StudyMed医師国家試験

「2週で300g」の物差し―妊娠30週の胎児はどれくらいの重さか

第120回医師国家試験 D問題 第2問

国試問題にチャレンジ

第120回 D問題 第2問

妊娠30週における標準的な胎児体重はどれか。

  1. a.900g
  2. b.1,200g
  3. c.1,500g
  4. d.1,800g
  5. e.2,100g

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、妊娠週数ごとの胎児体重の目安を問う知識問題だ。単純な暗記問題に見えるけれど、この数字は妊婦健診で胎児発育不全や過大な発育を見つけるための物差しそのもの。まずは直感でいいから、30週の胎児がどれくらいの重さか考えてみよう。
医学生医学生
満期で約3,000gなので、その半分くらいの1,500g前後かなと思いました。でも、10週も前だと半分よりもっと軽い気がして迷います。
ドクタードクター
いい迷い方だね。胎児の体重は直線的に増えるわけではなく、妊娠後半に一気に増える。だから「40週の4分の3の時期だから4分の3の重さ」とはならない。日本の基準値の概数を並べると、26週で約900g、28週で約1,200g、30週で約1,500g、32週で約1,800g、34週で約2,100gだ。
医学生医学生
選択肢がちょうどその並びになっていますね。2週ごとに300gずつ増えている。
ドクタードクター
その通り。26〜34週ごろは「2週でおよそ300g、1週あたり約150g」と覚えると、ほかの週数にも応用が利く。その先は36週で約2,500g、40週で約3,000gだ。だから正解は1,500g。ほかの選択肢は、30週の胎児として見たときにどんな意味を持つかで整理しよう。
医学生医学生
900gは26週相当なので、30週でこの体重ならかなり小さいということですか。
ドクタードクター
そう。4週分も小さいから、胎児発育不全を疑って精査が必要になる。推定体重を測り直すのはもちろん、羊水量や臍帯動脈の血流も評価する。1,200gは28週相当で、2週分ほど小さめという位置づけだね。
医学生医学生
逆に2,100gだと34週相当なので大きすぎる。母体の糖尿病とかを考えるんでしょうか。
ドクタードクター
それも一つ。ただ、まず確認したいのは「週数そのものが正しいか」だ。最終月経から計算した予定日がずれていれば、児は正常でも大きく見える。1,800gは32週相当で、平均よりやや大きめという程度だ。
医学生医学生
週数がずれていたら評価全体が崩れてしまいますね。産婦人科の実習で、初期のエコーで予定日を確認していたのはそのためだったんですね。
ドクタードクター
まさにそう。妊娠初期の頭殿長は個人差が小さいから、それで予定日を確定してから後半の発育を評価する。では、推定胎児体重はどうやって出しているか知っているかな。
医学生医学生
エコーで頭と腹と脚の骨を測って、式に入れるんでしたっけ。
ドクタードクター
そう。児頭大横径、腹囲、大腿骨長の3つを使い、日本ではEFW=1.07×BPD³+0.30×AC²×FLという式が標準だ。ただし誤差が±10%程度あるから、1回の測定で決めつけず、間隔をあけて複数回測って発育曲線の推移で判断する。
医学生医学生
平均値だけでなく、ばらつきで評価するんですよね。
ドクタードクター
その通り。日本では基準値の−1.5SD以下を胎児発育不全の目安、+1.5SD以上を巨大児が疑われる目安としている。とはいえ、体質的に小さい、あるいは大きいだけの健康な児もいるから、数字一つで異常と断定しないことが大切だ。
医学生医学生
30週で1,500gというのは、出生体重の区分ともつながりそうです。CBTで覚えた極低出生体重児が1,500g未満でした。
ドクタードクター
いい結びつけ方だ。30週前後で生まれた児はちょうど極低出生体重児の境界にあたる。低出生体重児は2,500g未満、超低出生体重児は1,000g未満、巨大児は4,000g以上。胎児体重の目安と出生体重の区分をセットにしておくと、新生児科の話にもすっとつながるよ。

