StudyMed医師国家試験

「減る」と「増える」を見分けろ―データで読む日本の人口構造

第114回医師国家試験 F問題 第29問

国試問題にチャレンジ

第114回 F問題 第29問

2010年以降の我が国の人口構造について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. a.人口は男性の方が多い。
  2. b.総人口は減少傾向である。
  3. c.従属人口指数は減少傾向である。
  4. d.年少人口の割合は減少傾向である。
  5. e.老年人口の割合は40%を超えている。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、2010年以降の日本の人口構造をテーマにした問題だ。ポイントは2つ。少子化と高齢化が同時に進むと各指標がどちらに動くか、そして人口指標の分母と分子が何か。この2つを押さえれば迷わず解けるよ。まずは全体像から。人口は年齢で3つに分けるけど、覚えているかな。
医学生医学生
0〜14歳が年少人口、15〜64歳が生産年齢人口、65歳以上が老年人口です。公衆衛生学の講義で何度も出てきました。
ドクタードクター
完璧だね。日本では出生数が減って年少人口が減り、長寿化で老年人口が増え、働き手の生産年齢人口は減っている。そして死亡数が出生数を上回る自然減が続いているから、総人口そのものも減っているんだ。
医学生医学生
総人口はいつから減っているんでしたっけ。もっと最近のことだと思っていました。
ドクタードクター
総人口は2008年頃の約1億2,800万人がピークで、国勢調査では2015年に初めて前回の2010年を下回った。外国人の流入による社会増はあるけれど、自然減を補うほどではない。だから総人口が減少傾向というのは正しい。
医学生医学生
年少人口の割合も、出生数が減っているので当然減っていますよね。
ドクタードクター
その通り。出生数は2016年に初めて100万人を割り、その後も減り続けている。合計特殊出生率も人口置換水準の約2.07を大きく下回ったままだ。年少人口は数も割合も一貫して減っていて、割合はおおむね11%台まで下がっている。これも正しい。
医学生医学生
男女比はどうでしょう。生まれるのは男の子のほうが多いと聞いたので、男性が多いのかなと思いました。
ドクタードクター
いいところに気づいたね、そこが引っかけなんだ。出生時の性比は女児100に対して男児約105で、確かに男児が多い。でも平均寿命は女性のほうが約6年長いから、高齢になるほど女性の比率が上がる。結果として総人口では女性が数百万人多いんだ。
医学生医学生
なるほど、出生時と人口全体では逆になるんですね。では従属人口指数はどうですか。子どもが減っているなら、減少しそうな気もします。
ドクタードクター
そこは定義に立ち返ろう。従属人口指数は、年少人口と老年人口の和を生産年齢人口で割って100を掛けたもの。働き手100人で何人の子どもと高齢者を支えているかを表すんだ。分子と分母、それぞれどう動いている?
医学生医学生
分母の生産年齢人口は減っていて、分子は年少人口が減るけど、老年人口のほうがそれ以上に増えている……ということは指数は上がりますね。
ドクタードクター
正解。従属人口指数は1990年代前半に最低となり、その後は上昇を続けている。だから減少傾向というのは誤りだ。最後に高齢化率、つまり老年人口の割合が40%を超えているかどうか。
医学生医学生
かなり高いイメージはありますが、40%はさすがに言いすぎでしょうか。
ドクタードクター
そう、言いすぎだ。高齢化率は2010年で約23%、2020年代前半でも約29%程度で、40%を超えたことはない。40%に近づくのは数十年先と推計されている。7%超で高齢化社会、14%超で高齢社会、21%超で超高齢社会と呼び、日本は2007年に超高齢社会になった。
医学生医学生
7%から14%までが24年でしたよね。CBTの過去問で、欧米よりずっと速いと出ていました。
ドクタードクター
よく覚えているね。その倍加年数の短さが、日本の高齢化の特徴なんだ。ついでに指標を整理しておこう。年少人口指数と老年人口指数はそれぞれを生産年齢人口で割ったもので、その和が従属人口指数。老年化指数は老年人口を年少人口で割ったもの。高齢化率だけは分母が総人口だから注意してね。
医学生医学生
分母が生産年齢人口なのか総人口なのかを意識すると、混同しにくくなりそうです。
ドクタードクター
まさにそこがコツ。もう一つ、人口ピラミッドも見ておこう。日本はつぼ型で、団塊の世代と第2次ベビーブーム世代の2つの膨らみ、1966年の丙午による出生数の落ち込みが特徴だ。臨床の現場でも、高齢患者の増加や医療・介護の担い手不足といった形でこの構造の影響を感じることになるよ。
医学生医学生
地域医療実習で訪問診療に同行したとき、高齢の方が高齢の家族を介護している家庭が多かったのを思い出しました。
ドクタードクター
老老介護だね。数字の背景には、そういう一人ひとりの暮らしがある。統計を理解しておくことは、地域でどんな医療が必要かを考える土台になるんだ。

