紹介と逆紹介をつなぐ要―地域医療支援病院を特定機能病院と見分けるコツ
第114回医師国家試験 F問題 第31問
国試問題にチャレンジ
地域医療支援病院について正しいのはどれか。2つ選べ。
- a.厚生労働大臣が承認する。
- b.救急医療の提供能力を有する。
- c.400床以上の病床が必要である。
- d.かかりつけ医を支援する能力を有する。
- e.三次医療圏ごとに1施設の設置が目標である。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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ドクターまとめ
地域医療支援病院は1997年の第三次医療法改正で創設され、かかりつけ医からの紹介患者を受け入れて逆紹介で地域へ戻す病診連携の中核を担う病院です。都道府県知事が承認し、原則200床以上で、二次医療圏ごとに少なくとも1施設の整備が目標とされています。承認要件には、紹介患者への医療提供、救急医療の提供能力、医療機器や病床の共同利用、地域医療従事者への研修といった「かかりつけ医を支援する能力」が含まれます。厚生労働大臣承認・400床以上の特定機能病院や臨床研究中核病院との取り違えが典型的なひっかけなので、承認権者・病床数・圏域・役割を対比して整理しておくことが大切です。制度を理解しておくことは、紹介・逆紹介という日常診療の意味を地域医療全体の視点からとらえる助けになります。
解答・解説
正解はb, dです
地域医療支援病院は、1997年の第三次医療法改正で創設された病院類型である。患者に身近な地域で医療が完結するよう、診療所や中小病院のかかりつけ医から紹介された患者を受け入れ、急性期を過ぎたら地域へ戻す(逆紹介)という「病診連携」の中核を担う。 本問では、医療法上の病院類型のうち、特に混同しやすい特定機能病院との違いを整理できているかが問われている。 ・承認権者:地域医療支援病院は都道府県知事(都道府県医療審議会の意見を聴いて承認)、特定機能病院は厚生労働大臣 ・病床数:地域医療支援病院は原則200床以上、特定機能病院は400床以上 ・整備の単位:地域医療支援病院は二次医療圏ごとに少なくとも1施設が目標 ・役割:地域医療支援病院は紹介患者への医療提供、救急医療、施設・設備の共同利用、地域の医療従事者への研修によってかかりつけ医を支える。特定機能病院は高度医療の提供・開発・評価と高度医療に関する研修を担う。 この対比を頭に入れておけば、「救急医療の提供能力」と「かかりつけ医を支援する能力」が地域医療支援病院の要件にあたると判断できる。
選択肢考察
- ×a. 厚生労働大臣が承認する。
誤り。地域医療支援病院は、都道府県知事が都道府県医療審議会の意見を聴いたうえで承認する。地域の医療提供体制は都道府県の医療計画の中で整備されるため、地域の実情を把握している都道府県が承認する仕組みになっている。厚生労働大臣が承認するのは、社会保障審議会の意見を聴いて承認する特定機能病院であり、両者を取り違えないことが大切である。
- ○b. 救急医療の提供能力を有する。
正しい。医療法では、地域医療支援病院の承認要件の一つに救急医療を提供する能力を有することが挙げられている。地域の診療所では対応しきれない救急患者を受け入れ、地域の救急医療体制を支えることが求められており、救急用(患者輸送用)自動車を備えることも施設基準に含まれる。
- ×c. 400床以上の病床が必要である。
誤り。地域医療支援病院の病床数要件は原則として200床以上である(地域の事情により都道府県知事が認める場合は例外もある)。400床以上という要件は特定機能病院のものであり、数字の取り違えを狙った選択肢である。
- ○d. かかりつけ医を支援する能力を有する。
正しい。かかりつけ医の支援は地域医療支援病院の存在意義そのものである。具体的には、①紹介患者に対する医療の提供と、かかりつけ医への逆紹介(一定以上の紹介率・逆紹介率が承認要件となっている)、②CTやMRIなどの医療機器や病床を地域の医師に開放する共同利用(開放型病床など)、③地域の医療従事者に対する研修の実施、を通じて地域のかかりつけ医を支援する。
- ×e. 三次医療圏ごとに1施設の設置が目標である。
誤り。地域医療支援病院は二次医療圏ごとに少なくとも1施設を整備することが目標とされている。二次医療圏は、一般的な入院医療を完結させる単位としておおむね複数の市町村で構成される圏域であり、地域の病診連携の拠点を置くのにふさわしい単位である。三次医療圏は原則として都道府県単位で、特殊な医療や高度先進医療を提供する圏域である。
医療法上の主な病院類型の比較
・地域医療支援病院:都道府県知事が承認。原則200床以上。紹介患者への医療提供(紹介率・逆紹介率の基準あり)、救急医療の提供、施設・設備の共同利用、地域医療従事者への研修。集中治療室、病理解剖室、研究室、講義室、図書室、救急用又は患者輸送用自動車などの設置が求められる。1997年の第三次医療法改正で創設。 ・特定機能病院:厚生労働大臣が承認。400床以上。高度の医療の提供・開発・評価、高度医療に関する研修。定められた診療科(16診療科)の標榜、紹介率・逆紹介率の基準、医師・看護師などの手厚い人員配置などが要件。1992年の第二次医療法改正で創設され、大学病院本院の多くが該当する。 ・臨床研究中核病院:厚生労働大臣が承認。400床以上。国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う。2014年の医療法改正で創設。
医療圏
・一次医療圏:日常的な外来医療を提供する単位(おおむね市町村)。医療法上の規定はない。 ・二次医療圏:一般的な入院医療を完結させる単位(複数の市町村)。医療計画で設定する。 ・三次医療圏:特殊な医療を提供する単位(原則都道府県。北海道のみ複数)。
紹介と逆紹介
紹介は、かかりつけ医が専門的な検査・治療の必要な患者を病院へ送ること、逆紹介は、病院が病状の安定した患者をかかりつけ医へ戻すことをいう。この往復によって、病院は専門的・急性期の医療に集中でき、患者は身近な場所で継続的な診療を受けられる。
POINT
・地域医療支援病院:都道府県知事が承認、原則200床以上、二次医療圏ごとに整備 ・役割は、紹介患者への医療提供(逆紹介を含む)、救急医療、施設・設備の共同利用、地域医療従事者への研修=かかりつけ医の支援 ・特定機能病院:厚生労働大臣が承認、400床以上、高度医療の提供・開発・評価・研修 ・承認権者と病床数の取り違えが頻出のひっかけ
