「22週」が分ける境界線―周産期死亡を中心に母子保健の死亡指標を整理する
第114回医師国家試験 F問題 第20問
国試問題にチャレンジ
母子保健に関する用語について誤っているのはどれか。
- a.乳児死亡とは生後1年未満の死亡である。
- b.新生児死亡とは生後4週未満の死亡である。
- c.死産とは妊娠12週以後の死児の出産である。
- d.早期新生児死亡とは生後1週未満の死亡である。
- e.周産期死亡とはすべての死産に早期新生児死亡を加えたものである。
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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ドクターまとめ
母子保健の出生後の死亡指標は、早期新生児死亡(生後1週未満)、新生児死亡(生後4週未満)、乳児死亡(生後1年未満)の入れ子構造で整理でき、死産は妊娠満12週以後の死児の出産と定義されます。周産期死亡は「すべての死産」ではなく、妊娠満22週以後の死産に早期新生児死亡を加えたもので、22週は母体外で生存可能となる時期の目安に対応しています。周産期死亡率の分母は出生数に妊娠満22週以後の死産数を加えたもの、乳児・新生児死亡率は出生数、死産率は出産数というように、指標ごとに分母が異なる点も重要です。妊産婦死亡(妊娠中〜妊娠終了後42日未満、出産10万対)も含めて定義を正確に押さえておくことは、国試対策にとどまらず、母子保健統計を読み解き周産期医療の質を評価する基礎になります。
解答・解説
正解はeです
母子保健の統計指標は、人口動態統計(出生・死亡・死産・婚姻・離婚を扱う国の基幹統計)に基づいて算出され、それぞれの用語は「いつまでの死亡か」「妊娠何週以後の死産か」で厳密に定義されている。本問は誤っている記述を選ぶ問題である。
整理の仕方
出生後の死亡は、生後の期間が短いものから順に入れ子構造になっている。 ・早期新生児死亡:生後1週(7日)未満 ・新生児死亡:生後4週(28日)未満(早期新生児死亡を含む) ・乳児死亡:生後1年未満(新生児死亡を含む) 出生前については、死産は妊娠満12週以後の死児の出産を指し、このうち妊娠満22週以後のものを後期死産と呼ぶ。 周産期死亡はこの両者をつなぐ指標で、「妊娠満22週以後の死産(後期死産)」と「早期新生児死亡」を合わせたものである。妊娠12週から21週の死産は含めない。22週という区切りは、母体外で生存可能となる時期(日本で人工妊娠中絶が認められるのは妊娠22週未満まで)に対応している。したがって「すべての死産」を含むとする記述が誤りとなる。
選択肢考察
- ×a. 乳児死亡とは生後1年未満の死亡である。
正しい記述である。乳児死亡は生後1年未満の死亡で、新生児死亡・早期新生児死亡もこの中に含まれる。乳児死亡率は出生1,000に対する乳児死亡数で表され、地域の衛生状態・経済・教育・医療水準を総合的に反映する指標とされる。誤りを選ぶ問題なので該当しない。
- ×b. 新生児死亡とは生後4週未満の死亡である。
正しい記述である。新生児死亡は生後4週(28日)未満の死亡で、早期新生児死亡を含む。新生児死亡率も出生1,000対で表される。この時期の死亡は先天異常、早産・低出生体重、周産期の異常など、出生前後の要因によるものが多い。
- ×c. 死産とは妊娠12週以後の死児の出産である。
正しい記述である。「死産の届出に関する規程」により、死産は妊娠満12週(第4月)以後の死児の出産と定義され、死産届の提出が必要となる。死児とは出産後に心拍・呼吸・随意筋の運動のいずれも認めないものをいう。死産には自然死産と人工死産(人工妊娠中絶などによるもの)がある。死産率は出産(出生+死産)1,000対で表す。
- ×d. 早期新生児死亡とは生後1週未満の死亡である。
正しい記述である。早期新生児死亡は生後1週(7日)未満の死亡を指す。新生児死亡の大部分はこの時期に集中しており、出生時の状態や周産期の管理と密接に関係するため、周産期死亡の構成要素として用いられる。
- ○e. 周産期死亡とはすべての死産に早期新生児死亡を加えたものである。
誤った記述であり、これが正解である。周産期死亡は、すべての死産ではなく「妊娠満22週以後の死産(後期死産)」に早期新生児死亡(生後1週未満の死亡)を加えたものである。妊娠12週以上22週未満の死産は含まれない。周産期死亡率は、分母を「出生数+妊娠満22週以後の死産数」として1,000対で算出する点も、分母が出生数のみである乳児死亡率・新生児死亡率と異なるので注意する。
母子保健の主な死亡・死産指標
・乳児死亡率=生後1年未満の死亡数÷出生数×1,000 ・新生児死亡率=生後4週未満の死亡数÷出生数×1,000 ・早期新生児死亡率=生後1週未満の死亡数÷出生数×1,000 ・死産率=死産数÷出産数(出生数+死産数)×1,000 ・周産期死亡率=(妊娠満22週以後の死産数+早期新生児死亡数)÷(出生数+妊娠満22週以後の死産数)×1,000 ・妊産婦死亡率=妊産婦死亡数÷出産数(出生数+妊娠満12週以後の死産数)×100,000
妊産婦死亡
妊娠中または妊娠終了後満42日未満の女性の死亡のうち、妊娠の期間や部位を問わず、妊娠そのものまたはその管理に関連した原因、あるいはそれらによって悪化した原因によるものをいう。事故など不慮・偶発の原因による死亡は含まない。妊娠と直接関係する直接産科的死亡(産科危機的出血、妊娠高血圧症候群など)と、既存疾患が妊娠で悪化した間接産科的死亡に分けられる。分母は出生のみではなく出産(出生+死産)であり、10万対で表すのが特徴である。
日本の状況
日本の乳児死亡率・新生児死亡率・周産期死亡率は世界で最も低い水準にあり、乳児死亡率は出生1,000対でおよそ2前後まで低下している。
出生に関する指標(関連事項)
人口動態統計では出生に関する指標も扱われ、出生率(人口1,000対)、合計特殊出生率(15〜49歳の女性の年齢別出生率の合計で、1人の女性が生涯に産む子どもの数に相当)、総再生産率(合計特殊出生率のうち女児のみについて算出したもの)、純再生産率(総再生産率に母親世代の死亡を考慮したもの。1を下回ると将来人口は縮小する)がある。
POINT
・早期新生児死亡:生後1週未満/新生児死亡:生後4週未満/乳児死亡:生後1年未満(入れ子構造)。 ・死産:妊娠満12週以後の死児の出産。 ・周産期死亡=妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡(すべての死産ではない)。 ・周産期死亡率の分母は「出生+妊娠満22週以後の死産」、乳児・新生児死亡率の分母は「出生」。 ・妊産婦死亡は妊娠中〜妊娠終了後42日未満、出産10万対。
