StudyMed医師国家試験

外側はお母さん、内側は赤ちゃん―由来で覚える卵膜3層の並び順

第113回医師国家試験 C問題 第66問

国試問題にチャレンジ

第113回 C問題 第66問

卵膜の構成について母体側から胎児側の順で正しいのはどれか。

  1. a.絨毛膜→羊膜→脱落膜
  2. b.絨毛膜→脱落膜→羊膜
  3. c.脱落膜→絨毛膜→羊膜
  4. d.脱落膜→羊膜→絨毛膜
  5. e.羊膜→絨毛膜→脱落膜
  6. f.羊膜→脱落膜→絨毛膜

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、胎児と羊水を包む卵膜がどんな層でできていて、どの順に並んでいるかを問う知識問題だ。丸暗記しようとすると混乱しやすいけれど、それぞれの層がどこから来たのか、つまり母体由来か胎児由来かを考えれば順番は自然に決まる。まず、卵膜を構成する3つの層の名前を挙げられるかな。
医学生医学生
脱落膜、絨毛膜、羊膜の3つですね。でも並び順は、正直いつも絨毛膜と羊膜のどちらが外だったか迷います。
ドクタードクター
迷う人は多いよ。では、着床のときに何が起きるかから考えよう。受精卵は子宮内膜の表面にくっつくだけではなく、内膜の中に潜り込むように着床する。ということは、受精卵の一番外側を包むのは何だろう。
医学生医学生
潜り込むなら、母体の子宮内膜に包まれる形になりますね。だから最も母体側は子宮内膜が変化した脱落膜ですか。
ドクタードクター
その通り。脱落膜は分泌期の子宮内膜が着床を機に厚く変化したもので、分娩後に剥がれ落ちることからこの名前がついている。3層のうち母体由来はこの脱落膜だけだ。残りの2つは胎児由来になる。
医学生医学生
発生学の講義で、胚盤胞の外側の細胞が栄養膜、トロホブラストだと習いました。それが絨毛膜になるんでしょうか。
ドクタードクター
よく覚えているね。栄養膜とその内側の胚外中胚葉から絨毛膜ができる。胎児由来の組織の中では外側、つまり脱落膜と接する位置にある。そして最も内側で、羊水に直接触れているのが羊膜だ。羊膜は羊水で満たされた羊膜腔の壁そのものなんだ。
医学生医学生
羊水を包むから羊膜、というイメージなら一番内側なのは納得です。つまり母体側から脱落膜、絨毛膜、羊膜の順ですね。
ドクタードクター
正解。母体由来の脱落膜が外、胎児由来の絨毛膜と羊膜が内、そして羊水に接する羊膜が最内層と押さえれば迷わない。ほかの並びも確認しておこう。絨毛膜が一番外に来る並びはどうかな。
医学生医学生
胎児由来の絨毛膜が母体の脱落膜より外にあるのは、潜り込む着床の仕方と矛盾しますね。
ドクタードクター
その通り。脱落膜が最外層であるのは正しくても、その内側で羊膜と絨毛膜を入れ替えた並びも誤りだ。羊膜は羊水を直接包む膜だから、絨毛膜より胎児側にある。それから、羊膜から始まって脱落膜で終わる並びは、順番自体は正しく見えるけれど、胎児側から母体側へ並べたものだ。
医学生医学生
問題文の「母体側から」という向きを読み落とすと、それを選んでしまいそうです。CBTでもこういう向きの引っかけにやられました。
ドクタードクター
国試でも同じで、知識が正しくても向きの読み違いで失点するのはもったいない。ここから少し発展させよう。脱落膜は受精卵との位置関係で3つに分けられる。受精卵の子宮筋層側にあるのが基底脱落膜、子宮腔側を覆うのが被包脱落膜、着床部位以外の内膜が壁脱落膜だ。
医学生医学生
胎盤はどの部分からできるんですか。
ドクタードクター
基底脱落膜と、それに面してよく発育した絨毛膜有毛部が合わさって胎盤になる。胎盤の母体側が基底脱落膜、胎児側が絨毛膜有毛部だ。一方、被包脱落膜側の絨毛は退化して絨毛膜無毛部となり、卵膜の一部になる。胎児が大きくなると被包脱落膜は壁脱落膜に押し付けられて、妊娠4か月頃に癒合し子宮腔はなくなるんだ。
医学生医学生
産婦人科の実習で分娩に立ち会ったとき、胎盤の後で膜がずるっと出てきたのを思い出しました。あれが卵膜なんですね。
ドクタードクター
そう。分娩後には胎盤とともに卵膜が欠損なく娩出されたかを確認するのが大切で、遺残があると出血や感染の原因になりうる。また羊膜は血管を含まない半透明の膜で、絨毛膜とはゆるく接しているだけなので、簡単に剥がせる。前期破水や絨毛膜羊膜炎を学ぶときにも、この層構造のイメージがあると理解しやすくなるよ。

