StudyMed医師国家試験

「何年吸ったか」を正しく数える―禁煙期間を差し引く喫煙指数の計算

第116回医師国家試験 B問題 第18問

国試問題にチャレンジ

第116回 B問題 第18問

57歳の男性。21歳から1日に20本の喫煙をしている。45歳から49歳まで禁煙をしたが,1日に20本の喫煙を再開した。  喫煙指数はいくつか。

  1. a.480
  2. b.540
  3. c.640
  4. d.720
  5. e.1,080

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は喫煙歴を数値に置き換える、喫煙指数の計算問題だ。ポイントは途中に禁煙期間があること。その期間をどう扱うかで答えが変わるから、そこに注目してほしい。まず、喫煙指数の定義は覚えているかな。
医学生医学生
Brinkman指数のことですよね。1日の本数に喫煙年数を掛けたもの、と公衆衛生の講義で習いました。
ドクタードクター
その通り。単位は付けずに、たとえば「喫煙指数640」のように表す。では、この人の喫煙年数は何年になるだろう。
医学生医学生
21歳から57歳までなので36年……。20本を掛けて720かなと最初は思いました。
ドクタードクター
そこがまさに引っかけだね。喫煙指数で数えるのは、実際にたばこを吸っていた年数だけ。45歳から49歳までの4年間は吸っていないから、その分は差し引く必要がある。
医学生医学生
なるほど。36年から4年を引いて32年、20本を掛けて640ですね。
ドクタードクター
正解。期間を分けて数えても確認できる。21歳から45歳までが24年、49歳から57歳までが8年、合わせて32年。どちらの方法でも同じ結果になるか、試験では検算しておくと安心だ。
医学生医学生
480という選択肢は、24年分だけで計算した値ですね。再開後の8年を忘れるとそうなる、と。
ドクタードクター
よく気づいたね。禁煙前の期間だけを数えるのも、全期間をまるごと数えるのも、どちらもよくある誤り。720は禁煙期間を引き忘れた値だ。540や1,080は20本で割ると27年や54年になって、今回の喫煙歴とは合わない数字だね。
医学生医学生
1日の本数が途中で変わっていたらどうするんですか。禁煙後に本数を減らす人も多そうです。
ドクタードクター
その場合は期間ごとに「本数×年数」を出して足し合わせる。たとえば最初の期間は1日20本、再開後は10本なら、それぞれ計算して合計するんだ。今回は本数が一定だったから、単純に32年を掛ければよかった。
医学生医学生
臨床実習で呼吸器内科を回ったとき、カルテにpack-yearsと書かれていたのを見ました。あれは同じものですか。
ドクタードクター
考え方は同じで、国際的によく使われる指標だ。1箱20本を1パックとして、1日の箱数に喫煙年数を掛ける。この人は1日1箱だから32 pack-yearsになる。数字は違って見えるけれど、表している喫煙量は喫煙指数640と同じなんだ。
医学生医学生
英語の論文やガイドラインを読むときは、pack-yearsに換算して考えればいいんですね。
ドクタードクター
そう。両方を行き来できるようにしておこう。そして、この数字は臨床で意味を持つ。喫煙指数が400以上だと肺癌の高危険群とされることが多く、健診での肺癌検診の対象を考える際の目安にもなる。COPDや虚血性心疾患、脳卒中のリスク評価にも、喫煙量の定量的な把握は欠かせない。
医学生医学生
問診で「たばこは吸いますか」だけで終わらせず、開始年齢や本数、禁煙期間まで聞き取る必要がありますね。OSCEの医療面接でも喫煙歴は必ず聞くよう指導されました。
ドクタードクター
その姿勢が大事だね。特に禁煙と再開を繰り返している人は多いから、「いつからいつまで、1日何本」を具体的に確認する。正確な喫煙歴の聴取が、リスク評価や禁煙指導の出発点になるんだ。

