました。高齢者が増えれば死亡数も増えるわけですね。
ドクタードクター
その通り。次は出生に関わる2つ、年間出生数と合計特殊出生率だ。
医学生医学生
出生数は100万人を割ったというニュースを覚えています。合計特殊出生率は一度少し回復したと聞いた気がするので、こちらは上がっているかもしれません。
ドクタードクター
記憶はかなり正確だよ。出生数は2009年の約107万人から2019年には約86.5万人まで減った。2016年に初めて100万人を下回り、2019年には90万人も割り込んでいる。合計特殊出生率は2005年に過去最低の1.26を記録したあと、2015年の1.45まで持ち直した。ただその後また低下して、2019年は1.36。2009年の1.37と比べるとわずかに低いんだ。
医学生医学生
途中で回復していても、始点と終点で比べると下がっている、というのがひっかけポイントなんですね。
ドクタードクター
そう。統計問題では「どの年とどの年を比べているか」を必ず確認しよう。ちなみに合計特殊出生率は15〜49歳の女性の年齢別出生率を足し合わせたもので、1人の女性が生涯に産む子どもの数の目安になる。人口を維持するには約2.07が必要とされるから、大きく下回ったままだ。では生産年齢人口は?
医学生医学生
15〜64歳の人口ですよね。少子化が長く続いているなら、そこも減っていると思います。
ドクタードクター
正解。生産年齢人口は1995年ごろの約8,700万人をピークに減少が続き、2009年の約8,149万人から2019年には約7,507万人になった。総人口に占める割合も6割を切っている。こうして見ると、人口の量と出生に関わる指標はすべて低下している。残る平均寿命はどうかな。
医学生医学生
平均寿命は伸び続けているので、これが上昇した指標ですね。
ドクタードクター
その通り、正解は平均寿命だ。平均寿命は0歳時点の平均余命のことで、2009年は男性79.59年・女性86.44年、2019年は男性81.41年・女性87.45年と男女とも延びている。がん、心疾患、脳血管疾患といった主要な死因による死亡率が改善したことが寄与している。
医学生医学生
CBTの勉強で、平均寿命と平均余命の違いがあいまいでした。平均寿命は「0歳の平均余命」と覚えればいいんですね。
ドクタードクター
それで大丈夫。発展として年齢3区分も押さえておこう。年少人口(0〜14歳)、生産年齢人口(15〜64歳)、老年人口(65歳以上)に分け、老年人口の割合を高齢化率と呼ぶ。7%超で高齢化社会、14%超で高齢社会、21%超で超高齢社会で、日本は2007年に21%を超え、2019年には28%を超えた。
医学生医学生
地域医療の実習で行った町では、高齢化率が4割近いと聞いて驚きました。
ドクタードクター
地域によっては全国平均よりずっと進んでいるからね。その後の動向も触れておくと、2023年には出生数が約72.7万人、合計特殊出生率は1.20と、いずれも過去最低を更新した。平均寿命は新型コロナウイルス感染症の流行期に一時的に短縮した年もあるが、長期的には高い水準を維持している。医療者としては、患者層の高齢化や地域の担い手不足を見据えて、在宅医療や多職種連携の重要性がさらに増していくことを意識しておきたいね。

まとめ

2009年から2019年にかけての日本では少子化・高齢化・人口減少が同時に進み、総人口、年間出生数、生産年齢人口、合計特殊出生率はいずれも低下し、上昇したのは平均寿命だけでした。総人口は2008年ごろ、生産年齢人口は1995年ごろをピークに減少しており、出生数は2016年に100万人を割り込みました。合計特殊出生率は2005年の1.26から一時回復したものの再び低下しているため、比較する年に注意が必要です。平均寿命は0歳時点の平均余命で、主要死因の死亡率改善により男女とも延び続けています。個々の数値を覚えるだけでなく人口動態の大きな流れをつかんでおくことが、統計問題の攻略にも、高齢化を見据えた医療の理解にも役立ちます。