まとめ

卵膜は胎児と羊水を包む膜で、母体側から脱落膜、絨毛膜、羊膜の3層からなります。受精卵は子宮内膜に潜り込むように着床するため、子宮内膜が変化した母体由来の脱落膜が最外層となり、その内側に栄養膜と胚外中胚葉に由来する絨毛膜、最内層に羊水と直接接する無血管の羊膜が位置します。胎盤は基底脱落膜と絨毛膜有毛部から形成され、被包脱落膜側の絨毛は退化して絨毛膜無毛部となり卵膜の一部になります。由来(母体か胎児か)と着床の仕方から層の順序を理解しておけば、出題の向きの引っかけにも対応でき、胎盤・卵膜の遺残や前期破水、絨毛膜羊膜炎などの臨床的理解にもつながります。

解答・解説

正解はcです

問われていること

卵膜(胎児と羊水を包み込んでいる膜)が、どのような層でできているか、その並び順を問う知識問題である。

考え方

卵膜は3層からなり、それぞれの由来を考えると順番は自然に決まる。 ・受精卵は子宮内膜に潜り込むように着床する。このため、受精卵(胎児側の組織)の外側を包む最外層は、母体の子宮内膜が妊娠によって変化した「脱落膜」となる。 ・受精卵の外側の細胞(栄養膜=トロホブラスト)とその内側の胚外中胚葉からは「絨毛膜」が形成される。これは胎児由来の組織のうち外側に位置する。 ・胎児と羊水に直接接する最内層は、羊水を満たした腔(羊膜腔)の壁である「羊膜」である。 したがって、母体側から胎児側へ向かって「脱落膜→絨毛膜→羊膜」となる。脱落膜のみが母体由来で、絨毛膜と羊膜は胎児由来である、と押さえておけば迷わない。

選択肢考察

  1. ×a.  絨毛膜→羊膜→脱落膜

    母体由来の脱落膜が最も胎児側に置かれており誤りである。脱落膜は子宮内膜に由来し、卵膜の最外層(母体側)に位置する。

  2. ×b.  絨毛膜→脱落膜→羊膜

    脱落膜と絨毛膜の位置が逆である。受精卵が子宮内膜に埋没して着床するため、胎児由来の絨毛膜は母体由来の脱落膜より内側(胎児側)にある。

  3. ○c.  脱落膜→絨毛膜→羊膜

    母体側の最外層は子宮内膜が変化した脱落膜、その内側に栄養膜由来の絨毛膜、最も内側で羊水に接するのが羊膜である。母体由来(脱落膜)→胎児由来(絨毛膜、羊膜)の順となっており、正しい。

  4. ×d.  脱落膜→羊膜→絨毛膜

    最外層が脱落膜である点は正しいが、羊膜と絨毛膜の順が逆である。羊膜は羊水を直接包む膜であり、卵膜の中で最も胎児側に位置する。

  5. ×e.  羊膜→絨毛膜→脱落膜

    胎児側から母体側への順に並べたものであり、問われている向き(母体側→胎児側)と逆である。向きの指定を読み違えないよう注意する。

  6. ×f.  羊膜→脱落膜→絨毛膜

    羊膜が最も母体側に、脱落膜が中間に置かれており、いずれの位置関係も誤りである。母体由来の脱落膜が最外層、羊水に接する羊膜が最内層である。

胎児付属物

胎盤、臍帯、卵膜、羊水をまとめて胎児付属物という。

脱落膜(母体由来)

分泌期の子宮内膜機能層が、着床を契機に肥厚・変化(脱落膜化)したもの。分娩後に剥がれ落ちることからこの名がある。受精卵との位置関係で次の3つに分けられる。 ・基底脱落膜(床脱落膜):受精卵の子宮筋層側。絨毛膜有毛部とともに胎盤を形成する(胎盤の母体側部分)。 ・被包脱落膜:受精卵の子宮腔側を覆う部分。 ・壁脱落膜(真脱落膜):着床部位以外の子宮内膜。 胎児の成長に伴い被包脱落膜は壁脱落膜に押し付けられ、妊娠4か月頃に癒合して子宮腔は消失する。

絨毛膜(胎児由来)

栄養膜(トロホブラスト)と胚外中胚葉からなる。絨毛の表面は外層の合胞体栄養膜細胞(シンシチオトロホブラスト:hCGなどを産生)と、内層の細胞性栄養膜細胞(サイトトロホブラスト、Langhans細胞)の2層で覆われる。 ・基底脱落膜側の絨毛はよく発育して絨毛膜有毛部(繁生絨毛膜)となり、胎盤の胎児側部分をつくる。 ・被包脱落膜側の絨毛は退化し、妊娠3か月末頃までに消失して絨毛膜無毛部(平滑絨毛膜)となり、卵膜の一部となる。

羊膜(胎児由来)

・卵膜の最内層で、胎盤の胎児面を覆い、さらに臍帯の表面を包んで臍輪まで続く。 ・1層の上皮細胞(外胚葉性)と、その下の結合組織(中胚葉性)からなる。 ・半透明で血管を含まず、羊水の産生・吸収にかかわる。 ・絨毛膜や胎盤とは緩く接しているだけで、妊娠末期でも容易に剥離できるが、臍帯からは剥がしにくい。

POINT

・卵膜は母体側から「脱落膜→絨毛膜→羊膜」の3層。 ・脱落膜は母体由来、絨毛膜・羊膜は胎児由来。 ・胎盤は基底脱落膜(母体側)と絨毛膜有毛部(胎児側)からなる。 ・羊膜は無血管で最内層、羊水に直接接する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。