「県まるごと」ではない―地域医療構想は二次医療圏で描く2025年の病床地図
第114回医師国家試験 C問題 第1問
国試問題にチャレンジ
地域医療構想について誤っているのはどれか。
- a.2025年の医療需要を推計する。
- b.医療計画の一部として策定する。
- c.構想区域は都道府県単位である。
- d.病床の必要量を病床の機能別に推計する。
- e.地域医療構想会議には医療保険者も参加する。
対話形式の解説
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ドクターまとめ
地域医療構想は、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年に向けて、都道府県が医療計画の一部として策定するもので、2014年の医療法改正で制度化されました。2025年の医療需要と病床の必要量を高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能別に推計し、構想区域は都道府県単位ではなく原則として二次医療圏を基本に設定されます。実現に向けては、医療関係者に加え医療保険者や市町村も参加する地域医療構想調整会議での協議、病床機能報告制度による現状把握、地域医療介護総合確保基金による財政支援が組み合わされています。一次・二次・三次医療圏の区分とあわせて理解しておくと、医療制度の問題に強くなるだけでなく、勤務先の病院が地域で担う役割を考える土台にもなります。
解答・解説
正解はcです
地域医療構想は、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年に向けて、地域ごとに将来必要となる医療提供体制の姿を描くための仕組みである。2014年の医療介護総合確保推進法による医療法改正で制度化され、各都道府県が2016年度末までに策定を終えた。 押さえるべき骨格は次の4点である。 1. 誰が・何の中で作るか:都道府県が、医療法に基づく医療計画の一部として策定する。 2. 何を推計するか:将来人口推計をもとに2025年の医療需要と病床の必要量を、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つの病床機能ごとに推計する。 3. どの単位で作るか:「構想区域」ごとに作る。構想区域は原則として二次医療圏を基本に設定される。 4. どう実現するか:構想区域ごとに地域医療構想調整会議を設け、医療関係者や医療保険者などが協議して病床機能の分化・連携を進める。 本問は「誤っているもの」を選ぶ形式である。構想区域を都道府県単位とする記述が、原則二次医療圏という制度の骨格と食い違うため、これが正解となる。
選択肢考察
- ×a. 2025年の医療需要を推計する。
記述は正しい。地域医療構想は、高齢化がピークに向かう2025年を目標年とし、性・年齢階級別の将来推計人口と現在の受療率などを用いて、その時点の入院・在宅医療などの医療需要を推計する。この需要をもとに必要な病床数を算出する。
- ×b. 医療計画の一部として策定する。
記述は正しい。医療計画は医療法に基づき都道府県が策定する計画である。地域医療構想は、2014年の医療法改正により、その記載事項の一つとして位置づけられた。独立した別の計画ではなく、医療計画の中に組み込まれている点が重要である。
- ○c. 構想区域は都道府県単位である。
誤った記述であり、これが正解である。構想区域は原則として二次医療圏を基本に設定される。人口規模や患者の受療動向(流出入)、医療機関の配置などを考慮して、二次医療圏と異なる区域にすることも認められている。二次医療圏は、一般的な入院医療を地域で完結させることを目標とした圏域で、通常は複数の市町村からなる。都道府県単位の圏域は、高度・特殊な医療を担う三次医療圏(北海道は例外的に複数)にあたり、構想区域とは異なる。
- ×d. 病床の必要量を病床の機能別に推計する。
記述は正しい。病床の必要量は、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能別に、構想区域ごとに推計する。これを病床機能報告制度(各医療機関が自院の病棟の機能を毎年都道府県に報告する仕組み)で把握した現状と比べることで、急性期病床の過剰や回復期病床の不足などが見える化される。
- ×e. 地域医療構想会議には医療保険者も参加する。
記述は正しい。医療法では、都道府県は構想区域ごとに、診療に関する学識経験者の団体(医師会・歯科医師会など)、その他の医療関係者、医療保険者、市町村などの関係者との協議の場を設けるとされている。これが地域医療構想調整会議であり、医療費を負担する立場から医療保険者も参加する。
医療圏の整理
一次医療圏:日常的な外来医療・保健サービスの単位で、おおむね市町村。医療法上の規定はない。 二次医療圏:一般的な入院医療を完結させる単位で、複数の市町村からなる。基準病床数(療養病床・一般病床)の算定単位でもあり、全国に330程度ある。 三次医療圏:先進的・特殊な医療を担う単位で、原則都道府県(北海道は6圏域)。
地域医療構想を実現する仕組み
・病床機能報告制度:一般病床・療養病床をもつ病院・有床診療所が、病棟ごとの現在と将来の機能を毎年都道府県に報告する。 ・地域医療構想調整会議:構想区域ごとに設けられ、関係者が機能分化・連携について協議する。 ・地域医療介護総合確保基金:消費税増収分などを財源とし、病床転換などの取り組みを財政的に支援する。 ・都道府県知事の権限:過剰な病床機能への転換の中止の要請・命令などの権限が定められている。
医療計画との関係
医療計画は6年ごと(在宅医療など一部は3年ごとに中間見直し)に策定され、5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)と6事業(救急、災害、へき地、周産期、小児、新興感染症等。新興感染症等は第8次医療計画から追加)、在宅医療などを記載する。地域医療構想はこの中の一項目である。
その後の動向
2025年以降を見据え、さらに高齢化と生産年齢人口の減少が進む2040年頃を目標とし、入院医療だけでなく外来・在宅医療や介護との連携も含めた「新たな地域医療構想」の検討が国で進められている。
POINT
・地域医療構想は、都道府県が医療計画の一部として策定する(2014年医療法改正)。 ・2025年の医療需要と病床の必要量を、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能別に推計する。 ・構想区域は原則として二次医療圏を基本とし、都道府県単位ではない。 ・地域医療構想調整会議には、医師会などの医療関係者に加え、医療保険者や市町村も参加する。 ・現状把握は病床機能報告制度、財政支援は地域医療介護総合確保基金が担う。