まとめ

喫煙指数(Brinkman指数)は「1日の喫煙本数×喫煙年数」で求め、喫煙年数には実際に吸っていた期間だけを数えます。本問では喫煙開始からの36年から禁煙期間4年を差し引いた32年に20本を掛けて640となり、禁煙期間を引き忘れると720、再開後を数え忘れると480という誤りに陥ります。本数が期間によって異なる場合は、期間ごとに計算して合計します。国際的には1日の箱数×年数で表すpack-yearsも用いられ、本問は32 pack-yearsに相当します。喫煙指数400以上は肺癌の高危険群の目安とされることが多く、COPDや心血管疾患のリスク評価にも役立つため、医療面接で禁煙期間を含めた正確な喫煙歴を聴取することが重要です。

解答・解説

正解はcです

問われていること

喫煙歴の量を数値で表す喫煙指数(Brinkman指数、ブリンクマン指数)を、禁煙期間を含む喫煙歴から求める問題である。

定義

喫煙指数=1日の喫煙本数 × 喫煙年数 喫煙年数には、実際にたばこを吸っていた期間だけを数える。途中で禁煙していた期間は差し引く。

喫煙年数の算出

・喫煙を始めた年齢:21歳、現在:57歳 → 喫煙開始からの経過年数は 57 − 21 = 36年 ・45歳から49歳まで禁煙していたため、この禁煙期間4年を差し引く ・実際の喫煙年数 = 36 − 4 = 32年 (期間を分けて数えると、21〜45歳の24年間と49〜57歳の8年間の合計で32年となり、同じ結果になる。)

喫煙指数の計算

1日の本数はいずれの期間も20本で一定であるから、 喫煙指数 = 20(本/日)× 32(年)= 640 となる。

選択肢考察

  1. ×a.  480

    20本 × 24年 = 480であり、禁煙前(21〜45歳)の喫煙期間だけを数えた値である。喫煙を再開した49歳以降の8年間も喫煙年数に含める必要があるため誤りである。

  2. ×b.  540

    20本/日で割ると27年分に相当し、本症例の喫煙年数(32年)とは一致しない。禁煙期間の差し引き方や年数の数え方を誤った場合の値であり、誤りである。

  3. ○c.  640

    喫煙開始から現在までの36年から禁煙期間4年を除いた実喫煙年数32年に、1日の喫煙本数20本を掛けると 20 × 32 = 640 となる。喫煙指数の定義どおりに計算した値であり、これが正解である。

  4. ×d.  720

    20本 × 36年 = 720であり、21歳から57歳までの全期間を喫煙年数として数え、45〜49歳の禁煙期間4年を差し引いていない値である。喫煙指数では吸っていなかった期間は含めないため誤りである。

  5. ×e.  1,080

    20本/日で割ると54年分に相当し、21歳から喫煙を始めた57歳の人ではあり得ない喫煙年数となる。計算の前提を大きく誤った値であり、誤りである。

喫煙指数(Brinkman指数)

・1日の喫煙本数 × 喫煙年数で求める。単位は付けない。 ・日本では臨床・健診で広く用いられ、400以上で肺癌の高危険群とされることが多い。また、ニコチン依存症管理料(禁煙治療の保険適用)の要件として、かつては喫煙指数200以上が求められていたが、2016年度の改定で35歳未満ではこの要件が撤廃された。

pack-year(パックイヤー)との違い

・pack-year =(1日の喫煙本数 ÷ 20)× 喫煙年数。1箱20本を1パックとして換算する国際的な指標である。 ・本症例では 20本/日 = 1箱/日 であるから、1 × 32 = 32 pack-years となる。喫煙指数640と表現は異なるが、同じ喫煙量を表している。

計算時の注意

・禁煙期間は喫煙年数から除く。 ・1日の本数が期間によって異なる場合は、期間ごとに「本数 × 年数」を求めて合計する。 ・喫煙は肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虚血性心疾患、脳卒中など多くの疾患の危険因子であり、喫煙量の定量的な把握はリスク評価に欠かせない。

POINT

・喫煙指数(Brinkman指数)=1日の喫煙本数 × 喫煙年数 ・禁煙していた期間は喫煙年数から差し引く ・本問:20本 ×(36年 − 4年)= 640 ・pack-year は1日の本数を20本=1箱で換算した指標(本問では32 pack-years)

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。