まとめ

妊娠後半の胎児体重の平均は、26週約900g、28週約1,200g、30週約1,500g、32週約1,800g、34週約2,100g、36週約2,500g、40週約3,000gが目安で、26〜34週ごろは2週で約300g増えると覚えると便利です。推定胎児体重は超音波で測った児頭大横径・腹囲・大腿骨長から算出し、基準値の−1.5SD以下で胎児発育不全、+1.5SD以上で巨大児を疑いますが、誤差を考慮して複数回の測定で推移をみて判断します。評価の前提として妊娠初期の頭殿長による予定日の確認が欠かせず、週数のずれは見かけ上の過小・過大発育の原因になります。30週前後の約1,500gは極低出生体重児の境界でもあり、胎児体重の目安と出生体重の区分を結びつけて理解することが、妊婦健診から新生児医療までを見通す基礎になります。

解答・解説

正解はcです

【テーマ】妊娠週数ごとの胎児体重の目安 胎児の大きさの評価は、妊婦健診で胎児発育不全(FGR:fetal growth restriction)や過大な発育を見つけるための基本である。日本では超音波で測った児頭大横径(BPD)、腹囲(AC)、大腿骨長(FL)から推定胎児体重(EFW:estimated fetal weight)を計算し、週数ごとの基準値と比べて評価する。

正解を導く考え方

妊娠後半の胎児体重の平均は、おおよそ次のように覚えておくと便利である。 ・妊娠26週:約900g ・妊娠28週:約1,200g ・妊娠30週:約1,500g ・妊娠32週:約1,800g ・妊娠34週:約2,100g ・妊娠36週:約2,500g ・妊娠40週:約3,000g つまり妊娠26〜34週ごろは「2週間でおよそ300g」(1週あたり約150g)ずつ増えていくと考えればよい。選択肢はちょうど26週から34週までの2週ごとの平均値に対応しており、30週に相当するのは1,500gである。

選択肢考察

  1. ×a.  900g

    妊娠26週ごろの平均的な胎児体重である。妊娠30週の胎児がこの体重であれば、週数に比べて明らかに小さく、FGRを疑って精査(推定体重の再評価、羊水量、臍帯動脈血流などの評価)を行う必要がある。

  2. ×b.  1,200g

    妊娠28週ごろの平均的な胎児体重である。妊娠30週としてはやや小さく、平均より2週分ほど小さい値にあたる。

  3. ○c.  1,500g

    妊娠30週の胎児体重の平均はおよそ1,500gであり、標準的な値である。なお、この時期に出生した児は出生体重1,500g前後となり、「極低出生体重児(1,500g未満)」の境界にあたる体重である点も関連づけて覚えるとよい。

  4. ×d.  1,800g

    妊娠32週ごろの平均的な胎児体重である。妊娠30週としては平均より大きめの値である。

  5. ×e.  2,100g

    妊娠34週ごろの平均的な胎児体重である。妊娠30週としては明らかに大きく、週数の誤り(最終月経からの算出のずれ)や、母体糖尿病などによる過大な発育の可能性を考える値である。

推定胎児体重(EFW)の算出

日本で標準的に用いられる式は、EFW(g)=1.07×BPD³+0.30×AC²×FL(各計測値はcm)である。BPDは児頭大横径、ACは腹囲、FLは大腿骨長を表す。

評価の仕方

・選択肢の数値は平均値であり、実際には平均値からのばらつき(標準偏差:SD)で評価する。日本ではEFWが週数の基準値の−1.5SD以下をFGRの目安とし、+1.5SD以上を巨大児が疑われる目安とする。 ・EFWには±10%程度の誤差があるため、1回の測定で判断せず、間隔をあけて複数回測定し発育の推移(発育曲線)で判断する。 ・正確な評価には妊娠週数が正しいことが前提であり、妊娠初期の頭殿長(CRL)による予定日の確認が重要である。 ・基準範囲から外れていても体質的に小さい(大きい)だけの健常な児も存在する。

関連する出生体重の区分

・低出生体重児:2,500g未満 ・極低出生体重児:1,500g未満 ・超低出生体重児:1,000g未満 ・巨大児:4,000g以上

POINT

・胎児体重の平均の目安:26週 約900g、28週 約1,200g、30週 約1,500g、32週 約1,800g、34週 約2,100g、36週 約2,500g、40週 約3,000g。 ・26〜34週ごろは2週で約300g増える。 ・EFW=1.07×BPD³+0.30×AC²×FL。 ・FGRは基準値の−1.5SD以下が目安で、複数回の測定で推移をみて判断する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。