解答・解説

正解はbです

問われていること

日本の人口に関する主要な指標について、2009年から2019年までの10年間の変化の方向(上昇か低下か)を問う問題である。

考え方

この10年間の日本は、少子化と高齢化が同時に進んだ時期にあたる。 ・少子化:年間出生数は100万人を割り込んで減り続け、合計特殊出生率も低い水準のまま横ばいからやや低下した。 ・人口減少:総人口は2008年ごろをピークに減少に転じた。 ・生産年齢人口の減少:15〜64歳人口は1990年代半ばから減少が続いている。 ・長寿化:医療の進歩や生活環境の改善により、平均寿命は男女とも延び続けた。 このように、人口の「量」に関わる指標や出生に関わる指標が軒並み低下するなかで、上昇したのは平均寿命だけである。細かい数値を覚えていなくても、「少子高齢化・人口減少」という大きな流れを押さえていれば正解に到達できる。

選択肢考察

  1. ×a.  総人口

    総務省の人口推計(各年10月1日現在)では、2009年の総人口は約1億2,751万人、2019年は約1億2,617万人であり、減少している。日本の総人口は2008年の約1億2,808万人をピークに減少に転じ、2011年以降は毎年減少が続いている。出生数が死亡数を下回る自然減が拡大していることが主因である。

  2. ○b.  平均寿命

    平均寿命とは0歳時点の平均余命のことである。2009年の簡易生命表では男性79.59年、女性86.44年であったが、2019年の簡易生命表では男性81.41年、女性87.45年となり、男女とも上昇している。がん・心疾患・脳血管疾患など主要死因による死亡率の改善が寄与している。選択肢の中で2009年より2019年の数値が高いのはこの指標のみである。

  3. ×c.  年間出生数

    人口動態統計によると、2009年の出生数は107万35人であったが、2019年には86万5,239人となり、約20万人減少した。2016年に初めて100万人を下回り、2019年には90万人も割り込んだ。出産年齢の女性人口の減少と晩婚化・未婚化が背景にある。

  4. ×d.  生産年齢人口

    生産年齢人口(15〜64歳の人口)は、2009年の約8,149万人から2019年には約7,507万人へと減少している。生産年齢人口は1995年の約8,700万人をピークに減少が続いており、総人口に占める割合も2019年には59.5%と、比較可能な1950年以降で最も低い水準になった。

  5. ×e.  合計特殊出生率

    合計特殊出生率(15〜49歳の女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が生涯に産む子どもの数の目安)は、2009年が1.37、2019年が1.36であり、わずかに低下している。2005年に過去最低の1.26を記録したのち2015年の1.45まで持ち直したが、その後再び低下に転じた。人口を維持するのに必要な水準(人口置換水準、約2.07)を大きく下回る状態が続いている。

主要な人口指標の整理(2009年 → 2019年)

・総人口:約1億2,751万人 → 約1億2,617万人(減少) ・平均寿命:男79.59年・女86.44年 → 男81.41年・女87.45年(上昇) ・出生数:107万35人 → 86万5,239人(減少) ・生産年齢人口:約8,149万人 → 約7,507万人(減少) ・合計特殊出生率:1.37 → 1.36(低下)

年齢3区分人口

・年少人口(0〜14歳)、生産年齢人口(15〜64歳)、老年人口(65歳以上)に分ける。 ・老年人口割合(高齢化率)は上昇を続け、2019年には28%を超えた。高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれ、日本は2007年に21%を超えた。

その後の動向

出生数と合計特殊出生率の低下はその後さらに進み、2023年には出生数約72.7万人、合計特殊出生率1.20となり、いずれも過去最低を更新した。平均寿命は新型コロナウイルス感染症の流行期に一時的に短縮した年もあるが、長期的には高い水準を維持している。

POINT

・2009年→2019年で上昇したのは平均寿命のみ(男81.41年、女87.45年〈2019年〉)。 ・総人口は2008年ごろをピークに減少、生産年齢人口は1995年ごろをピークに減少。 ・出生数は2016年に100万人を割り、2019年は約86.5万人。 ・合計特殊出生率は2005年に1.26で底を打った後やや回復したが、再び低下傾向。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。