まとめ

2010年以降の日本は、少子化と長寿化が同時に進み、自然減によって総人口が減少しています(2008年頃がピーク、国勢調査では2015年に初の減少)。年少人口の割合は低下を続けておおむね11%台、高齢化率は上昇していますが約29%程度で、40%には達していません。従属人口指数は(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100で、老年人口の増加と生産年齢人口の減少により上昇傾向にあります。また出生時は男児が多いものの、女性のほうが長寿のため総人口は女性が多くなっています。各指標の分母・分子を正しく押さえることが、人口統計の問題を解く鍵であり、地域医療や医療政策を考える基礎にもなります。

解答・解説

正解はb, dです

本問は、日本の人口構造の現状と、人口に関する指標の定義を問う。 人口は年齢によって3つに分けられる。0〜14歳が年少人口、15〜64歳が生産年齢人口、65歳以上が老年人口である。日本は少子化と長寿化が同時に進んでおり、その結果として次の3つが起きている。 ①出生数の減少で年少人口とその割合が減っている。 ②老年人口とその割合(高齢化率)が増え続けている。 ③生産年齢人口が減っている。 さらに、死亡数が出生数を上回る「自然減」が続いているため、総人口も減少に転じた。総人口は2008年頃に約1億2,800万人で頂点に達し、2015年の国勢調査では初めて前回調査より減少した。 各選択肢を判断するには、従属人口指数の分母と分子がどう動くか、高齢化率の水準がどのくらいかを押さえておく必要がある。これらを基に、全体の流れと照らし合わせて正誤を判断する。

選択肢考察

  1. ×a.  人口は男性の方が多い。

    出生時の性比は女児100に対して男児約105で、生まれる数は男性のほうが多い。しかし平均寿命は女性のほうが約6年長く、高齢になるほど女性の比率が高くなる。そのため、総人口では女性が男性より数百万人多い。誤り。

  2. ○b.  総人口は減少傾向である。

    日本の総人口は2008年頃を頂点に減少に転じた。国勢調査で見ると、2015年の調査で初めて前回の2010年調査を下回り、その後も毎年減り続けている。主な原因は、出生数の減少と、高齢化に伴う死亡数の増加による自然減の拡大である。外国人の流入による社会増はあるが、自然減を補うには至っていない。正しい。

  3. ×c.  従属人口指数は減少傾向である。

    従属人口指数は、(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100で求める。働き手100人で何人の子どもと高齢者を支えているかを示す指標である。現在は、分母の生産年齢人口が減る一方で、分子のうち老年人口が年少人口の減少を上回る勢いで増えている。このため従属人口指数は上昇傾向にある。この指数は1990年代前半に最も低くなり、その後は上がり続けている。誤り。

  4. ○d.  年少人口の割合は減少傾向である。

    年少人口は0〜14歳の人口である。出生数は2016年に初めて100万人を割り込み、その後も減り続けている。合計特殊出生率も人口置換水準(約2.07)を大きく下回る状態が続いている。その結果、年少人口の数も総人口に占める割合も一貫して減少しており、割合は現在おおむね11%台まで低下している。正しい。

  5. ×e.  老年人口の割合は40%を超えている。

    老年人口の割合(高齢化率)は上昇を続けているが、2010年で約23%、2018年で約28%、2020年代前半でも約29%にとどまっている。40%を超えた年はない。将来推計でも、40%に近づくのは数十年先と見込まれている。なお、高齢化率21%を超えた社会を超高齢社会と呼び、日本は2007年にこれに該当した。誤り。

人口に関する指標

年少人口指数=年少人口÷生産年齢人口×100 老年人口指数=老年人口÷生産年齢人口×100 従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100(=年少人口指数+老年人口指数) 老年化指数=老年人口÷年少人口×100 高齢化率(老年人口割合)=老年人口÷総人口×100

高齢化の段階

高齢化率7%超を高齢化社会、14%超を高齢社会、21%超を超高齢社会と呼ぶ。日本は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えた。7%から14%に達するまでの期間(倍加年数)は24年で、欧米諸国と比べて非常に短い。

人口ピラミッド

日本の人口ピラミッドは「つぼ型」で、少産少死型の人口構造を示す。第1次ベビーブーム(1947〜1949年生まれ、団塊の世代)と第2次ベビーブーム(1971〜1974年生まれ)の2つの膨らみがある。また、1966年の丙午による出生数の落ち込みも見られる。

出生の指標

合計特殊出生率は、15〜49歳の女性の年齢別出生率を合計したものである。これは1人の女性が一生の間に産む子どもの数に相当する。人口を維持できる水準(人口置換水準)は約2.07である。

POINT

・日本の総人口は2008年頃を頂点に減少しており、国勢調査では2015年に初めて減少が確認された。 ・人口は女性のほうが多い(出生時は男児のほうが多いが、女性のほうが長寿のため)。 ・年少人口の割合は低下、高齢化率は上昇(約29%)、生産年齢人口は減少している。 ・従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100で、現在は上昇傾向にある。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。